日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

夏川草介著「勿忘草の咲く街で」

2022-04-18 | 読書
夏川草介著「勿忘草の咲く街で」安曇野診療記 角川文庫刊

 帯の「真っ向から高齢者医療に挑む!
   「医者は神ではない。
    人間である僕らができること」に惹かれて買った一冊。

長閑な安曇野の地域病院 梓川病院の物語
3年めの看護師と1年めの背広の似合わない研修医
少し読んで
研修医と看護師の青春ラブストーリなら読まなくていい、と
閉じたけれど、先日新宿で買った3冊のうちの一冊
1冊目でやめたら次に入りにくい、と再度チャレンジ

読み進むに従って、そんなチャラい話ではないことが分かってきた。

高齢化が進んでいる地域なので
患者の平均年齢は80歳をゆうに越えている。

高齢患者の治療は早々に打ち切り、
密かに「死神」と呼ばれるお医者もいる。

患者も、意識が希薄なまま誤嚥で重篤になったり
「積極的な治療はしたくない」自ら唱える高齢な女性

高度の医療が進み、死時が分からなくなっている。

花屋の息子で物事を見極めたい研修医は
死に時を探り、好きな花になぞらえて
カタクリの花は根が切れると枯れ、
根が切れてないと儚くなっても生きながらえる。

カタクリになぞらえて、それぞれに引導を渡す。


    カラタチの花

医療の進歩により、簡単に死ぬことは少なくなったが
死に損なって、チューブに繋がれて生き続けるのはやめたい。

高齢者医療は個々の見極めが大切、、そう思う。

そんなこんなで、研修医のことが分かった気になるし
現職医師の作家の物語だけに病院内のことも信憑性がある。

だけど背広が似合わない医師なんているのだろうか?
先週病院で細胞を採ってくれた研修医3人
キリッとした眉と瞳(それしか見えない)
みんな背広が似合いそうだったけどなあ、、
コメント
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