今回紹介するのは深海性のツノザメ科魚類トガリツノザメSqualus japonicus Ishikawaです。トガリツノザメは水深100~300mくらいに多く生息します。
ツノザメ目魚類の分類には諸説あります。
1.ツノザメ科のみとする考え(中坊徹二編(2000)など)
2.ツノザメ目の中に、アイザメ目・ヨロイザメ目を含める考え(Fishbasなど)
ここでは1.の説に基本的に従っています。
ツノザメ科は日本で2属8種、世界で2属28種が知られています。ツノザメの仲間は成魚でも全長180cm以下と小型の種が多く、人を襲うことはないようですが、2つの背鰭の前に大きな毒棘があり、危険なサメのグループといえます。
ツノザメ属Squalusはリンネにより1758年に提唱されました。最も古くからある魚類の属名の一つといえます。このうちの1種のアブラツノザメはほぼ全世界の海域に分布し、ヨーロッパでも馴染みのあるサメだったといえます(日本にも分布)。しかし乱獲が進み、絶滅の危機に瀕しているものとされます。
本種の資源状況は不明ですが、ツノザメ類は妊娠期間が長いものが多いため、資源量には注意する必要があるといえます。
トガリツノザメはその名の通り吻が長く、体は一様に灰褐色であることで他のツノザメ属魚類と区別できます。底曳網で漁獲され、練り製品の原料になります。