▲ 今週のみけちゃん
▼ 筑紫洲 (つくしのしま) でもぶどう記録;第17週
■ 今週の筑豊境
お祭り
■ 今週の半額
三富 桜餅おはぎ詰合せ 3個入;桜餅、あんのおはぎ、きなこのおはぎが楽しめる詰め合わせ。 (引用元)
三富株式会社
和菓子の製造・販売を行う会社饅頭や羊羹などを扱っている企業
福岡県に拠点を置く和菓子の製造・販売を行う会社です。羊羹製作事業、饅頭生産事業、もち菓子製造事業に取り組み、飲食・外食、食品、和食、和菓子の業界で活動しています。(引用元)
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■ 今週の3割引き、あるいは、天然もの
天然真鯛の刺身
■ 今週返した本
◆ 『三島由紀夫「最後の1400日」』、本多清、毎日ワンズ(2020年)Amazon (出版社からのコメントあり)
三島由紀夫の盾の会 [wiki] は100人ほどいたらしい。当時、1970年頃、学生だった人たちなので、現在は70代後半。団塊の世代。もう死期を考え、体験を書き残そうということか。盾の会にいた人が複数自伝を書いていると気づく。この人は三島から遺書ももらったという。原文が公開されている。
● <盾の会 ー ド・ゴール> ライン::五十嵐九十九、あるいは、元祖コスプレイヤー
この本で、目次を見ると、「ド・ゴールと盾の会」とあった。ああ、やはり、盾の会はド・ゴール主義が好きなんだろうなと思った。もちろん、ド・ゴール主義とは、
ド・ゴールの国際政治における主要な主張は国家の主権であり、その思想の実践としてNATOや欧州経済共同体(EEC)のような国際組織に対して、ある程度反対の立場を取った。その基本的な信条は、「フランスの存続のためにフランスは外国に依存すべきではなく、フランスはいかなる外国の圧力に対しても従属すべきではない」というものだった。
この信条に基づき、ド・ゴール政権下のフランスは独自の核抑止力を作り、アメリカ合衆国への過度の従属を避けるためにNATO軍事機構からの脱退を行うこととなった。 (wiki)
というものだ。
このド・ゴール主義を日本に当てはめれば、日本の核武装と米国と距離を取ることになるはずだ。だから、三島由紀夫と盾の会の軍事・外交の政策において、この点が書かれているのだろうと思った。この本を手にとったとき目次で見て気づき、真っ先に読んだ。
全然、違った。
衣装のことだった。
応募者たちが憧れた「盾の会」の制服は、冬服はカラシ色、夏服は純白で、道ゆく人が目を見張るほど派手なものだった。よく若い女の子からすれ違いざまに「かっこいい!」と黄色い声をかけられたものだった。この制服はド・ゴール仏大統領の軍服をデザインした五十嵐九十九氏の手になるもので、当時の金額で一着一万円もしたらしい。
ド・ゴール将軍と三島由紀夫、盾の会の制服のデザイン/縫製者が同じ五十嵐九十九(wiki)という人なのだという話だ。自主防衛、自主核武装、ド・ゴール主義の話ではないのだ。
この本多清の本によれば、堤清二に三島が連絡あったというのだ。
「今度おもちゃの軍隊を作ることになったんだが、制服はうんと格好良くなくちゃいけない。僕が調べたところド・ゴール将軍の軍服が一番いい。あれを作ったデザイナーを調べてくれないか」と依頼されたのです。調査の結果、そのデザイナーは五十嵐九十九という日本人で、おまけになんと当時西部デパートに努めていたということがわかりました。
この証言で注目すべきは、デザイナー・五十嵐九十九(wiki)に加えて、「今度おもちゃの軍隊を作る」という三島の発言だ。おもちゃの軍隊。
・五十嵐九十九 氏 シャルル・ド・ゴールの軍服や三島由紀夫の「楯の会」の制服を卓越した技術で仕立てる。
五十嵐九十九氏が作られた「楯の会」の制服 出典:『平凡パンチ』(昭和43年11月特別号)
おもちゃの軍隊:「楯の会学生長持丸博の記憶によると、この2年間で三島が楯の会につぎ込んだ金額は1,500万円以上になったという。三島は貯金が1/10になってしまったと女友達の湯浅あつ子にも愚痴っている。」(引用元)
三島由紀夫は1,500万円使ったとある。この1,500万円の価値を考える。1970年7の大学初任給は39,900円。今は23万円とのこと。そうすると、現在の価値で8,600万円に相当する。
● 未公開写真
『三島由紀夫「最後の1400日」』、本多清、毎日ワンズ(2020年)
「兵隊ごっこ」で、演習での「敵軍」将校の役。これも、コスプレ。
● 三島由紀夫の近代日本認識
「国防に関する意見書」。昭和44年(1969年)春ー初夏頃(全共闘との討論の頃)。『武士道と軍国主義』というみだしの項での一文;
日本の軍国主義なるものは、日本の近代化、工業化などと同様に、すべて外国から学んだものであり、日本本来のものではなかった。さらに、この軍国主義の進展と同時に、日本の戦略、戦術の面から、アジア的特質が失われてしまった。
日本に軍国主義を復活させよ、などと主張しているのではない。武士道の復活によって日本の魂を正し、日本の防衛問題の最も基本的問題を述べようとしているのだ。日本と西洋社会の問題、日本の文化と西洋のシビライゼーションの対決の問題が、底にひそんでいるのだ。(『三島由紀夫「最後の1400日」』)
三島由紀夫の大日本帝国への見解は、実は、体系的に語られていない。さらに、「明治維新」については全く語られていない。仮初にも、「クーデーター」を実施しようと思ったのであれば、成功したクーデーターである「明治維新」に照らして、自分の企図するクーデターを語るべきであったと、おいらは、思うのだが。
三島由紀夫は戦後日本の皇室の在り方には明確に違和感を表明している。さらに昭和天皇の在り方を、三島は自分の考える天皇の在り方ではないと明言している(不敬者!)。一方、明治天皇については明言していないと思う。上記の通り、三島は大日本帝国(あるいは、明治国家)についての評価を明言していない。したがって、大日本帝国陸海軍(旧軍)の評価についての文章をおいらは知らない。一方、三島は「武士」を称賛している。自衛隊は武士たれ!とアジっている。ところで、大日本帝国陸海軍は武士を否定して成立した軍隊である。明治5年の明治新政府による太政官告諭の『徴兵告諭』において「双刀ヲ帯ヒ 武士ト称シ抗顔坐食シ、甚シキニ至テハ人ヲ殺シ」と武士を罵倒している(愚記事)。これが、大日本帝国陸海軍だ。つまり、王政復古し天皇が統治することになった近代日本で武士が公式に認められたことはないのである。
三島由紀夫の見解を著者の本多清が綴った文章;
太平洋戦争にいたる軍部の誤った戦略展開は、わが国の文化の基となる天皇国家をねじ曲げた。さらに敗戦、被占領によって、我々は美しい伝統と民族の心をうしなったのである。
今物質的な豊かさとは裏腹に、人々は誇りを失い、心を失っている。(『三島由紀夫「最後の1400日」』)
武士が好きで、大日本帝国陸海軍を否定はしないが言及(肯定)もしない三島由紀夫が理論的に筋を通すのであれば、明治維新を否定して、武士の世の中を再興しなければならない。天皇はどうする?一君万侍?
さらに、武士を否定した天皇中心の大日本帝国の国是は「智識を世界に求め、大に皇基を振起すべし」(五箇条の誓文)とある。「世界に求め」というが実際は欧米だ。そして、日本人は「筒袖・股引」の装いとなった。刀も棄てた(廃刀令)。こういう歴史的経緯で、三島の盾の会は「筒袖・股引」のいで立ちで、三島由紀夫は武士道と日本刀を叫ぶ。
武士道と日本刀と明治政府に罵倒された人たちの「衣装」はこれだ;
● 「私はパンが嫌いだ!」
この場面は、自衛隊の山本舜勝 [きよかつ wiki] と三島と盾の会幹部との食事でのこと。山本舜勝は盾の会を指導していた。この日、三島は山本にクーデターの実現を迫った。それを山本が逸らした。それに対し三島が「話が違うじゃないか!」と怒る。そして...
「私はパンが嫌いだ!」。この発言は何を暗示しているのか? 三島は自宅で純粋西洋風晩餐で客をもてなしたと伝えられている。今さらパン嫌いでもなかろうと思うだが。しかし、昭和37年(1962年)、村松剛は三島に「きみは頭のなかの攘夷を、まず行う必要がある」といわれている(『三島由紀夫の世界』)。村松はこの後三島は日本への「回帰」が始まると評している。とはいえ、盾の会の衣装、軍服はやはり「筒袖・股引」であり、ド・ゴールの軍服を真似たものだ。つまりは、体系的文化的様式というより、その場、その事案ごとに三島が「美しい」と思ったものどもをかき集め採用しているのだ。だから、ド・ゴールの軍服/グループサウンズの衣装に、武器は日本刀という理論を唱えることとなる。その文化的、文明的思想体系、あるいは系譜という「内実」がない。つまり、「からっぽ」な何かなのである。
ところで、三島由紀夫はディズニーランドが好きだった。米国のDLに通った。今の人は知らないかもしれないが、三島が死んだ頃、日本にはディズニーランドがなかったのだ。三島が死んだのち、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、経済大国となった日本にディズニーランドが開園したのである。
無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、 若い二人は夢中になれるから
もちろん、ディズニーランドは夢の国、「王国、お姫様ごっこ」の世界だ。そして、盾の会も「兵隊ごっこ」だ。つまりは、コスプレイヤーの世界だ。
したがって、三島の文章は肝心な点が足りなかった。無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、コスプレ大国が極東の一角に残ったのだ。もちろん、盾の会はそのコスプレ大国の嚆矢であることはいうまでもない。
■ 今週返した本
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