ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

「たばこ1000円」論争に火 「税収増」「主張安易」 

2008-05-31 14:56:49 | Weblog
「たばこ1000円」論争に火 「税収増」「主張安易」 2008年05月31日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0530/TKY200805300303.html
 「たばこ1箱を千円に」。日本財団会長の笹川陽平さんの「たばこ値上げ運動」が波紋を広げている。税収は増え医療費は減らせるという提言だが、「国を救う名案だ」「いや喫煙者への差別だ」と賛否の論争に火がついた。31日は世界禁煙デー。
 発端は、笹川さんが3月からインターネットのブログなどで訴え始めたアイデアだ。
 1箱約300円という日本のたばこの値段は安すぎる。1箱千円にすれば9兆5千億円の税収増が見込め、仮に消費量が3分の1になっても3兆円超の税収増が見込める。社会保障の財源として、消費税より先に議論すべきだ。千円になれば多くの人が喫煙をやめるので、健康被害が減って国民医療費を抑えられる。未成年の喫煙抑制や防火にも役立つ、と説く。
 提言はメディアで報じられ、ネットでも話題に。「身近な問題として大いに議論を。私は国会議員に働きかけて立法をめざす」と話す。
 タクシーの禁煙化や路上禁煙条例の制定など、たばこをめぐる環境は厳しくなっているが、こうした動きを「禁煙ファシズム」として批判する声もある。
 ジャーナリストの斎藤貴男さんもその一人。「私はたばこが嫌い」としつつ、「健康を害して高い医療費がかかるから高い税金を払えというのは、後期高齢者医療制度と同じ論法。世の中はお互い様なのに人の生き方や好みを監視し排除するのはおかしい」。
 「タバコは神様の贈り物」の著書がある医師、橋内章さんも「禁煙推進で医療費が抑制できると言うが、果たしてそうか。仮にたばこが有害ならば、やめると寿命は延び、高齢者医療費も増える。安易な主張だ」と批判する。
 製薬会社ファイザーが4月、喫煙者9400人へのアンケートで「価格がどれぐらいになれば禁煙するか」と尋ねたところ、「500円」で54%、「千円」で79%の人が禁煙すると答えたという。
 値段について、日本禁煙学会の作田学理事長は「国際的に合わせるなら、千円ぐらいがいい。未成年も買いにくくなる」と笹川案に賛成だ。神経内科医としてたばこの害を実感する。「40~50代のくも膜下出血の多くは喫煙者。がんだけでなく他の病死のリスクも高く、周りで煙を吸わされる人も含めて健康被害は明らか。税金でなく罰金を科したいぐらい」という。
 こうした論争に、売る側のJTは「喫煙は特定の疾患のリスクを高めるが、吸うか吸わないかは個々人が判断すべきだ」と主張。喫煙者率と肺がん死亡率の相関関係も認めておらず、笹川案にも「特定の商品に過大な負担を強いる増税には断固反対。業界一丸となって反対運動に取り組む」(広報部)と構える。
 さて、政府はどうするのか。税制を考える首相の諮問機関である政府税制調査会の香西泰会長に取材を申し込むと、その答えは「税制の論議はこれから。現時点では答えられない」だった。



 ちなみに、世界各国の紙巻たばこ1箱(20本)の平均価格(2002年5月31日現在)は、ノルウェーが948円、英国が794円、米国が539円、フランスが346円、日本が273円、イタリアが242円、韓国が128円、インドネシアが54円。
 たばこの税負担率は63.1%で、1箱300円のタバコなら189.16円(内訳 国たばこ税71.04円、都道府県たばこ税21.48円、市区町村たばこ税65.96円、たばこ特別税16.40円+消費税14.28円)だとか。
 なんとなくアメリカの方がタバコは安いのでは…というイメージがあったので、そのアメリカでたばこの値段が日本のほぼ2倍だという事実にも驚愕しましたが、税金分の内訳を見ていると、都道府県や市区町村への貴重な税源になっているだけに、地方の財政部門も、この問題の行方は非常に気になるところでしょうね…。

 ごくごく個人的には、人込みの中で平気でたばこを吸うなど、マナーの悪いヘビースモーカーを減らすためにも、500円程度の値上げならば、アメリカでも既にその水準に達していますし、禁煙に取り組むきっかけににもなって良いのではないかと思いますが、皆様はどのようにお考えになるでしょうか…。
 他にも税収確保や医療費の問題から議論するのもよいのですが、ヘビースモーカーの場合、肺をやられることも多く、肺がんになったり、在宅酸素療法(鼻に透明のチューブを通して空気を送り込む、移動時には簡易ボンベを使用)に一生頼らざるを得なくなり、行動範囲が大幅に制限されてしまうなど、生活の質が大幅に落ちてしまうリスクもあることも、一FPとして指摘したいと思います。

「ペリカン便」引退 日通、「ゆうパック」に一本化

2008-05-31 14:52:05 | Weblog
「ペリカン便」引退 日通、「ゆうパック」に一本化 2008年05月19日 朝日
http://www.asahi.com/business/update/0518/TKY200805180154.html
 日本通運の宅配便事業のブランド「ペリカン便」が、約30年の歴史に終止符を打つ見通しになった。日本郵政グループの郵便事業会社との事業統合に伴い、両社がブランドを「ゆうパック」に一本化する方針を固めたためだ。
 日通がペリカン便を始めたのは77年。「荷物をたくさん集めて素早く運ぶ」との思いを込めた。80年代には配達状況を知らせる「追跡管理システム」を導入し、ゴルフやスキーのペリカン便を始めた。クール便、航空宅配便も手がけ、99年には年間取り扱い個数が4億個を超えたが、ヤマト運輸や佐川急便に押されてシェアは年々低下。ペリカン便事業は赤字とみられる。
 郵便と日通は昨年10月、事業統合に合意。今年6月1日に宅配便を専門に取り扱う新会社「JPエクスプレス」を設立し、来年4月に事業をスタートさせる。郵便が最終的に50%超の出資比率を握る。
 業界各社は、動物などのキャラクターを使った「1社1ブランド」を打ち出している。日通は長いクチバシのペリカンで知られるが、「ゆうパックとペリカン便の事業内容が重なっている」(両社関係者)こともあってブランド統一が課題になっていた。
 ただ、日通の宅配便事業にかかわる従業員は約5千人に達するため、反発を招く可能性がある。


 2006年度の宅配便大手4社の取扱い個数だけを見ると、ヤマト運輸の11億6982万個、佐川急便の10億2850万個、次いで日本通運の3億3043万個が続き、郵便事業会社は2億6794万個と、ペリカン便の方がゆうパックよりも多いのですが、ペリカン便が大手2社に押され赤字ということもあり、また日本郵政グループが主導権も握っていることもあり、事業統合によるブランドの統一は、結局ゆうパックではなく、ペリカン便の方が廃止されてしまうようですね。
 とはいえ、ゆうパックは、価格こそ安いものの、2時間単位の配達指定ができない、不在時には一々電話を入れないと再配達してくれないなど、サービスの質がヤマト・佐川に比べて格段に劣るのも事実。日通の宅配便事業の従業員はブランドを失うこともさながら、サービス内容の低下に失望して、運転手兼配達人が大幅に離脱して、その結果お歳暮時期に再び遅配が続出の悪夢が繰り返されるリスクも決して否定できないかと思います。
 郵便事業会社としては、ペリカン便のシェアも引き受ける以上は、大幅に業務量が増えるわけですから、ピーク時の配達員の定着と確保が今以上に重要になると思いますね。

「円天の広告塔」歌手らに賠償請求 L&G会員が提訴

2008-05-31 14:48:42 | Weblog
「円天の広告塔」歌手らに賠償請求 L&G会員が提訴 2008年05月17日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0516/TKY200805160307.html
 「円天」と称した疑似通貨を用いて全国の会員から多額の現金を集めたとされる健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」の出資法違反容疑事件で、東京、神奈川の会員7人が16日、同社の「広告塔」を務めたとして歌手の細川たかしさんや学者ら計4人を相手取り、総額約4500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。被害対策弁護団の弁護士62人が原告側代理人に名を連ねた。
 訴状によると、被告はL&Gの催しに参加した細川さん、関東地方の大学の名誉教授と准教授、「GA」と呼ばれる上級会員。細川さんは96~06年、少なくとも15回の催しに参加し、コンサートを開いたとしている。
 細川さんの所属事務所は「訴状が届き次第、弁護士に任せたい」としている。
 弁護団は提訴後の会見で「4人はL&Gの詐欺商法に積極的に関与し、民法上の共同不法行為がある」と主張。7月に予定されている債権者集会に向け、資料がまとまった会員から4人らを相手に追加提訴する方針を示した。
 弁護団への問い合わせは、平日の正午~午後4時、ホットライン(03・3511・6840~1)へ。


 こちらもちょっと前の報道ですが、L&Gの被害者が広告塔となった歌手らを訴えたようです。
 一般論として、この手の出資法違反詐欺を行ったり、高級呉服を強引に売りつける輩は、有名人を広告塔に使って投資家(被害者)を騙しにかかることが多いですし、こういう言い方をすると被害に遭われた方からはお叱りを受けるかもしれませんが、『元本を保証した上で、100万円を預ければ3カ月ごとに9万円を支払う=配当率36%!』などという夜迷いごとを、まともに信じる方にもかなり問題があると思いますが、騙した当事者はともかく、単に広告塔になった有名人まで損害賠償請求が認められますかねぇ…。
 ちなみに、芸能人の中で細川たかし氏のみが告訴されたことについては『細川たかしはギャラも1回1200万円と高額である上、出演回数も約50回程度と群を抜いており、さらには他の歌手を紹介することで彼らの出演料の一部(およそ4割といわれている)を紹介料としてピンハネしていた』(ウィキペディアより引用)ことからかなり悪質とみなされて訴えられたようですが、ウィキペディアの何らかの形で関わった芸能人のリスト(エル・アンド・ジー で検索可)を見ると、いかにも中年女性受けしそうな演歌歌手がずらりと並んでいて、首謀者の波会長が攻略ターゲットをかなり絞り込んで効率良く?騙しにかかっていたことがよくわかります。

パソコンで通販、「年に10回以上利用」が4割・民間調べ

2008-05-31 14:43:59 | Weblog
パソコンで通販、「年に10回以上利用」が4割・民間調べ 2008年5月12日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080512AT3K0901709052008.html
 インターネット調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)は、パソコンを通じたネット通販に関する調査をまとめた。それによると、最近1年間にネット通販を10回以上を利用した人は41%と、2007年4月の前回調査に比べて6ポイント増えた。1-9回の人も52%に上った。一方、「利用したことがない」人は3%だった。
 この間に買った商品は「書籍・雑誌」が51%(複数回答、以下同じ)で最も多く、「食料品・飲料・アルコール」(48%)や「衣料品」(45%)が続いた。一方、「高級ブランド品」は、購入に抵抗感のある人が45%いた。
 商品を購入する際に参考にするのは、「カスタマーレビュー(購入者の声)」が44%で最も多く、「ランキング、売れ筋商品」(35%)や「新商品、注目商品」(21%)が上位を占めた。
 調査は4月初旬にネットを通じて実施。1万4813人から回答があった。



 私も、本の取り寄せなどで年に4.5回程度オンラインショッピングを利用しますが、年に10回以上利用される方が4割強ですか…(吃驚
 ちなみに、同調査によれば、1年間のオンラインショッピング利用頻度は20回以上が18.5%、10~19回が22.8%、6~9回が16.1%、4~5回が17.5%、2~3回が14.6%、1回が3.5%、この1年は利用していないが3.9%で、パソコンから利用したことはないが3.1%。
 購入したものは、書籍・雑誌が51.2%、食料品・飲料・アルコールが47.6%、衣料品が44.7%、CD・DVD・ビデオが38.4%、化粧品・美容用品が32.9%、旅行・宿泊予約・航空券・鉄道が32.5%の順ですが、パソコンやコンピューター関連機器が27.9%、家電製品・AV機器が24.8%、コンサートや芝居のイベントチケットも15.0%と値段が張りそうなものも結構オンラインでの購入が目立ちます。
 PCオンラインショッピングで利用したサイトは、楽天がダントツで71.9%、(書籍の)アマゾンが47.8%、ヤフーが33.6%、以下ニッセンの14.8%、ベルメゾンの14.7%の通販組が続きます。
 購入時に参考とする情報としては、カスタマーレビュー(購入者の声)をあてにする人が意外に多く43.5%、ランキングや売れ筋商品が35.0%、特になしも35.0%となっています。
 決済方法はクレジットカードが61.0%でダントツ、以下コンビニでの支払いが11.5%、代金引換が10.6%、ネットでの銀行振り込みが8.2%の順。私などは、いくらSSLモードでもクレジット決済にはどうしても抵抗があり、やむを得ず利用した場合は、翌月の明細書はきっちりチェックする派なのですが、世間的にはクレジットカード決済もかなり浸透しているようですね。
 オンラインショッピングで購入したくないものは、高級ブランド品が45.0%、衣料品が20.8%、靴・バッグなど衣類小物・装飾品などが19.5パーセント、金融商品が16.3パーセントの順。
 オンラインショッピングをする際に最も好む決済方法とその理由という、思わずうなずきたくなる、個別意見も載せているようです。

プレスリリースはこちら
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/11701/index.html

東京マンション価格は平均年収の10倍???

2008-05-31 14:40:50 | Weblog
07年東京マンション価格、平均年収の10倍・東京カンテイ調べ 2008年5月9日 
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080508AT1D080AO08052008.html
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0508/TKY200805080211.html
 東京カンテイが8日まとめた新築マンション価格調査によると2007年に東京都内で発売された分譲マンション価格は平均年収の9.85倍となった。06年の8.58倍に比べ一段の拡大。地価高騰や建設費上昇でマンション価格が急騰していることが主因で「適正価格である年収の5倍以内」(市場調査部)を大きく超え、消費者から縁遠い存在になりつつある。
 東京カンテイによると07年に東京都内で発売された分譲マンションの価格(専有面積70平方メートル)は6122万円で、前年比で13.3%の上昇。半面、平均年収は1.4%減の621万円と伸び悩んでおり、マンション価格の上昇が消費者に重くのしかかっている。
 首都圏全体を見ても07年のマンションの販売価格が年収の何倍かを示す「年収倍率」は7.77倍(06年は6.89倍)、大阪も6.63倍(06年は6.16倍)と「全国的にマンションの割高感は増している」という。ただ、08年は販売不振を背景に価格を引き下げる動きも出てきそうで年収倍率は「多少、縮小する見通し」だ。


 少し前のニュースですが、東京のマンション価格が平均年収の10倍近い値段になっているという吃驚する報道があったので、当ブログでも取り上げたいと思います。
 まあ、一言に平均年収と言っても、マンション購入世代ともなると、最近は正社員間でも収入の格差が大分広がってきていますし、年収が高い人は何とか住宅ローンを組むことができるが、低年収の人は東京ではマンション1つ買うことができないという、まさに二極化状態が更に悪化しているんでしょうね…。
 とはいえ、平均年収の10年分なんて、外国の方が聞いたら、単純に『(日本人は)クレイジー』と呆れ果てるのか、それとも日本人のマイホーム信仰の方に呆れ果てるのか…(溜息
 まあ、買う人がいるから、マンション価格もこれだけ高止まりしているのだとは思いますが、これだけ年収倍率が高くなってしまうと、一FPの立場としては、何らかの理由で今の会社を辞めざるをえなくなったときのリスクについて、本当に理解しているのだろうかと、傍から見ていても不安になります。
 東京都内で住宅ローンを組む時には、『これでもか!』というくらいの頭金の額を用意するか、親世代からの住宅資金の贈与を受けることが、これから都内で住宅ローンを組む方にとっては、絶対必要条件になりそうですね。

3児死亡飲酒事故 高検、改めて危険運転罪の適用求める

2008-05-31 14:37:02 | Weblog
3児死亡飲酒事故 高検、改めて危険運転罪の適用求める 2008年05月31日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0531/SEB200805300021.html
 福岡市で幼児3人が死亡した06年8月の飲酒事故で、業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)の罪に問われ一審・福岡地裁で懲役7年6カ月の判決を受けた元同市職員今林大被告(23)の控訴審を前に、福岡高検は30日、改めて危険運転致死傷罪の適用を求める控訴趣意書を福岡高裁に提出した。控訴審では事故の様子を再現したビデオを提出し、現場検証の実施を要請する。
 一審で、検察側は「被告はアルコールの影響で正常な運転が困難だった」として危険運転致死傷罪を適用するよう主張し懲役25年を求刑した。だが、今年1月の福岡地裁判決は、被告は酔っていたものの事故現場まで通常通り運転していたことなどから、「正常な運転が困難な状態ではなかった」として業務上過失致死傷罪と道交法違反を適用。検察、弁護側双方が控訴していた。
 検察側は控訴趣意書で、「飲酒の影響があったことは明らかで、事実誤認だ」と反論。一審では行われなかった裁判官による現場検証も高裁に求めていくという。



 福岡市東区の海の中道大橋で飲酒運転の上、追突事故を起こして、幼児3人が犠牲になった、あの今林太被告の事件ですが、検察は高裁で危険運転致死傷罪の適用を求めるために、あえて高裁に控訴趣意書を提出したようです。
 私は、業務上過失致死傷罪では裁き切れない重大犯罪を裁くために、危険運転致死傷罪を設けたのだと認識していますが、その危険運転致死傷罪を認定する要件があまりにも厳格過ぎますし、今回の事件では、逃げ出そうとして車をぶつけたり、部下に大量に水をもってこさせて飲酒運転の発覚を誤魔化そうとしたことが、逆に同罪の適用を妨げることになってしまったようで、より罪の重いものが適用されない危険運転致死傷罪って一体何なんだろうと考えさせられるものがありますし、ごくごく個人的には、被告の罪は一旦危険運転致死傷罪を適用した上で、その上で妥当な量刑を課すのが妥当ではないかと思うのですが、高裁はどのような判断を下すのでしょうか。
 今のような法律の運用をしている限り、犯罪防止効果が限られるどころか、犯罪者がますます悪あがきする土壌さえ生み出しかねませんし、量刑の適用にも改善が求められているのでは…と考えずにはいられません。

原爆症、二審も9人全員認定 大阪高裁判決、国の新基準より広く

2008-05-31 14:31:35 | Weblog
原爆症、二審も9人全員認定 大阪高裁判決、国の新基準より広く 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT5C3000U30052008.html
 原爆症の認定申請を認められなかった近畿地方の被爆者9人が、国に処分取り消しや国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁の井垣敏生裁判長は30日、一審に続き、がんや甲状腺機能低下症、貧血など9人全員の疾病を放射線による原爆症と認定、全員の処分を取り消した。双方の控訴を棄却し、1人当たり300万円の賠償請求は一審同様退けた。
 国は4月に認定基準を改め、原告のうち、がんの4人は訴訟が結審した後に認定を受けたが、判決は国の新基準で「積極認定」の対象疾病に含まれない甲状腺機能低下症なども原爆症と認めた。全国6高裁15地裁で係争中の集団訴訟で、28日の仙台高裁に続き、高裁が新基準よりさらに広く認定したことになり、今後の認定行政に影響を与えそうだ。
 原告は71―83歳の6人と既に死亡した3人。7人は爆心地から約1.5―3.3キロの範囲で被爆し、2人は入市被爆。

原爆症大阪高裁判決、上告「週明けにも判断」 厚労相 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080530AT1G3001B30052008.html
 大阪高裁判決を受けて、舛添要一厚生労働相は30日午前、国会内で取材に応じ「これから判決の出る訴訟も視野に入れながら、上告についてどういう形で対応するか週明けにも考えたい」と述べた。
 28日の仙台高裁判決に続く国側の連敗で、集団訴訟の原告団は上告断念を強く求めている。厚生労働省内部でも「これ以上、訴訟で争うのは難しい」(幹部)など上告については消極論が強まっている。



 原爆症の認定申請を巡って争っていた大阪の訴訟ですが、控訴審でも、一審に続いて9人全員を原爆症と認定して、国側の控訴を棄却したようです。
 まあ、被爆地からの距離がどうあれ、現実に原告には深刻な身体症状が出ているわけですし、原爆症と認められれば月13万7430円の医療特別手当の支給が受けられるだけに、ごくごく個人的には、これ以上国の責任を問わないことを条件に和解してあげても良いのではないかと思うのですが、厚生労働省は上告するのでしょうか…。
 被爆から60年以上の歳月が経ち、被爆者も高齢化しているだけに、被爆者達の余生を少しでもより良いものとするためにも、国には画期的な決断を期待したいと思いますね。

クリントン氏、最後の賭け 「失格」2州の復活なるか

2008-05-31 14:27:52 | Weblog
クリントン氏、最後の賭け 「失格」2州の復活なるか 2008年05月31日 朝日
http://www.asahi.com/international/update/0530/TKY200805300289.html
 異例の長期にわたっている米大統領選の民主党候補者指名レース。劣勢に立つヒラリー・クリントン上院議員が「一発逆転」への期待をかけるのが、ミシガン、フロリダ両州の代議員の「復活」をめぐる31日の民主党党規委員会だ。クリントン氏にとっては事実上、最後の賭けとなる。
 1月3日にスタートした指名争いは、6月1日の自治領プエルトリコ、3日のモンタナ、サウスダコタ両州の予備選で幕を閉じる。すでにライバルのオバマ上院議員が一般代議員数の過半数を獲得しており、米メディアの専らの関心は、クリントン氏がどのタイミングで撤退を表明するかに向けられている。
 だが、クリントン氏は「私は(予備選での)総得票数で勝っている」と主張し、上下両院議員ら特別代議員への働きかけを続けている。ただ、総得票数はクリントン陣営の独自計算。予備選日程を前倒しした制裁として代議員資格を奪われたミシガン、フロリダ両州での得票を上乗せした数字だ。クリントン氏が圧勝した両州を除けば、オバマ氏が総得票数でも上回る。
 CNNの集計によると、29日現在の獲得代議員数(一般代議員と特別代議員)はオバマ氏が1981人、クリントン氏が1782人。オバマ氏は指名が確定する過半数の2026人まで、あと45人に迫った。クリントン氏の主張通りに両州の代議員が「完全復活」すれば、過半数のハードルが2210人に上がり、オバマ氏のゴールは遠のく。
 一方、いったん決めた制裁を撤回すれば、党規委員会の中立性が問われかねない。次の大統領選で予備選日程を前倒しする州が続出する可能性もある。ミシガン州では制裁の決定を尊重したオバマ陣営などが投票用紙から名前を削除しており、結果的に名前を載せたクリントン氏が1位になった。こうした経緯から、代議員が完全復活されるシナリオは現実味に乏しい。
 もっとも、両州は11月の本選挙で重要な大規模州。有権者の意思がまったく反映されないことになれば、不満が高まり、本選挙に悪影響を及ぼしかねない。このため両州の代議員定数の「半分を復活させる案」も浮上。この場合でも過半数は2118人で、クリントン氏にとって逆転は難しい。
 党規委の決定がクリントン氏に厳しいものとなれば、早期の撤退表明につながる可能性も出てくる。

■今後の主な日程
5月31日  民主党党規委員会
6月1日   プエルトリコ(自治領)で民主党予備選
6月3日   モンタナ州、サウスダコタ州で民主党予備選
        =同党の予備選・党員集会が終了
 8月25~28日 民主党全国大会(コロラド州で)
 9月1~4日 共和党全国大会(ミネソタ州で)
 11月4日   本選挙



 アメリカ民主党の大統領予備選で、オバマ氏が一般代議員数の過半数を獲得しているにも関わらず、クリントン氏が撤退しない理由ですが、やはり、31日に開かれる民主党党紀委員会で、ミシガン、フロリダ両州の得票数が復活することにかけているようですね。
 もっとも、この両州では、党全国委の指示に従わず予備選の日程を前倒ししたため、オバマ氏やエドワーズ元上院議員は党全国委の意向を尊重し、ミシガン州予備選に参加しなかったのに対して、クリントン氏は投票用紙から名前を外す手続きをしなかったため、投票の結果圧勝したという経緯がありますし、ミシガンは産業不況を抱えていること、フロリダはヒスパニックやユダヤ系住民が多いことからも、もし再選挙を行ったらクリントン氏が有利とされているだけに、オバマ氏陣営が同意するとはとても思えませんし、私も公平性を期すためにも、復活はさせないのでは…と見ているのですが、党紀委員会はどう判断するのでしょうか…。
 まあ、予備選の最終選挙も6月3日なので、『もうこのまま選挙戦を戦わせて白黒はっきり付けさせた方がいいのではないか』と思う反面、それだけ両陣営とも選挙戦でお金をつぎ込むことになり、本選挙での資金繰りに苦労することにもなりかねないだけに、早く決着をつけた方が良いのではないかという思いもありますし、そういう意味では、この党紀委員会でどのような判断が下されるか、非常に注目しています。

NYダウは52ドル高 日経平均は今日も214円の大幅上昇 14338円で終了

2008-05-30 18:38:06 | Weblog
NY原油大幅反落、126ドル台に 株価は52ドル高 2008年5月30日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT2M3001430052008.html
 29日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は大幅反落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の7月物は前日比4.41ドル安の1バレル126.62ドルで取引を終えた。米ガソリン需要の減少見通しに加え、米商品先物取引委員会が投機的な原油取引の監視強化に乗り出すと伝わったため売りが優勢だった。
 原油相場下落を受けて株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均は前日比52ドル19セント高の1万2646ドル22セントで終えた。

原油先物相場:米監督機関の監視強化策でWTI大幅反落 2008年5月30日 毎日夕刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080530k0000e020039000c.html
 原油や穀物価格の高騰が深刻な問題となる中、米先物市場の監督機関、商品先物取引委員会(CFTC)は29日、市場監視の強化策を発表した。これを受け、29日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は大幅反落、米国産標準油種(WTI)の7月渡しの終値は、前日終値比4.41ドル安の1バレル=126.62ドルまで急落し、終値ベースでは約2週間ぶりの安値だった。
 CFTCは原油など商品先物市場の透明性向上を図るため、英金融当局と協力して商品指数(インデックス)ファンドに対する監督・監視を強化する。先物市場に流入する投機資金への批判が強まっているためで、市場監視の強化により不正取引を防止する。
 原油相場は先週、一時1バレル=135.09ドルの最高値をつけていた。29日は、ドライブシーズンに入った米国内でガソリン需要が伸び悩んでいることも売り圧力に拍車をかけた。

日経平均続伸、214円高の1万4338円 1月10日以来の高値 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530NT001Y08030052008.html
 30日の東京株式市場で日経平均株価は続伸。大引けは前日比214円7銭(1.52%)高の1万4338円54銭で、1月10日以来の高値となった。円相場の下落基調や原油相場の急反落をきっかけとした29日の米株高などを好感し、キヤノンやホンダ、ソニーなど輸出関連の主力株主導で上昇した。株式投資信託の新規設定に伴う買いや月末固有の機関投資家の「お化粧買い」もあったといい、日経平均は上げ幅を240円あまりに広げる場面があった。東証株価指数(TOPIX)も続伸。1月9日以来の高値を付けた。
 中長期的なインフレに伴う現預金の目減りを警戒して、個人投資家の間で株式に資金を振り向ける動きがみられたという。リスク許容度が上がった海外投資家の買いも続いた。ただ、前日に400円余り上昇したことに加え、年初来の高値圏とあって、戻り待ちや利益確定の売りが上値を抑え、5月16日の取引時間中に付けた直近高値(1万4392円)は上回れなかった。「PER(株価収益率)など投資指標面からは、さらなる上値余地は乏しい」との声も聞かれた。

景気足踏み、物価上昇 4月失業率4.0%に悪化 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530NTE2INK0230052008.html
 景気減速と物価上昇の懸念がともに強まってきた。政府が30日発表した4月の経済指標によると、完全失業率は昨年9月以来の4.0%まで上昇し、鉱工業生産指数も2カ月連続で低下した。全国消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月比0.9%上昇し、ガソリンの一時的な値下がりにもかかわらず高い上昇率となった。資源・食品価格の上昇などを背景に、日本経済の先行きに不透明感が広がりそうだ。
 4月の完全失業率(季節調整値)は4.0%と前月に比べ0.2ポイント上昇した。2カ月ぶりの悪化となった。厚生労働省が同日発表した4月の有効求人倍率(同)は0.93倍。前月を0.02ポイント下回り、3カ月連続で低下した。厚労省は雇用情勢について「注意を要する状態」と指摘し、判断を7カ月ぶりに下方修正した。

4月の消費者物価0.9%上昇、食料品の値上がり目立つ 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080530AT3S3000K30052008.html
 総務省が30日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100、季節調整値)は、変動の激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比0.9%上昇した。暫定税率の期限切れでガソリンが値下がりしたが、穀類を中心に食料品が幅広く値上がりした。暫定税率の復活でガソリンが値上がりした5月の上昇率は、4月より拡大する公算が大きい。
 4月のCPIは100.8で、7カ月続けて前年同月を上回った。上昇率は3月より0.3ポイント縮小したが、昨年12月以降は1%前後の高い伸びが続いている。酒類以外の食料とガソリンなどのエネルギーを除いたCPIは前年同月比0.1%下がり、2カ月ぶりのマイナスに転じた。
 品目別では食料品の値上がりが目立った。全体の物価上昇への貢献を示す寄与度は生鮮食品を除く食料が0.54ポイントと、3月より0.15ポイント拡大。スパゲティ(30.2%上昇)、チーズ(27.7%上昇)、即席めん(18.4%上昇)などの上昇率が高かった。(13:28)

4月の家計消費支出2.7%減 総務省、基調判断を下方修正 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT3S3000L30052008.html
 総務省が30日発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり31万695円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.7%の減少となった。2カ月連続のマイナス。4月は価格が低下したガソリンの購入量が拡大したものの、消費はやや不振で、同省は基調判断を「おおむね横ばい」から「減少の兆しがみられる」と下方修正した。
 4月は道路特定財源の暫定税率失効に伴いガソリン価格が低下。同調査では購入量が過去最大の54.552リットルとなり、支出金額も全国平均で6896円と過去3番目に高い水準となった。消費支出への寄与度も0.43ポイントと大きい。
 ただ消費支出全体でみると、外食が不振だったほか、洋服の購入費も減少。支出を抑制する基調が鮮明となった。サラリーマン世帯の消費支出は実質で前年同月比0.6%の減少。税金や社会保険料を差し引いた可処分所得が5.4%減と落ち込んだのが影響したとみられる。



 29日のNY原油市場は米先物市場の監督機関が市場監視の強化策を発表したことや、ドライブシーズンに入った米国内でガソリン需要が伸び悩んでいることなどを受けて、前日から一気に4.41ドルも下落して久しぶりの126ドル台半ばまで下落。この原油価格の下落を好感して、NYダウも前日比52ドル19セント高い1万2646ドル22セントで終了しました。
 一方、先日、上昇額にして415円、上昇率も3%を超える大商いとなった日経平均ですが、今日30日も前日の『債券から株式への資金の流れ』は変わらず、心配された戻りウリもそれ程大きくなく、午後に入ってからは再び上昇を続け、結局前日比214円7銭高の1万4338円54銭と連日の大幅上昇となりました。

 とはいえ、4月の消費者物価上昇率が、暫定税率が下がった押し下げ要因があったはずなのに、0.9%も上昇したり、失業率も4.0%と前月に比べ一気に0.2ポイントも悪化(一説には暫定税率失効の影響で地方が工事を止めたため、失業率が嵩上げされたという説もあるようですが…)。サラリーマン家庭の可処分所得が5.4%も落ち込んだ影響で、4月の家計消費支出も2.7%も少なくなるなど、個人消費を後押しする材料が急速に悪化していますし、ガソリンの卸値も来月から各社10円程度上げることが確実とされているだけに、正直この株価の急上昇には少し不気味なものがありますね。

マル優や減税、与党が高齢者向け政策案 でも財源は示さず

2008-05-30 18:32:03 | Weblog
高齢者対策、配当100万円以下非課税 自民、マル優制度で検討 2008年05月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT3S3000F30052008.html
 自民党の「高齢者の安心と活力を強化するための合同部会」(与謝野馨会長)は30日午前、総会を開き、総合的な高齢者対策を正式に決定した。株式の配当や譲渡益の一定割合を非課税とする「高齢者投資マル優制度」(仮称)を導入することなどが柱だ。近く福田康夫首相に提出し、6月にも決定する政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針2008」に反映させる考えだ。
 マル優制度をめぐっては「高齢者の年金を補う収入として預金利息に比し株式や投資信託の配当などの重要性が高まっている」と強調。株式の100万円以下の配当や500万円以下の譲渡益を非課税にすることを検討する。預貯金や国債にも適用する場合は、元本合計の500万円までを非課税枠とするとした。

マル優や減税、与党が高齢者向け政策案 財源示さず 2008年05月30日 朝日
http://www.asahi.com/politics/update/0529/TKY200805290317.html
 後期高齢者医療制度をめぐって「高齢者に冷淡だ」と批判され、自民党が検討を始めた高齢者向け総合政策の原案がわかった。株式に投資する高齢者の配当などを対象にしたマル優制度の創設や、3世代同居世帯に対する所得税減税などが柱になっている。
 自民党の「高齢者の『安心と活力』を強化するための合同部会」(会長=与謝野馨前官房長官)が30日に「『健康現役社会』実現のための優先検討事項」として決定する。福田首相の指示を受けて検討した経緯があり、「骨太の方針2008」に優先的に盛り込むよう政府に求める方針だが、財源の裏付けは示されていない。
 具体的には、高齢者が資産を有効活用できるよう、上場株式などの一定額以下の配当や譲渡益を非課税にする「高齢者投資マル優制度」(仮称)を設ける。家族やコミュニティーのきずなを強めるため、3世代で同居したり、近くに住んでいたりする世帯を対象に所得税や不動産取得税を減税する。
 さらに、年齢にとらわれない勤労環境の整備を促すため、65歳以上の高齢者を5割以上雇用する事業所に対する法人税などの減税も明記。また、団塊世代の大量退職を受けて、経験豊かな企業OBを中小企業が照会できる3万人のデータベースづくりなどを盛り込んだ。
 全体の理念として「高齢化社会から健康現役社会への変革」を最大の国家戦略と位置づけ、高齢者が社会貢献し、自分に投資していく社会の構築を訴えている。その実現に向け、優先検討事項の主要項目を骨太の方針に盛り込んで優先的に予算配分するほか、経済財政諮問会議や各府省で実現までの工程表を作成するよう求めている。

 「高齢者の『安心・活力』を強化するための取り組み案」(要旨)
 【勤労環境の整備】雇用保険事業による65歳以上の雇用支援を拡充 ▽高齢者多数雇用事業所への減税
 【知恵と経験の活用】企業OBと中小企業をマッチングさせる「新現役チャレンジプラン」 ▽高齢者の起業への無担保低利融資など
 【資産の活用】「高齢者投資マル優制度(仮称)」の創設 ▽リバースモーゲージ普及のために住宅金融支援機構による融資保険制度の拡充
 【きずなの強化】シルバー世代にかかわるNPOの支援 ▽3世代同居・近居減税 ▽「シルバー保育サポーター(保育大ママ、保育大パパ)」制度



 ん…。与謝野氏をはじめとする、この「高齢者の安心と活力を強化するための合同部会」の話を聞いていると、企業の経営体力を度外視して法外な賃上げ要求を叩きつける一部の強硬派の労働組合と同じで、『その分の財源をどう捻り出すか』という一番大事な所が抜け落ちているんですよね…。
 企業が賃上げするには、当然ながらその分利益を多く生み出すための生産性の向上が必要ですが、それと同じで、高齢者に対する税制優遇を行おうと思えば、足りなくなる税金分をどう穴埋めするかという発想が不可欠。
 これから先数十年レベルで高齢者、とりわけ後期高齢者比率が上昇していく中、労働者世代だけに強引に負担を押し付けたり、あるいは後世に負担を先送りすることはナンセンスですが、そうなれば、広く浅く課税する消費税のような間接税で財源を確保するしかありません。それなのに自分達が打ち出した施策に毎年いくらのコストがかかり、それは消費税で賄おうと思えば○%の上昇になるかもはっきりしないのでは、あまりにも無責任ではないでしょうか。
 子供じゃないのですから、要求だけ出して 『財源? そんなことは知らんよ!』などという逃げ口上は政治家のやることではないと思うんですけどね…(呆れ

自衛隊機受け入れはマイナス効果と判 中国、日本の報道に困惑

2008-05-30 18:17:17 | Weblog
自衛隊機受け入れはマイナス効果と判 中国、日本の報道に困惑 2008年5月30日
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/world/china/080530/chn0805301211006-n1.htm
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT3S3000M30052008.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080530-OYT1T00426.htm
 中国・四川大地震の被災者支援として、日本政府が準備を進めてきた自衛隊機の派遣が“幻”となった。日本が自主的に見送るとの形こそとったが、中国側が「日本の報道の過熱ぶりに困惑」(外交筋)し、自衛隊機の派遣に難色を示した結果ともいえよう。
 中国側が27日に自衛隊派遣を含めて支援を要請したのは、被災地のテント不足という問題とともに、中国重視の福田康夫政権下で、国際社会に対し協調姿勢を示すだけでなく、日中関係をさらに強化したいとの意向があったためだ。「対日感情を更に好転させる機会」(対日研究者)との期待もあった。
 しかし、中国側は「自衛隊機派遣に関する日本の報道の扱いの大きさにとまどった」(外交筋)という。インターネット上で、自衛隊機派遣に対する拒否姿勢と批判が目立ち始め、「関係が改善方向に向かっている日中双方がともにリスクを背負う結果となりかねない。プラス面もあるが、胡錦濤政権への批判にもつながりかねない」(外交筋)と判断したとみられる。
 外務省の秦剛報道官は29日、定例記者会見で「中国政府は、世界の国と軍隊がわれわれに救援物資を提供してくれることを歓迎する」との原則論は示したが、自衛隊機派遣について、「まだ両国間の防衛関係部門の具体的な協議が必要だ」と述べた。すでにこの時点で、日本側に難色を示していたようだ。
 日本の外交筋によると、中国側は27日、「自衛隊機も含めて支援のプランを出してほしい」と打診した。他国の軍用機利用はいいが、「日本だけは民間機で」と言えなかったとの見方もあるが、中国筋によると、胡指導部は、自衛隊機派遣での政治的効果をも期待したようだ。

中国外相、救援物資輸送方法「話し合いで決める」 2008年5月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530AT2M3001L30052008.html
 中国の楊潔チ外相は30日、四川大地震の被災者に対する医療活動を行っている日本の国際緊急援助隊医療チームを訪ねた。この際、同外相は日本政府が自衛隊機での救援物資輸送の見送りを決めたことについて、「軍隊を含めた各国からの救援物資の援助を歓迎するが、具体的な方式は各国との話し合いを通じて決める」と述べた。
 中国では一部メディアやインターネットの掲示板などで自衛隊機による輸送に反発の声が出ている。同外相はこうした世論を受け、間接的な表現ながら自衛隊の受け入れに慎重な姿勢を示したとみられる。
 同外相は四川大学華西病院(成都市)で活動する日本の医療チームが1000人以上の被災者を治療したことに謝意を示すとともに、「防災面で先進的な経験を持つ日本との交流を深めたい」との考えも表明した。




 中国四川大地震の被災者への援助物資の送付に自衛隊機を使うという案ですが、結局、見送りになり、民間機をチャーターすることになりそうです。
 なんでも、この件について日本のマスコミが大きく取り上げ過ぎたことや、中国のインターネット掲示板などで自衛隊が中国国内に入ることに対する強い反発が続出したことが原因のようですが、そもそも先に自衛隊機による援助を言い出したのは中国側ですし、軍のお偉いさんが発言すれば、マスコミに大きく取り上げられることくらいわかりそうなもの。大体、敗戦直後の日本だって、空襲で日本全土を焦土と化したアメリカ軍兵士から援助物資を貰い、そのおかげで沢山の人々が命を繋ぐことができたというのに、この非常時に一体何をつまらないプライドに拘っているのだか…と一日本人としては、どうしてもそんなことを考えてしまいます。
 かって日本の軍隊が韓国や朝鮮・中国籍の方を多数強制連行したことや、一部であった虐殺事件など、中国の人の側にも言い分はあるとは思いますし、子供の頃から反日感情を教え込まれている国ですから、こういった感情的反発が出るのもわからなくもないのですが、援助する側だって、新たに輸送機の手配をしなければなりませんし、まして自衛隊以外の人員ともなれば、これまた集めるのに時間がかかるだけに、政治的理由で何度も振り回されるのは正直勘弁してもらいたいもの。
 今もテントや毛布など、生活する上で最低限の物資もなく困っている人が沢山いるというのに、時間ばかりが経っていくのはホントもどかしいものですね。

教育再生懇:小中学生の携帯使用制限は規制色薄く 

2008-05-30 13:04:23 | Weblog
教育再生懇:小中学生の携帯使用制限は規制色薄く 2008年5月27日
毎日 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080527k0000m010116000c.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080526AT3S2601X26052008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080526-OYT1T00517.htm
 政府の教育再生懇談会の第1次報告で、注目が集まっていた小中学生による携帯電話使用の制限は規制色の薄い表現になった。福田康夫首相の一言を受けて始まった議論だったが、安全のために子供に携帯電話を持たせる親もいることなどを考慮、性急な規制は困難との結論に落ち着くことになった。
 「そもそも携帯を持つべきかを議論した方がいい」。首相は4月17日の懇談会で問題提起した。有害情報から子供を守る議論は有害サイトへの閲覧制限が中心だったが、首相の一言で携帯電話所持の是非そのものが焦点として浮上した。
 今月17日の前回会合では(1)携帯電話を持たせないよう保護者に促す(2)所持する場合には法規制をかける--という方向で一致。ただ、委員からは「教育的な『思いやり』の視点から、小・中学生に携帯電話が必要かを考えるべきだ」「居場所確認機能など子供にとって有益な機能もある」などの声が出て、その後、大勢も慎重意見に傾いた。
 首相は第1次報告を受け取った後も規制が必要との考えのようで、26日夜、記者団に「持たせたい親御さんの気持ちも分かるが、そういう(通話と居場所確認に限った)機能しかない電話を持ってもらいたい。子供たちに与えていいかどうか親がしっかり判断しなきゃいかんですよ」と語った。


 多少規制色は薄まったとはいえ、この教育再生懇親会に所属するお偉いさん連中。なんで小中学生に『携帯電話を持たせない』、『持たせるとしてもネットアクセスやメールなしありき』なんでしょうね…(呆れ
 なんでも報告書では、『有害情報対策について、必要のない限り、小中学生が携帯電話を持たないよう、保護者や学校はじめ関係者に協力を求め、携帯電話を持つ場合は、通話機能などに限定した機種を推進し、携帯電話会社に対して通話やGPS(全地球測位システム)機能に限定した機種の開発と普及を促す』そうですが、メール一つとっても、小学生は親や兄弟など親族とのやり取りが中心でも、中学生ともなれば、友人間のコミュニケーション手段と化しているのが現実ですし、当の子供だってネットアクセスどころかメール機能もない、らくらくフォンのような、チャチな携帯電話なんて、本気で欲しがるでしょうか???
 懇親会メンバーはネットアクセスにより、子供達が犯罪に巻き込まれることばかりを強調したいようですが、今時の中学生からメールによるコミュニケーションを奪うことは、一歩間違えば友人を失うことにもなりかねませんし、私にはむしろ、携帯電話を持たない子供が仲間はずれなることで、いじめ問題を誘発しかねないと思うんですけどね…。
 まあ、食事中も携帯電話を離せないといった、携帯依存症の問題はありますが、そちらはむしろ親の躾の問題。子供を犯罪から守るという一見耳障りの良い言葉の裏に、『子供は犯罪を見抜く力がないから、犯罪者と連絡する携帯電話そのものをなくしてしまえば良い』という『強者による排除の論理』が隠されているように、私には思えてなりません。

ワクチンを常連客に無断接種、准看護師のスナックママ逮捕 

2008-05-30 12:59:19 | Weblog
ワクチンを常連客に無断接種、准看護師のスナックママ逮捕 2008年5月29日
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080529-OYT1T00490.htm
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805291942034-n1.htm
 千葉県警環境犯罪課などは29日、准看護師でスナック経営の千葉市中央区、国吉みち子容疑者(56)を保健師助産師看護師法違反の疑いで逮捕した。
 捜査関係者によると、国吉容疑者は昨年11~12月、勤務する千葉県佐倉市の病院から注射器とインフルエンザのワクチンを持ち出し、自身が経営する千葉市中央区のスナック店内で、医師の管理下にないまま常連の男性客3人に接種した疑い。
 県警によると、国吉容疑者は「サービスのつもりで自分から持ちかけた」と供述しており、一般より安くインフルエンザの予防接種をしていた。客に健康被害は出ていないという。



 ヤミでインフルエンザワクチンを打つ行為そのものも相当恐ろしいことですが、いくら準看護師とはいえ、勤務先の個人病院から、簡単にインフルエンザワクチンを持ち出すことができる病院側のワクチンの管理体制ってどうなっているんでしょうね…(呆れ
 ワクチンの中では副作用が比較的少ないと考えられているインフルエンザワクチンでも、非常に稀とはいえ急性散在性脳脊髄炎(過去9例の報告)やギランバレー症候群が発症する可能性だってありますし、容疑者は『サービスのつもりで自分から持ちかけた』と供述しているようですが、万が一にも重度の健康被害が生じた時に、どう責任を取るつもりだったのでしょうか…。
 ヤミでワクチンを打った場合は、医薬品副作用被害救済制度(http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html)の対象にもならないでしょうし、ここまで自分の職業の重要性に自覚をもてない医療従事者がいること自体、非常に恐ろしいことだと思います。

ロコ・ロンドン金取引、海外商品先物取引の被害 ニュース2本

2008-05-30 12:53:02 | Weblog
ロコ・ロンドン金取引、業者を強制捜査 千葉県警 2008年05月29日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY200805290106.html
 「ロコ・ロンドン金取引」と呼ばれる金の先物取引で元本割れの危険性を十分説明しないまま契約を勧誘したとして、千葉県警は29日午前、特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで、取引仲介業者「あさひアセットマネジメント」(宮内一仁社長)の東京都文京区にある本社や名古屋市内の支店など計5カ所に家宅捜索に入った。
 県警は、同社による被害について、関東や名古屋市周辺を中心に少なくとも数百人、数億円にのぼるとみている。
 調べでは、同社は昨年9月、同県八千代市の女性(67)に取引を持ちかけ、「当社が倒産してもお客様の預けた資金は大丈夫」などと虚偽の事実を告げた疑い。県警によると、女性は今年1月までに3700万円の損失を被ったという。

被害78億円か 海外先物取引装い詐取 秋田の業者逮捕 2008年5月29日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805291942034-n1.htm
 海外商品の先物オプション取引を装い、顧客から出資金をだまし取ったとして、秋田県警捜査2課などは29日、詐欺の疑いで、秋田市の先物取引会社「ファーストオプション」元社長、細川広明容疑者(49)=秋田市高陽青柳町=ら幹部4人を逮捕した。
 県警は秋田県を中心に被害者が約660人、被害額は約78億円に上るとみている。
 調べでは、細川容疑者らは平成18年1月ごろから2月ごろにかけ、秋田市の自営業女性(74)の自宅で「預かった金を米国で商品先物取引などで運用している。3カ月ごとに預かり金の3%の高配当を受けることができる。元金は絶対大丈夫」などとだまし、4回にわたり出資金約1000万円をだまし取った疑い。
 県警は昨年6月、被害者が出した詐欺容疑の告訴状を受理し、捜査を進めていた。




 本来の『ロコ・ロンドン取引というのは、通常、事業者間の相対で行われるロンドン渡しの金の現物取引の総称で、銀行や商社、鉱山会社等国際的な大手の事業者を中核とする相対取引市場において電話やロイター端末を通して行われる取引のことを指し、これらの会社に口座を設定して取引できる者は一定の信用力がある者に事実上限定される(経済産業省のHPより部分編集&引用 http://www.meti.go.jp/policy/commerce/a00/2007/0222-3.html)』ものであって、個人投資家が参加できるような代物ではないのですが、最近はグ○ーバリーなどのねちっこい勧誘をする業者が行っていた無差別電話勧誘攻撃が禁止されるなど、(国内)商品先物取引業者の勧誘指針が厳しくなったせいもあるのか、悪徳勧誘員がこういった 法の規制が入らない外為証拠金取引やロコ・ロンドン取引(を名乗るレバレッジ取引)、海外先物取引を行う業界に流れ込み、それに伴いこの分野の詐欺被害も急増しているようですね。

 ちなみに、金の金利保証というのは、預貯金等の利息とは全く異なる概念で、ドルと金の金利差に相当するものであって、金利の状況によっては、期待したとおりの金利が受け取れないことや、金の価格変動に伴い、受け取る金利以上の損失を被るおそれもあるなど、銀行の金投資口座,や証券会社の金貯蓄口座とも全く性質の違う、ハイリスクハイリターンな取引のこと。
 おまけに、証券先物や(国内)商品先物と異なり、国への報告義務もないため、本当に取引を出しているのかどうかも疑わしく(顧客に送る書類など、その気になればいくらでも偽造できます!!!)、信用のおける業者を探すのも一苦労ではないかと思いますし、100歩譲って信用できる業者を見つけ出しても、株式と比べてわざわざ情報がリアルタイムで伝わりにくい金や海外商品先物でレバレッジ取引を行うこと自体、メリットがないと私は思います。

 それにしても、この『あさひアセットマネジメント』という名称も、どこかの金融機関の関連会社と誤認しそうな紛らわしい名前ですね…。
 事実、投資信託の運用会社には現在でも『朝日ライフアセットマネジメント株式会社』という名前の会社(朝日生命保険相互会社が100%出資している投資信託会社)があり、『朝日投信委託株式会社』という投信委託会社がかってあり(現在は合併や2度の名称変更を経てみずほ投信投資顧問)都市銀行にもかってあさひ銀行(現りそな銀行)という名の銀行があり、証券会社では、『アセットマネジメント』という名前を部署に使うことが流行ったこともあり、この『あさひアセットマネジメント』という社名はどう見ても、大手の銀行や証券の関連会社と顧客に誤認させようとしているとしか思えないのですが、やっていることは所詮はレバレッジ取引による手数料稼ぎ(本当に市場に取引を出しているかも怪しいものですが…)。
 基本的には、多少の損失でも気になるような性格の方は、この手の業者とは係わり合いにならない。冷静な判断をする自信と資力があり、どうしてもレバレッジ取引をやりたいという方でも、株式レバレッジに留め、かつ自分のペースで冷静に取引できるオンライン取引に限定するのが無難だと思います。(*注:私は、株式取引などで、余程冷静に見切りができる方でもなければ、レバレッジ取引そのものをお勧めしない方針です)

アデランスHD総会、役員再任否決 ニュース4本

2008-05-30 12:37:15 | Weblog
アデランスHD総会、役員再任否決 スティールなどが反対 2008年5月29日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080529AT2D2900F29052008.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080529-OYT1T00465.htm
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY200805290106.html
 筆頭株主の米投資ファンド、スティール・パートナーズから全経営陣の退任を求められていたアデランスホールディングスは29日午前、東京都内で定時株主総会を開き、岡本孝善社長ら現取締役の再任に関する議案が否決された。同社株を議決権ベースで約28%保有するスティールをはじめ、業績不振に不満を持つ株主が反対に回り、過半数の支持を集められなかった。
 今回否決されたのは取締役候補のうち、岡本社長ら総会以前から取締役だった7人。新社外取締役候補の2人は賛成多数で可決された。アデランスは一時的な措置として当面、総会前の経営陣9人と新たに選出された社外取締役2人の計11人で同社の運営に当たることができるとしている。ただし今後は再び株主総会を開き、新しい取締役の選任を迫られることになりそうだ。

アデランス経営陣に株主「NO」 ファンド悪玉論、後退か 2008年5月30日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080529/biz0805292025014-n1.htm
 アデランスホールディングス(HD)の株主総会で経営陣の再任案が否決されたことは、株主の影響力が一段と強まってきたことを改めて浮き彫りにした。アデランスが業績目標を達成していないことなどを理由に経営陣の辞任を要求していた筆頭株主の投資ファンド「スティール・パートナーズ・ジャパン」が再任に反対したことが大きく影響しているが、他の株主も「経営者失格」と同調した。投資ファンドなど「物言う株主」は確実に増えており、6月にピークを迎える3月決算企業の株主総会にも影響を与えそうだ。
 スティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン代表は28日、「株主がアデランス取締役の経営に対する信任を完全に失い、変化を望んだことの現れ」とするコメントを発表した。アデランスは、この日の株主総会で反対票がどの程度に上ったかについて明らかにしていないが、株式市場ではアデランス株に買いが殺到し、リヒテンシュタイン代表の言葉を裏付ける結果となった。
 スティールはアデランスの約26・7%を保有する筆頭株主。昨年の株主総会では、買収防衛策導入の阻止に向けた委任状争奪戦を展開、対決姿勢を鮮明にしたが、否決された。一転して今年は、2月に現経営陣の退任と株式の非公開化、スティール側からの取締役派遣などを申し入れたが、総会での株主提案も見送っていた。交渉は不調に終わったが、経営陣に対して不満を持つ他の株主を引きつけることに成功した。
 株価低迷が長期化する中で、経営陣に不満を募らせているのは個人株主も同様だ。権利行使に目覚めた株主の力は確実に強まっている。昨年の東京鋼鉄の総会では大阪製鉄との経営統合を目指した経営側の提案が否決された。今年1月には調剤薬局大手のアインファーマシーズとの統合を目指したドラッグストア大手のCFSコーポレーションの提案に、筆頭株主であるイオンが反対し、他の株主も同調した。
 野村証券金融経済研究所投資調査部の西山賢吾ストラテジストは今回のアデランスの総会について、「業績の悪い企業に対し、株主が『ノー』を突きつけることが普通になっていく先駆的な例ではないか」と指摘する。かつての“シャンシャン総会”の時代は去り、企業価値を上げる努力を続けなければ、企業戦略を思うように進められない時代になったことをアデランスの総会は改めて経営陣に突きつけた。

アデランス、今後どうなる? 2008年5月30日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080529/biz0805292035015-n1.htm
 アデランスホールディングスは岡本孝善社長ら取締役7人の再任が29日の株主総会で否決されたことを受け、経営陣の人選を含めた今後の対応策について検討を始めた。同社は「現経営陣の退任の期限は法令で定められていない」と強調しつつも、「すみやかに再度株主総会を開く」としており、岡本社長の退陣は不可避と判断しているもようだ。
 同社に残された選択肢は2つ。現経営陣で再度再任を目指すのか、それとも新経営陣を擁立するのか。
 今回、岡本社長ら取締役7人が再任されなかったのは、業績不振に不満を持つ株主が反対に回ったためだ。事実、平成20年2月期までの中期経営計画は未達に終わり、経常利益は目標額120億円に対し、44億円にとどまった。
 同社の柱は育毛事業とかつら事業。育毛事業のターゲットである20代の顧客は少子高齢化で減少、かつら事業もライバル他社との競争激化で伸び悩んでいる。抜本的な経営改革は「待ったなし」の状況だ。
 今回、株主は「岡本体制」ではこの難局は乗り切れないと判断したわけだが、新経営陣体制になったとしても、いばらの道であることに変わりはない。

経営統合など戦略加速を アデランスにスティール攻勢 2008年5月30日 共同通信
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052901000888.html
 米投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドは29日、アデランスホールディングスの株主総会で岡本孝善社長ら取締役7人の再任否決に追い込んだことについて、「企業価値拡大のため、あらゆる戦略的選択肢を検討してほしい」とのコメントを発表した。
 筆頭株主としてアデランスに対し、国内外の同業他社との経営統合やスティール関係者の取締役就任などの検討を急ぐよう強く求めた形だ。苦境に立たされたアデランスは大胆な経営改革を迫られそうだ。
 アデランスは、取締役数が会社法の規定に満たなくなったため、否決された岡本社長ら7人と新任の承認を得た社外取締役2人を含む11人で暫定的に経営に当たる異例の体制を敷いた。
 しかし、株主に「不信任」を突き付けられ、求心力が著しく低下した岡本社長の居座りは許されず、辞任に追い込まれるのは不可避。今後は、2月末で議決権の49・9%を占める外国人株主も納得するような取締役の人選を進められるかが焦点となる。




 昨年のアデランスの株主総会は、会社側が55%の支持を得て、かろうじて現経営陣が逃げ切りましたが、今回は、日本勢の一部も反対に回ったようで、結果として、異例の役員再任案が否決される非常事態になったようです。
 まあ、当期純利益が5億9000万円の黒字と言っても、営業外収益10億9300万円に頼り切っているのが現実ですし、特別損失も17億6600万円計上する(いずれも連結)など、会社の実態は赤字。
 加えて株価も、99年9月14日の6100円をピークに、2002年半ばに3000円を割り込んでからは、2006年頃に若干回復の兆しを見せるものの、5年以上にわたって長期低迷している状況で、既存の株主の不満もかなり高まっていたでしょうし、そんな中、スティール・パートナーズの28.8%やステート・ストリート・バンク・アンド・トラストの14.8%など、外国人比率が49.9%の議決権を握っている状況では、今回ばかりは、現経営陣が負けてしまったのも、決して予想できない事態ではなかったように思いますね。

 もっとも、産経記事のように、いきなり株主重視経営が加速化するかどうかと聞かれれば、私は今回のアデランスの事例は、1)外国人大株主2社に43.6%の議決権を握られていた、2)株価が5年以上低迷している、3)現経営陣の評判も元々良くない(岡本氏は平成7年5月に社長に就任してから、ずっと経営に携わっています) という3つの条件が揃ったから、ここまで追い込まれただけで、余程経営状態が悪化した企業でないと同様のケースが続くとは思えませんし、増配に応じるなど、多少は現経営陣に対する圧力となっても、経営者側が怯える程には、投資ファンドに株主が付くケースはそれ程多くは出てこないのではないかと考えます。

 それにしても、取締役留任を拒絶された現経営陣は、次善の策として、どのような人事案を打ち出してくるのでしょうか。岡本社長の退任は当然として、取締役枠7人についても、スティール側が推す取締役も2人程度は受け入れないと、他の株主の同意を得ることはとても出来ないと思いますが、業績を改善できなければ、今度こそスティール側の息のかかった社長を送り込まれて、好き勝手?やられかねないだけに、同業他社との経営統合(もっともわざわざ火中の栗を拾う会社が現れるとも思えませんが…。)や大幅なリストラ断行など、かなり厳しい経営改善策を求められることになりそうですね。