日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

柳広司著「風神雷神」上下巻

2021-04-05 | 読書

先週末に読んだ上下巻
柳広司著「風神雷神」講談社文庫刊
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000348681

あの有名な俵屋宗達の風神雷神図屏風をモチーフ(?)に

俵屋宗達の生涯を物語にした。

柳広司の本は読んだことがないし
ミステリー作家といえども、関心の埒外だった。

本屋さんで見て試しに上巻だけ買ってみた。
が、読み終わって直ぐに下巻を買いに走ってしまった。

宗達は幼い頃から色々な絵の模写に熱中し
扇屋の俵屋に請われて養子に入る。
考えているときは、ぼ〜〜とし
周囲に「大丈夫かいな」と思われたりしたが
一旦描き出すと周囲のことが目に入らないほど熱中し
同じ絵を描いても他とは抜きん出た作品に仕上げる。

色々な作品の模写の機会に恵まれ
次第に扇屋の範疇以外の注文も入り
大きな屏風に描くようになる。

あの本阿弥光悦との有名なコラボ作品
俵屋宗達の鶴の下絵の上に光悦が歌を描く
以前見たことがある!

遠い江戸時代のお話が一気に身近になってくる。

あの出雲のおくにまで近しい間柄になり
びっくり仰天するが、
同時代を生きて来た人たちと納得させられる。

歴史上の人々が近くに感じられることはないけれど
小説になるとぐんとみじかな存在になる。

さらに、昨年三十三間堂でじっくり見て来た風神雷神
http://sanjusangendo.jp/b_2.html
きっと宗達も見たに違いない、
けれど鎌倉彫刻と違い、一面に漂うユーモア
怖くても、恐ろしくはない国宝

だけど小説では、いくつもの絵を描いているときの描写(物語)はあるものの
風神雷神図屏風は近しい女性3人が見ているだけ

意図的すぎる、、

びっくりする物語ではあり、良くぞ物語ってくれた、、

おすすめの一冊です。

 

 

コメント
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