本屋さんで見つけた1冊
川崎草志(そうし)著「長い腕」角川文庫
わざと歪ませたような鏡に映る和室の表紙
手に取ってまた棚に戻す
作者も覚えなし
ホラーっぽい、ホラーは好きではない
帯の文字「あなたの家の歪みは大丈夫ですか?」
「家の歪み」はほっとけない
ダメ元で購入
作者は40代、ゲームのセガ勤務を経てただ今ゲーム制作会社にお勤め中
総武線の車内の行きずり殺人、松山空港のデマのよる高校生の死亡事故
ゲーム制作会社社員の無理心中
作者の得意分野のゲーム制作の女性が主人公
徹夜続きでようやく新作ゲームが最終チェックを迎える
身なりを気にしないハンサムな上司
ぬいぐるみに囲まれて仕事をする写真
普通ぽっくあるものの、寝袋に寝て、愛車の軽で運べる家財道具しか持たない主人公
連日の徹夜や夜間勤務は当たり前の変人達(失礼)世界(?)
設計事務所もウン十年前は遅出、徹夜は毎日だったが
近頃は土用休みの世間並になって来たが
まだまだ健康生活が営めない若者の働き場はあるようだ。
同僚の無理心中と田舎の死亡事故に共通点を見つけ
予定していた退職を機に田舎の旧家に帰る。
腕のいい棟梁の作った大きな実家
同じような造りの従兄弟の家
従兄弟の家に行くと頭が痛くなっていた主人公
実家の姉の災難に対応し、元上司に助けを乞う
丁々発止あり、ネット検索あり、怖い眼にあい
事故死をした父母の実情を知る事になる
ホラー小説ではなかった!
第21回横溝正史ミステリー大賞受賞作
一昔前に大流行だった横溝正史の連作
旧家の怨念が今に引きづり、悲劇が起こる。
ほとんどを読んでいたが、ひどい目にあってから止めた。
ベッドの中で読み終えて寝たが、
引きずって怖い夢を見て翌日から熱を出して寝込んだ。
この作品も旧家の怨念が今に及ぼす「歪んだ家」
しかし熱を出すほどの怖さはないが
読み終えて満足な1冊
本当に怖いのは「・・」書くわけにはいかないが
主人公が二度と連絡をしない決心をするのは賢明だ!
それにしてもこの作品は2001年作
2004年に文庫化された解説には
「作者の2册目」の予告が出ているが
いまだにネット上にはない。
物語と同様にゲームソフト制作で徹夜続きだろうか?
物語を作成中に何かが歪んでしまったのだろうか?
それとも物書きからキッパリと足を洗ってしまったのだろうか?
物語以上にミステリアスな作者
お勧めの1冊です。