3月の終わりにぶろぐを削除されましたので、4~5月のできごとも書いていきます。
この魚はアナゴ科のミナミアナゴ。アナゴ科の中でもクロアナゴ亜科に含まれ、この亜科にはマアナゴやクロアナゴといった食用でお馴染みのものが何種か含まれる(ゴテンアナゴやハナアナゴはホンメダマアナゴ亜科という別亜科に含まれる)。
ミナミアナゴの頭部。上唇にはクロアナゴやギンアナゴなどのように溝がなくこれらの属の種類と見分けることができる。また歯については非常に小さく歯帯をなしていることによりアイアナゴやツマグロアナゴなどと見分けることができる。
鋤骨。これの歯帯がやや長めであることにより、よく似たキツネアナゴと見分けることができる。また、キツネアナゴは肛門前側線孔数でも区別できる。キツネアナゴは29~31、ツマグロアナゴは38~40である。
名前は「ミナミアナゴ」だが学名のうち属学名は「日本のアナゴ」という意味であり、タイプ標本の産地は三重県らしい。国内では千葉県から沖縄舟状海盆にかけて広くみられる種で水深300~535mの深海底にすみ、底曳網で漁獲されるものの数はあまり多くはないようである。
ミナミアナゴは一般に食用にされていないが、今回は状態のいいのが入手できたので、かば焼きで食べてみた。食べられるが、小骨がやや多くマアナゴよりは食べにくい感じであった。それゆえ市場にでないのであろう。
今回は戸田「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。ありがとうございました。