ビスタと7、突然のサポート延長に喜びと不満の声 2012年3月26日 日経
日本マイクロソフトは従来の方針や発言を覆し、個人向けのWindowsクライアントOS「Windows Vista(ビスタ)」と「Windows 7」に対して延長サポートを提供すると、2012年2月20日に“突然”表明した。
まず、2012年4月10日にサポートを終了する予定だった「Windows Vista Home Basic」「同 Home Premium」「同 Ultimate」は、2017 年4月11日まで延長サポートが適用され、「セキュリティ更新プログラム」の提供が受けられる。
同様に、2015年1月13日にサポートを終了する予定だった個人向けの「Windows 7 Starter」「同 Home Premium」「同Ultimate」についても、2020年1月14日まで延長サポートが適用され、セキュリティ更新プログラムが提供されることが決まった。
なお、セキュリティ更新プログラムを継続的に受け取るには、Vista/7の最新の「サービスパック」を適用している必要がある。
■本来は発売から5年で終了のはずだった
同社のサポート方針では、個人ユーザー向け製品には発売から5年間の「メインストリームサポート」のみを提供し、その後はセキュリティ更新プログラムの提供を終了するのが原則だ。つまり、それ以降は新たに見つかった脆弱性を突かれたり、新型のウイルスに感染したりする恐れが増し、安心・快適に利用し続けることが難しい状況になる。
一方、長期間利用することが前提の企業向け製品に対しては、追加で5年間の延長サポートを提供することになっている。Windows XPに限っては、個人ユーザー向け製品(Home Edition)に対しても例外的に延長サポートを提供しているが、Vistaの個人向け製品にはこれまで「Windows XPと同様の延長サポートを提供する計画はない」としてきた。
■突然変わったサポート期間
米マイクロソフトは、同社製品のサポート期間やルールをまとめた「サポートライフサイクルポリシー」を2002年に大幅改訂している。以降、ルールの大枠は変わっていない。日本マイクロソフトは、2012年1月23日に実施した日経パソコン編集部の取材に対しても、「個人向けVistaのサポート期間が延びることはない」と明言していた。そのため日経パソコン誌では、「個人向けVistaのサポートが2012年4月に終了する」と繰り返し報じてきた。
ところが、個人向けVista/7への延長サポート提供は、静かに、そして突然明らかになった。Vista/7のサポート期間を記したWebページの表が、ひっそりと書き換えられていたのだ。
それに気付いた一部のユーザーがインターネット上で話題にし始めたのが、2月17日金曜日の前後。日経パソコン編集部も、Webページの表が更新されていることを確認し、Webサイト「PC Online」(http://pc.nikkeibp.co.jp)で速報した。2月18日午前のことである。
日経パソコン編集部が報じた時点で、日本マイクロソフトからは正式な回答を得られていなかった。サポート延長が事実だと同社が認めたのは、2月20日の午後。それとほぼ同じタイミングで同社は、Vista/7に延長サポートを提供するという情報を、Webサイトに掲載した。
■直前の変更に不満の声も
個人向けVista/7を利用しているユーザーにとっては、延長サポートが追加で提供されることは朗報である。Vista/7を安心して使える期間が5年間延びたことになるからだ。同社のWebサイトには、サポートポリシーは「お客様のニーズに基づき、状況に応じて」変更していくもので、「サポート期間が短縮されることはありませんので、お客様の利益は常に保証されています」と記載されている。
ただし、全てのユーザーが手放しで喜んでいるわけではない。突然の方針転換で不満を漏らすユーザーもいる。それは、個人向けVistaのサポート終了に対処すべく、今回の発表前に、最新OSであるWindows 7を搭載したパソコンに買い替えたり、OSだけをWindows 7にアップグレードしたりしたユーザー。Vistaに満足していたユーザーにしてみれば、要らぬ手間や投資を強いられたことになるからだ。
■MSの対応に2つの問題点
今回のマイクロソフトの対応には2つの問題点がある。一つは発表の時期。個人向けVistaのサポート終了まで2カ月を切っていたという土壇場での方針転換が、ユーザーの混乱を招くのは当然である。
もう一つの問題点は、発表の方法だ。今回はWebサイトの表だけが先に書き換えられていて、当初はその告知や理由の説明などがなかった。これでは、サポート期間の変更に
気付くユーザーはごく一部だし、気付いたとしてもそれが事実なのか、Webサイトの表が間違っているのか確認のしようがない。
日本マイクロソフトのWebサイトには前述のような経緯で情報が掲載されたが、3月22日時点でも米国本社からはプレスリリースのような目立った告知がない。
個人向けのWindows XPに延長サポートを提供したときのように、プレスリリースを出して正式に案内をすれば、報道でも大きく取り上げられ、より多くのユーザーに情報が届くだろう。そしてユーザーの理解も得られるはずだ。
ユーザーの利益を考えての方針転換であっても、きちんと説明責任を果たさなければ、ユーザー軽視と思われても仕方がない。
なお、今秋にも登場すると予想される次期WindowsクライアントOS「Windows 8」に延長サポートが提供されるか否かについては、「発売前の製品のため未定」(日本マイクロソフト)としている。
ん…。自作でパソコンを作ることができるセミプロレベルの方はともかく、パソコンを仕事やプライベートで使うごくごく一般人の大半の方にとってはOSは購入時点でプリインストールされているもの(自分でOSをインストールした経験がないという方も結構多いのでは?)で、決して少なくない企業が、いまだに先代OSのWINDOWS-XP環境下で仕事をしている(*)状況下で、後から発売されたVISTAの個人向けサポートだけを打ち切れるわけがない(他にも個人利用者を敵に回してみすみすアップルにシェアを奪われるような愚かな真似はしないだろうという憶測もありました)と個人的には予想していましたが、その公式発表がギリギリになったことや、発表の方式が物議を醸しているようですね。
ただ、パソコンを新規購入する個人客目線で見れば、『古いOS=XPのサポートが継続されているのに、その後にリリースされたOS=VISTAのサポートが打ち切られる』のでは全く説得力がありませんし、そもそも(VISTAの後継OSとなる)WINDOWS7が正式リリースされたのは2009年10月22日。
2009年9月頃にパソコンを購入した方は、(中にはXPとVISTAのOSを選択できるメーカーもあったものの)購入したパソコンのOSがたまたまVISTAを使っていて5年どころかパソコンの寿命が来る前の2年半程度の使用期間でOSの入れ替えを余儀なくされることにもなりかねませんし、ビジネスソフトとして独占的なシェアを誇っている統合ビジネスソフトのマイクロソフトオフィスが、サポート期限をリリースから10年程度
取っていることを考慮すれば、決断が遅れた問題はあるとはいえ、サポート延長の決断は至極妥当な判断だと考えます。
パソコンを使う人も、全ての人が常時パソコンを立ち上げているわけではなく、寿命が来るまでの時間はそれこそ人それぞれ(常時立ち上げていれば2~3年程度で壊れることもあるでしょうし、使わない時はすぐにシャットダウンする方なら10年近く使っている人もいるでしょう)ですし、実質的に業界のスタンダード状態にあるメーカーとしては、ごくごく普通に市販されているパソコンに導入するOSに対しても、フルサポートまでする必要はないとしても、ウイルス脅威からパソコンを守る10年程度の(必要最低限の)延長サポートを行うことは業界を実質寡占している会社であるが故に、ある意味当然課せられることになる社会的使命ではないでしょうか…。
*2011年11月のデスクトップOSシェアは、WINDOWSが92.23%と9割を超えるシェアを取り、うちXPが48.89%、7が34.6%、Vistaが8.48%。7のサポート打ち切りを議論する以前に(VISTAの先代となる)XP利用者が未だに全体の半分近くを占めています。
http://news.mynavi.jp/news/2011/12/05/016/index.html
日本マイクロソフトは従来の方針や発言を覆し、個人向けのWindowsクライアントOS「Windows Vista(ビスタ)」と「Windows 7」に対して延長サポートを提供すると、2012年2月20日に“突然”表明した。
まず、2012年4月10日にサポートを終了する予定だった「Windows Vista Home Basic」「同 Home Premium」「同 Ultimate」は、2017 年4月11日まで延長サポートが適用され、「セキュリティ更新プログラム」の提供が受けられる。
同様に、2015年1月13日にサポートを終了する予定だった個人向けの「Windows 7 Starter」「同 Home Premium」「同Ultimate」についても、2020年1月14日まで延長サポートが適用され、セキュリティ更新プログラムが提供されることが決まった。
なお、セキュリティ更新プログラムを継続的に受け取るには、Vista/7の最新の「サービスパック」を適用している必要がある。
■本来は発売から5年で終了のはずだった
同社のサポート方針では、個人ユーザー向け製品には発売から5年間の「メインストリームサポート」のみを提供し、その後はセキュリティ更新プログラムの提供を終了するのが原則だ。つまり、それ以降は新たに見つかった脆弱性を突かれたり、新型のウイルスに感染したりする恐れが増し、安心・快適に利用し続けることが難しい状況になる。
一方、長期間利用することが前提の企業向け製品に対しては、追加で5年間の延長サポートを提供することになっている。Windows XPに限っては、個人ユーザー向け製品(Home Edition)に対しても例外的に延長サポートを提供しているが、Vistaの個人向け製品にはこれまで「Windows XPと同様の延長サポートを提供する計画はない」としてきた。
■突然変わったサポート期間
米マイクロソフトは、同社製品のサポート期間やルールをまとめた「サポートライフサイクルポリシー」を2002年に大幅改訂している。以降、ルールの大枠は変わっていない。日本マイクロソフトは、2012年1月23日に実施した日経パソコン編集部の取材に対しても、「個人向けVistaのサポート期間が延びることはない」と明言していた。そのため日経パソコン誌では、「個人向けVistaのサポートが2012年4月に終了する」と繰り返し報じてきた。
ところが、個人向けVista/7への延長サポート提供は、静かに、そして突然明らかになった。Vista/7のサポート期間を記したWebページの表が、ひっそりと書き換えられていたのだ。
それに気付いた一部のユーザーがインターネット上で話題にし始めたのが、2月17日金曜日の前後。日経パソコン編集部も、Webページの表が更新されていることを確認し、Webサイト「PC Online」(http://pc.nikkeibp.co.jp)で速報した。2月18日午前のことである。
日経パソコン編集部が報じた時点で、日本マイクロソフトからは正式な回答を得られていなかった。サポート延長が事実だと同社が認めたのは、2月20日の午後。それとほぼ同じタイミングで同社は、Vista/7に延長サポートを提供するという情報を、Webサイトに掲載した。
■直前の変更に不満の声も
個人向けVista/7を利用しているユーザーにとっては、延長サポートが追加で提供されることは朗報である。Vista/7を安心して使える期間が5年間延びたことになるからだ。同社のWebサイトには、サポートポリシーは「お客様のニーズに基づき、状況に応じて」変更していくもので、「サポート期間が短縮されることはありませんので、お客様の利益は常に保証されています」と記載されている。
ただし、全てのユーザーが手放しで喜んでいるわけではない。突然の方針転換で不満を漏らすユーザーもいる。それは、個人向けVistaのサポート終了に対処すべく、今回の発表前に、最新OSであるWindows 7を搭載したパソコンに買い替えたり、OSだけをWindows 7にアップグレードしたりしたユーザー。Vistaに満足していたユーザーにしてみれば、要らぬ手間や投資を強いられたことになるからだ。
■MSの対応に2つの問題点
今回のマイクロソフトの対応には2つの問題点がある。一つは発表の時期。個人向けVistaのサポート終了まで2カ月を切っていたという土壇場での方針転換が、ユーザーの混乱を招くのは当然である。
もう一つの問題点は、発表の方法だ。今回はWebサイトの表だけが先に書き換えられていて、当初はその告知や理由の説明などがなかった。これでは、サポート期間の変更に
気付くユーザーはごく一部だし、気付いたとしてもそれが事実なのか、Webサイトの表が間違っているのか確認のしようがない。
日本マイクロソフトのWebサイトには前述のような経緯で情報が掲載されたが、3月22日時点でも米国本社からはプレスリリースのような目立った告知がない。
個人向けのWindows XPに延長サポートを提供したときのように、プレスリリースを出して正式に案内をすれば、報道でも大きく取り上げられ、より多くのユーザーに情報が届くだろう。そしてユーザーの理解も得られるはずだ。
ユーザーの利益を考えての方針転換であっても、きちんと説明責任を果たさなければ、ユーザー軽視と思われても仕方がない。
なお、今秋にも登場すると予想される次期WindowsクライアントOS「Windows 8」に延長サポートが提供されるか否かについては、「発売前の製品のため未定」(日本マイクロソフト)としている。
ん…。自作でパソコンを作ることができるセミプロレベルの方はともかく、パソコンを仕事やプライベートで使うごくごく一般人の大半の方にとってはOSは購入時点でプリインストールされているもの(自分でOSをインストールした経験がないという方も結構多いのでは?)で、決して少なくない企業が、いまだに先代OSのWINDOWS-XP環境下で仕事をしている(*)状況下で、後から発売されたVISTAの個人向けサポートだけを打ち切れるわけがない(他にも個人利用者を敵に回してみすみすアップルにシェアを奪われるような愚かな真似はしないだろうという憶測もありました)と個人的には予想していましたが、その公式発表がギリギリになったことや、発表の方式が物議を醸しているようですね。
ただ、パソコンを新規購入する個人客目線で見れば、『古いOS=XPのサポートが継続されているのに、その後にリリースされたOS=VISTAのサポートが打ち切られる』のでは全く説得力がありませんし、そもそも(VISTAの後継OSとなる)WINDOWS7が正式リリースされたのは2009年10月22日。
2009年9月頃にパソコンを購入した方は、(中にはXPとVISTAのOSを選択できるメーカーもあったものの)購入したパソコンのOSがたまたまVISTAを使っていて5年どころかパソコンの寿命が来る前の2年半程度の使用期間でOSの入れ替えを余儀なくされることにもなりかねませんし、ビジネスソフトとして独占的なシェアを誇っている統合ビジネスソフトのマイクロソフトオフィスが、サポート期限をリリースから10年程度
取っていることを考慮すれば、決断が遅れた問題はあるとはいえ、サポート延長の決断は至極妥当な判断だと考えます。
パソコンを使う人も、全ての人が常時パソコンを立ち上げているわけではなく、寿命が来るまでの時間はそれこそ人それぞれ(常時立ち上げていれば2~3年程度で壊れることもあるでしょうし、使わない時はすぐにシャットダウンする方なら10年近く使っている人もいるでしょう)ですし、実質的に業界のスタンダード状態にあるメーカーとしては、ごくごく普通に市販されているパソコンに導入するOSに対しても、フルサポートまでする必要はないとしても、ウイルス脅威からパソコンを守る10年程度の(必要最低限の)延長サポートを行うことは業界を実質寡占している会社であるが故に、ある意味当然課せられることになる社会的使命ではないでしょうか…。
*2011年11月のデスクトップOSシェアは、WINDOWSが92.23%と9割を超えるシェアを取り、うちXPが48.89%、7が34.6%、Vistaが8.48%。7のサポート打ち切りを議論する以前に(VISTAの先代となる)XP利用者が未だに全体の半分近くを占めています。
http://news.mynavi.jp/news/2011/12/05/016/index.html