昨年12月、宮崎の門川の漁師Wadaさんから、いろいろな魚をいただきましたのでご紹介します。
今回久しぶりに出会った魚のひとつ、ヒイラギ科のコバンヒイラギ。
コバンヒイラギは見た目がイトヒキヒイラギ属のオキヒイラギに似ているように思う。体は若干長めで、黒い大きな模様がある。しかしながら、オキヒイラギとは明らかに異なる特徴がいくつかある。
まずは両顎に大きな犬歯のような歯をもっているということである。ヒイラギを釣っている方ならわかるかもしれないが、ヒイラギの口には犬歯のような歯がないのに、このコバンヒイラギはすごい強そうな歯を有する。
もう一つの特徴は口が前方へ突出するということである。これはもしかしたらほかのヒイラギの仲間とは食性が異なるのかもしれない。ヒイラギは底生動物や甲殻類を食べているのだが、コバンヒイラギはいったい何を食べているのだろうか。魚でも食べているのか、残念ながらわからない。
分布域は魚類検索の第三版では沖縄島、台湾南部、浙江省、広東省、海南島、トンキン湾、インドー西太平洋となっているが、最近は九州の南部(鹿児島県笠沙、宮崎県)でも漁獲されている。「門川の魚図鑑」という本には、「宮崎県で近年急激に増えてきた熱帯性の魚の一つ」と紹介されている。死滅回遊ではなく、明らかに繁殖しているのだと思われる。急激に増えたが門川では食用にはならず、捨てられてしまう、もしくは養殖魚の餌となる、とある。ただ新鮮なコバンヒイラギ、ぜひとも食してみたいところである。
今回のコバンヒイラギは宮崎県門川のWadaさんより。ありがとうございました。