「たばこ1000円」論争に火 「税収増」「主張安易」 2008年05月31日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0530/TKY200805300303.html
「たばこ1箱を千円に」。日本財団会長の笹川陽平さんの「たばこ値上げ運動」が波紋を広げている。税収は増え医療費は減らせるという提言だが、「国を救う名案だ」「いや喫煙者への差別だ」と賛否の論争に火がついた。31日は世界禁煙デー。
発端は、笹川さんが3月からインターネットのブログなどで訴え始めたアイデアだ。
1箱約300円という日本のたばこの値段は安すぎる。1箱千円にすれば9兆5千億円の税収増が見込め、仮に消費量が3分の1になっても3兆円超の税収増が見込める。社会保障の財源として、消費税より先に議論すべきだ。千円になれば多くの人が喫煙をやめるので、健康被害が減って国民医療費を抑えられる。未成年の喫煙抑制や防火にも役立つ、と説く。
提言はメディアで報じられ、ネットでも話題に。「身近な問題として大いに議論を。私は国会議員に働きかけて立法をめざす」と話す。
タクシーの禁煙化や路上禁煙条例の制定など、たばこをめぐる環境は厳しくなっているが、こうした動きを「禁煙ファシズム」として批判する声もある。
ジャーナリストの斎藤貴男さんもその一人。「私はたばこが嫌い」としつつ、「健康を害して高い医療費がかかるから高い税金を払えというのは、後期高齢者医療制度と同じ論法。世の中はお互い様なのに人の生き方や好みを監視し排除するのはおかしい」。
「タバコは神様の贈り物」の著書がある医師、橋内章さんも「禁煙推進で医療費が抑制できると言うが、果たしてそうか。仮にたばこが有害ならば、やめると寿命は延び、高齢者医療費も増える。安易な主張だ」と批判する。
製薬会社ファイザーが4月、喫煙者9400人へのアンケートで「価格がどれぐらいになれば禁煙するか」と尋ねたところ、「500円」で54%、「千円」で79%の人が禁煙すると答えたという。
値段について、日本禁煙学会の作田学理事長は「国際的に合わせるなら、千円ぐらいがいい。未成年も買いにくくなる」と笹川案に賛成だ。神経内科医としてたばこの害を実感する。「40~50代のくも膜下出血の多くは喫煙者。がんだけでなく他の病死のリスクも高く、周りで煙を吸わされる人も含めて健康被害は明らか。税金でなく罰金を科したいぐらい」という。
こうした論争に、売る側のJTは「喫煙は特定の疾患のリスクを高めるが、吸うか吸わないかは個々人が判断すべきだ」と主張。喫煙者率と肺がん死亡率の相関関係も認めておらず、笹川案にも「特定の商品に過大な負担を強いる増税には断固反対。業界一丸となって反対運動に取り組む」(広報部)と構える。
さて、政府はどうするのか。税制を考える首相の諮問機関である政府税制調査会の香西泰会長に取材を申し込むと、その答えは「税制の論議はこれから。現時点では答えられない」だった。
ちなみに、世界各国の紙巻たばこ1箱(20本)の平均価格(2002年5月31日現在)は、ノルウェーが948円、英国が794円、米国が539円、フランスが346円、日本が273円、イタリアが242円、韓国が128円、インドネシアが54円。
たばこの税負担率は63.1%で、1箱300円のタバコなら189.16円(内訳 国たばこ税71.04円、都道府県たばこ税21.48円、市区町村たばこ税65.96円、たばこ特別税16.40円+消費税14.28円)だとか。
なんとなくアメリカの方がタバコは安いのでは…というイメージがあったので、そのアメリカでたばこの値段が日本のほぼ2倍だという事実にも驚愕しましたが、税金分の内訳を見ていると、都道府県や市区町村への貴重な税源になっているだけに、地方の財政部門も、この問題の行方は非常に気になるところでしょうね…。
ごくごく個人的には、人込みの中で平気でたばこを吸うなど、マナーの悪いヘビースモーカーを減らすためにも、500円程度の値上げならば、アメリカでも既にその水準に達していますし、禁煙に取り組むきっかけににもなって良いのではないかと思いますが、皆様はどのようにお考えになるでしょうか…。
他にも税収確保や医療費の問題から議論するのもよいのですが、ヘビースモーカーの場合、肺をやられることも多く、肺がんになったり、在宅酸素療法(鼻に透明のチューブを通して空気を送り込む、移動時には簡易ボンベを使用)に一生頼らざるを得なくなり、行動範囲が大幅に制限されてしまうなど、生活の質が大幅に落ちてしまうリスクもあることも、一FPとして指摘したいと思います。
http://www.asahi.com/life/update/0530/TKY200805300303.html
「たばこ1箱を千円に」。日本財団会長の笹川陽平さんの「たばこ値上げ運動」が波紋を広げている。税収は増え医療費は減らせるという提言だが、「国を救う名案だ」「いや喫煙者への差別だ」と賛否の論争に火がついた。31日は世界禁煙デー。
発端は、笹川さんが3月からインターネットのブログなどで訴え始めたアイデアだ。
1箱約300円という日本のたばこの値段は安すぎる。1箱千円にすれば9兆5千億円の税収増が見込め、仮に消費量が3分の1になっても3兆円超の税収増が見込める。社会保障の財源として、消費税より先に議論すべきだ。千円になれば多くの人が喫煙をやめるので、健康被害が減って国民医療費を抑えられる。未成年の喫煙抑制や防火にも役立つ、と説く。
提言はメディアで報じられ、ネットでも話題に。「身近な問題として大いに議論を。私は国会議員に働きかけて立法をめざす」と話す。
タクシーの禁煙化や路上禁煙条例の制定など、たばこをめぐる環境は厳しくなっているが、こうした動きを「禁煙ファシズム」として批判する声もある。
ジャーナリストの斎藤貴男さんもその一人。「私はたばこが嫌い」としつつ、「健康を害して高い医療費がかかるから高い税金を払えというのは、後期高齢者医療制度と同じ論法。世の中はお互い様なのに人の生き方や好みを監視し排除するのはおかしい」。
「タバコは神様の贈り物」の著書がある医師、橋内章さんも「禁煙推進で医療費が抑制できると言うが、果たしてそうか。仮にたばこが有害ならば、やめると寿命は延び、高齢者医療費も増える。安易な主張だ」と批判する。
製薬会社ファイザーが4月、喫煙者9400人へのアンケートで「価格がどれぐらいになれば禁煙するか」と尋ねたところ、「500円」で54%、「千円」で79%の人が禁煙すると答えたという。
値段について、日本禁煙学会の作田学理事長は「国際的に合わせるなら、千円ぐらいがいい。未成年も買いにくくなる」と笹川案に賛成だ。神経内科医としてたばこの害を実感する。「40~50代のくも膜下出血の多くは喫煙者。がんだけでなく他の病死のリスクも高く、周りで煙を吸わされる人も含めて健康被害は明らか。税金でなく罰金を科したいぐらい」という。
こうした論争に、売る側のJTは「喫煙は特定の疾患のリスクを高めるが、吸うか吸わないかは個々人が判断すべきだ」と主張。喫煙者率と肺がん死亡率の相関関係も認めておらず、笹川案にも「特定の商品に過大な負担を強いる増税には断固反対。業界一丸となって反対運動に取り組む」(広報部)と構える。
さて、政府はどうするのか。税制を考える首相の諮問機関である政府税制調査会の香西泰会長に取材を申し込むと、その答えは「税制の論議はこれから。現時点では答えられない」だった。
ちなみに、世界各国の紙巻たばこ1箱(20本)の平均価格(2002年5月31日現在)は、ノルウェーが948円、英国が794円、米国が539円、フランスが346円、日本が273円、イタリアが242円、韓国が128円、インドネシアが54円。
たばこの税負担率は63.1%で、1箱300円のタバコなら189.16円(内訳 国たばこ税71.04円、都道府県たばこ税21.48円、市区町村たばこ税65.96円、たばこ特別税16.40円+消費税14.28円)だとか。
なんとなくアメリカの方がタバコは安いのでは…というイメージがあったので、そのアメリカでたばこの値段が日本のほぼ2倍だという事実にも驚愕しましたが、税金分の内訳を見ていると、都道府県や市区町村への貴重な税源になっているだけに、地方の財政部門も、この問題の行方は非常に気になるところでしょうね…。
ごくごく個人的には、人込みの中で平気でたばこを吸うなど、マナーの悪いヘビースモーカーを減らすためにも、500円程度の値上げならば、アメリカでも既にその水準に達していますし、禁煙に取り組むきっかけににもなって良いのではないかと思いますが、皆様はどのようにお考えになるでしょうか…。
他にも税収確保や医療費の問題から議論するのもよいのですが、ヘビースモーカーの場合、肺をやられることも多く、肺がんになったり、在宅酸素療法(鼻に透明のチューブを通して空気を送り込む、移動時には簡易ボンベを使用)に一生頼らざるを得なくなり、行動範囲が大幅に制限されてしまうなど、生活の質が大幅に落ちてしまうリスクもあることも、一FPとして指摘したいと思います。