日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

貫井徳郎著「崩れる」

2012-05-24 | 読書
昨日今日は、さわやかな五月晴れ
空ばかり見上げて仕事ははかどらない。

お天気のせいではないのだろうが、
5月に入って読んだたった1冊がこれ

角川文庫 貫井徳郎著「崩れる」
ー結婚にまつわる八つの風景ー



2000年の単行本を2011年に文庫化した。
八つの物語が終り巻末の解説がすごい
著者が「自注解説」を書き
愛読作家のピカイチ、桐野夏生が書き
「私は貫井徳郎氏の小説のファンだ。・・」で始めるし
書評家の藤田香織が続けるし・・

貫井特郎の初めての短編集で気合い充分
この短編と合わせて貫井特郎は玄人受けもしているようだ。

読者に取って短編は「肩肘張らずに気楽に読める」
「気分の切り替えがしやすい」など手軽だが
作者にとっては長編と違う物語構成と
人物描写など気の使い方があるらしい。

それはともかく、
八編からなる物語は結婚したものの
「あれ?こんな筈ではなかった・・」
クズ亭主と成人の息子がいる主婦、我慢の果てが一気に崩れ・・

妊娠した妻と過去の行いに怯える夫

翻訳で身をたて、結婚にあこがれもしない30代の女性
高校時代の恋愛を思い出し「ある思い」に憑かれる

・・などなど
桐野夏生の解説通り「女性の、自覚すらしていないもやもやした思い」を
見事に短編にまとめている。

物事を思い詰められない性格の私は
「だから几帳面な人は行き詰まるのよ!」
読んでいるさなかに突っ込んでしまうが
「あるある」「いるいる」身近かな存在から
一気に異次元に突入する所も貫井徳郎なのだろう。

貫井徳郎ファンには捨て置けない一冊です。
コメント (3)
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