散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

東京スカイツリー紀行(9)

2010年09月18日 21時30分02秒 | 飲み歩き・東京
さて、銀座のど真ん中に戻り、約1年ぶりの「FS」へ。



開店5周年を迎えるということで、あちこちの店から胡蝶蘭の花が送られている(銀座っぽい)。1杯目はアルコール控えめに、ラム+パッションフルーツ+グレープフルーツジュース+トニックウォーターのカクテル。ジュースっぽいが、パッションフルーツの個性的な味が効いている。

通しは北海道産の「ピュアホワイト」。生で食べられるトウモロコシである。一度は食べてみたいと思っていたが、サクサクとした歯触り。確かにそのまま食べて、かなりの甘さである。バーテンダーY氏には、今年京都のバーに入った話をする。もちろん、店のことは御存じのようだったが、行ったことがないそうなので少し自慢しておいた。



2杯目はクオーターデッキ。3杯目はジャックダニエル黒+ブルーキュラソー+コアントロー+レモンのキングスバレイというカクテル。色が非常にきれいで、ウィスキーのしっかりした味も残っているのだ。



途中で網走産のタラバガニを味見させてもらう。非常に鋭い刺を持つカニで、身はしっかりしている。「北海道の人間はあまりカニを食べないんで、久しぶりです」というと、「皆さん、そう言いますね」とのこと。まあ、常日頃カニを食べる人はそうはいないだろう。

ここで有楽町から月島に移動し、約1年半ぶりになる「AT」へ。混雑気味だが、なんとかポジションを確保できた。1杯目はフェルネブランカ+ライム+ソーダ。2杯目はジン+酢橘+ソーダ。目の前にある酢橘が美味しそうだったのだ。



これだけ飲めば十分だ。明日はちゃんと起きられるのだろうか。またもやホテルまで歩いて、27349歩。


東京スカイツリー紀行(8)

2010年09月18日 18時24分43秒 | 飲み歩き・東京
有楽町で久々の「CL」へ。開店と同時に入店。さあ、この店、マニアックなモルト好きが集うだけに、なかなか難しいのである。



まずは「あまり味が強くない、程よいものを」と抽象的なことを言うと、バーテンダー氏が「普段、どんな銘柄をお飲みでしょう」と聞いてきた。悪気はないのだろうが、ここで間違った銘柄を言ってはならない…。プレッシャーを感じつつ「ハイランドパークとか」というと、そんなに外していなかったようだ。

2種類のボトルが出てきたところでグレングラント170周年ボトルを選択。「ハーフショットもできますよ」ということなので、先が長いから今日は全部ハーフにしてもらうことにした。グレングラントは控えめながらも塩っぽさと、少しの酸味でバランスが良い。



続いて「もう少し、濃厚な感じに」と注文。3本のボトルから、ラベルのパンチの強さで、ボウモア1993クイーンオブアイラを選択してみた。何でも、1993年のボウモアは非常に出来が良いということで人気を呼んでいるらしい。味はというと、程よくスモーキーさがあり、甘さもある。これにケチをつける人は、あまりいないだろう。



3杯目は「甘めに」と注文したところ、今度はグレンタレット1978。これは薄い甘さに樽由来の木の感じが乗っているようだ。普段の私はバーのお勧めウィスキーを黙って飲んでいるだけなので、自分でいろいろ注文を出すのは難しいなあ。まあ、味の感想もそんなに間違えたことを言わなかったようだし、良かった良かった。



ところで前回の来訪は約3年前なのだが、バーテンダー氏はどうやら私のことを覚えていてくれたらしい。シャイな感じながら、なかなか親切な人なのである。銀座方面に向かい、途中で日動画廊へ。あまり好みではない感じの展覧会だった。

次は食事だ。三原橋地下街の「M」にどうやら4年ぶりの訪問である。ここは松坂牛を使った串かつをリーズナブルに出してくれる店なのだ。レモンサワーととっくり、カルビ、ナス、しいたけ、コロッケを注文。



カルビは味が付いているが、それ以外のものはソースに浸して食べる関西スタイル。コロッケはジャガイモコロッケだが、かなりトロトロした柔らかさで実に旨い。それから、ナスのトロけかたも絶妙である。



追加でタン、ウズラ卵。



さらにカルビ、タコ。



大体このくらいでよいかな。先ほど「メンチカツありますか」と聞くと、今日はないということだったのだが、帰り際に店の人が「メンチなくてすみません。ランチで出している時はあるんですが、土曜日は昼開けてないものですから」と説明してくれた。いやいや、問題ないです。宇梶剛士の父といった風貌の店の人は、なかなかいい人なのであった。


東京スカイツリー紀行(7)

2010年09月18日 16時02分54秒 | ART
大手門から皇居に入り、三の丸尚蔵館「皇室の文庫」展へ。



これは皇室伝来の文書を展示したもので、地味なのだが、かなりすごいものが出品されていたのではなかろうか。

「玉葉 第二三・三六冊(九条兼実記)」:平清盛の死を伝える、13世紀の写本である。
「後小松天皇宸筆秘曲御伝授状」「後柏原天皇宸筆詩歌御色紙幅」:かなり珍しい天皇の筆。御柏原天皇なんて、何をしたのか全く知らないが。
「後水尾天皇御画像」:非常に珍しい尾形光琳の肖像画。

「薩長同盟裏書(木戸家文書)」:これが坂本龍馬の筆なのよ。やはり人だかりになっていた。
「御即位図」:陛下が即位するときの人や物の配置を記録したもの。こういうのが沢山あるのだろう。

美術ファンよりも、歴史ファンにお勧めである。皇居前から東京タワーを眺めつつ、三越前に移動。次は三井記念美術館「奈良の古寺と仏像」展だ。





予想よりもいろいろな寺(東大寺、西大寺、唐招提寺、薬師寺、長谷寺、室生寺、當麻寺、橘寺、法隆寺、大安寺、秋篠寺、元興寺)から仏像が出品されていた。重文オンパレード(国宝2点)である。

東大寺「四天王立像(持国天)」:結んだ口元が男前だ。
同「四天王立像(増長天)」:刃物を持ったキラーぶりが怖い。
同「五劫思惟阿弥陀如来座像」:長い間考えすぎて、髪の毛がアフロか、おばちゃんパーマのように伸びてしまった仏像である。顔がまたふっくらしたおばちゃんっぽくて、見る人見る人、みな笑ってしまうのだ。しかし、これまで見た中で、一番人を幸せにする仏像といえるかもしれない。名作である。

法隆寺「金堂天蓋天人」:これは天蓋に取り付けられていた仏像であろう。雲中供養菩薩ほどではないが、のっぺりした顔が可愛い感じ。
長谷寺「十一面観音菩薩立像」:光背がアールヌーボーっぽい感じ。
法隆寺「観音菩薩立像(夢違観音)」:足のところが薬師寺の日光・月光っぽい。当時の完成された形状であったのだろう。

なかなか、奈良を旅しても行きにくいお寺からの出品もあって、非常に嬉しい展覧会であった。


→ついでに近くにいた、せんとくん。

ここから丸の内方面へ移動し、三菱一号館美術館「三菱が夢見た美術館」展へ。三井には負けていられないと、グループ会社が所蔵する作品と静嘉堂、東洋文庫が管理する作品を中心に出品した展覧会である。





山本芳翠「十二支のうち戌「祗王」」:巡礼に女の子が犬を見せている、不思議な画。
坂本繁二郎「うすれ日」:繁二郎らしい、薄めの牛が描かれている。
岸田劉生「童女像(麗子花持てる)」:今まで見た中では、一番子供らしい。

和田英作「春日山麓」:和風風景画の傑作。
坂本繁二郎「二仔馬」:これも彼らしい作品だ。国立近代美術館のより状態はいいかも。
橋本雅邦「竜虎図屏風」:ユーモラスでスケール大の作品。

野々村仁清「色絵吉野山図茶壷」:黒字に桜、その上に金と賑々しい作品。
「毛詩」:花と蝶の扉絵があったが、字は分らないなあ。国宝。
「義経記」:天狗が登場したり、オレンジ色に塗られていたり、マンガチック。

「赤本したきれ雀」:二人のおじいさんが背負っている葛籠が、なんだか同じ大きさなのだが。
三橋釣客「地球一覧図」:オーストラリアと南極が合体してるが、1783年にして、曲がりなりにも世界全体の様子がわかる。
多田北烏「ポスター「キリンスタウト」」:「冬飲むビール」というキャッチコピーが書かれているのだが、そういう扱いだったのだろうか。

クロード・モネ「草原の夕暮れ」:印象派ファンが多いのが分るよねという作品。
梅原隆三郎「パリスの審判」:ルノワール作をまねたものだが、これを堂々と描く梅原は凄い。どう見ても子供の落書きのようなのだ。
郡司卯之助「三菱ヶ原」:当時の丸の内は野っ原で、ぽつんと三菱一号館があったらしい。そんな様子を描いたもの。

三菱グループ、なかなかのものを持っているな、という展覧会。結構、地図が多くあったのだが、当然のことながら北海道の形は滅茶苦茶。時には無かったりもして、面白い。さあ、17時が近づいてきたので、どこかで一杯やることにしよう。

東京スカイツリー紀行(6)

2010年09月18日 13時55分42秒 | 食べ歩き

ここで昼食。毎日新聞社地下の「J」へ。東京のど真ん中だけあって、ランチ値段も札幌よりは高いのだが(900円以上)、この店は一本に絞っているとはいえ、お得メニューだった。スパイシーチキンカレーとベジタブルカレー2種セット、ナン、ライス、サラダ付きで780円である。

カレーはベジタブルの方がそれほど熱くなかったのが惜しいが、本格的な味。ナンは熱々モチモチで、残念ながら食べきれなかった。かなりのボリュームなのである。エネルギーを補給して、ここからはしばらく徒歩移動だ。

東京スカイツリー紀行(5)

2010年09月18日 13時21分07秒 | ART
9月18日
今日は何の気兼ねもなく、美術三昧に浸れる日だ。ホテルの朝食をとり、大江戸線で上野御徒町へ。まずは国立西洋美術館「カポディモンテ美術館展」へ。



これはナポリの美術館の所蔵品が出品されているもので、1470年頃から16~17世紀ごろの作品がかなりある古典的な展覧会だった(この時、筆記用具を忘れたので、感想は断片的である)。

ジョルジョ・ヴァザーリ「キリストの復活」:キリストがなぜかピースサインをしながら、ランニングをしているかのような、とぼけたイメージ。面白いなあ。
エル・グレコ「燃え木でロウソクを灯す少年」:遠目にはラ・トゥールっぽいが、意外と大雑把な作品。
パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」:非常に端正な美しい女性を描いたもの。しかし顔が若干爬虫類系ではないか。恐ろしい感じもする。

次は竹橋に移動して、国立近代美術館「上村松園展」へ。松園の「序の舞」は最近見たのだが(後期出品のため今回は見られなかった)、これだけの作品を一望できるのは初めて。良く分ってないながらも、多分とても勉強になった。



「義貞勾当内侍を視る」:二十歳ごろの作品。もうこの時点で上手すぎる。
「虫の音」:簾からちらりと顔をのぞかせる女性。色気がある。
「花見」:35歳頃か。年を重ねてきた色気がある。散る花びらの表現が上手い。

「雪吹美人図」:なんとなく吹雪も柔らかい表現だ。
「花がたみ」:女性の目と着物が少し乱れているところが怖い。
「焔」:今回の頂点の一つだろう。髪の毛を噛んで、嫉妬に乱れる女性。藤に蜘蛛の巣の着物というのも恐ろしい。

「天保歌妓」:姿かたちがすっとしている。この頃から、感情表現が控えめになったらしい。
「花に詠ず」:色気がなんとなく抜けてきたぞ。
「虹を見る」:絶妙に線が素晴らしい。藤田を思わせるほどである。

「青眉」:深緑の傘の色が新鮮。色彩画家としての松園にも見るところは多い。
「春雪」:これは体をくの字にして、珍しく動きを出した作品。
「新蛍」:初期作品にもあったが、簾から外を見る女性がとにかくうまい。少し目を伏せた感じである。

全体を通してみて、若く潔癖な時代から、女性から「うふふ」と声が聞こえそうな色気のある時代へ。さらに中国モチーフを学ぶことで、脂が抜けたような作品へとシフトしていき、また最後には、体の動きや簾からのぞき見るポーズで、女性的な雰囲気を出していく方向に変化していったように見えた。それから女性の着物を描きっぷりを見ても、多様な色彩を十分に使いこなす技量のあった人なのだと思う。

常設展では、いろいろと写真撮影。これは別途、記事にすることにしよう。