スジグロボタル Pristolycus sagulatus sagulatus Gorham, 1883 は、ホタル科(Family Lampyridae)スジグロボタル属(Genus Pristolycus)のホタルで、北海道、本州、九州に分布し、近畿亜種と奄美亜種がある。四国には、同属のシコクスジグロボタル Pristolycus shikokensis Ohbayashi et M. Sat , 1963 が分布している。
体長は7mm~9mmで、ヘイケボタルを一回り大きくしたくらいのの大きさである。ホタルではないベニボタルに似るが、卵・幼虫・蛹・成虫ともに発光するホタルの仲間である。ただし、成虫は昼行性なのでほとんど発光しない。谷戸の最上部の樹林に囲まれた冷たい湧水が流れ込む薄暗い湿地等に生息し、幼虫はカワニナ等の巻貝や湿地に生息する多様な生物を食べる時だけ水中に入る半水生のホタルである。今回は、久しぶりに生息地を訪れ、未撮影であった映像を収めてきた。
3日の土曜日は、日本ホタルの会の観察会があり、終了後に久しぶりに会った親友と食事をしたので帰宅は23時近く。翌4日は、三鷹市でのホタルの講演会と観察会であり、ホタルの映像の編集などで深夜までかかってしまった。このところ、平日の仕事の疲れで休日の朝は、なかなか起きられず、特にこうしたイベントが続くと体力的に辛い。一度撮影した被写体であると「また、同じような絵を撮ってもつまらない」と、起きる時に葛藤があり、結果、出掛けるのを止めてしまうことが多いのだが、今回は、スジグロボタルの映像を残しておきたいという気持ちの方が勝ったようで、朝5時に目が覚めた。
5時半に自宅を出発し、現地に6時過ぎに到着。長靴に履き替えて、早速、谷戸の奥の湿地へ踏み込んだ。密生している草の葉上を丁寧に見て回ると、スジグロボタルを発見。あちこちに7頭ほど見つけることができ、映像を撮影することができた。5年ぶりの訪問だが、環境に大きな変化はなく、無事に生息していることを確認できたことも嬉しい。
この湿地には、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミドリシジミが多く生息し、トンボではサラサヤンマを見ることができる。今年は、多くの場所で発生が早く、当地においても平地性ゼフィルスは終盤なのかもしれない。この日は、ウラナミアカシジミが1頭と帰りがけにミドリシジミのメス1頭を見ただけであった。尚、ミドリシジミのメスの翅には遺伝的多型があって4つの型に分けられるが、今回は識別しずらい中間型OA型だろう。
参考までに、過去にこの場所で撮影したオスのミドリシジミの写真も掲載した。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2023 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます