山梨県の精進湖にて「子抱き逆さ富士」を撮り終え、静岡県の田貫湖へ移動。元々は田貫沼という小さな沼だったが、1935年に農業用水確保のために堤防が築かれて大きな人造湖となった。ダイヤモンド富士や朝焼け富士の撮影地として人気があり、その時は大勢のカメラマンで賑わう。私は、昨年の1月4日に朝の逆さ富士(写真5)を撮っているが、後にこの場所から「夏の天の川と富士」を撮りたいと思っており、今回は「冬の星空」での試し撮りで出掛けてきた。
ちなみに富士山の周囲には、田貫湖を含めて全部で6つの湖があるが、富士五湖(富士急行グループの創業者である 堀内良平 氏が命名)は、山梨県側にある火山活動によってできた山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖である。
日没時刻は16時54分。駐車場に到着したのはすっかり暗くなった18時。駐車車両は他に2台だけ。懐中電灯を付けて昨年の1月4日と同じ場所へ向かった。撮影ポイントはいつくもあるが、湖越しに富士山が一番広く見える場所である。しかし、誰もいない。湖に落ちないように湖岸に三脚をセットし撮影を開始した。
ポイントから富士山を正面に捉えると、方角は東から北東を狙うことになる。富士の向こうの彼方には、横浜、川崎、東京があるため、その街明かりで空が真っ暗にならないのが難点である。暗い夜空ならば冬の天の川も写るが、元々薄っすらとしか見えない冬の天の川は、このような状況では無理である。しかしながら、この都心の街明かりは、夜の富士山をシルエットとしてくっきりと浮かび上がらせてくれるという美点もある。湖に映る逆さ富士も美しいが、今回は無風で条件が良かったものの湖の大半が凍っており、氷上に映る硬い表情の姿となってしまった。
当初、タイムラプスも考えていたが、気温はマイナス8℃。この場に1時間半以上も留まる元気はなく、かと言ってカメラを置き去りにしたまま離れた場所にある車の中で待機する勇気もないため、色々と構図を変えたカットを小一時間ほど撮影して終了。帰りがけに、旧上九一色村の展望駐車場からも一枚撮影して帰路に付いた。
田貫湖から冬の星空を写した結果は以下の通りである。星景写真は天体写真ではない。星が主役ではなく、周囲の情景と溶け合う事で一枚で作品となる。良し悪しは、その一枚からどれだけロマンを感じ取れるかであると思う。現在のカメラとレンズで赤道儀を使わず、一発露光で合成なしの結果には、クオリティと表現に限界を感じるが、星景写真は自然風景写真の一つと捉え、今の撮影方法での星景写真を極めたいと思う。今度は、「夏の天の川」が富士の上に横にかかる頃に、もう一度訪れてみようと思う。
以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。
田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:42)
田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:50)
田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 800(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:59)
旧上九一色村から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 1000(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 19:41)
田貫湖より夜明け前の富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 13秒 ISO 100(撮影地:静岡県/田貫湖 2020.1.04 6:35)
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