まっとうな左翼は立憲主義を否定しなくてはならない。アントニオ・ネグリは『構成的権力―近代のオルタナティブ』(杉村昌昭、斉藤悦則訳)において、立憲主義を「非民主主義的なパラダイム」と規定している。にもかかわらず、今の日本では共産党や社民党の自称左翼が憲法擁護に躍起になっている。その異常さに私たちは気付くべきだろう▼ネグリにとっての「構成的権力」とは「憲法の規範を産出する源泉であり、または憲法をつくる権力、したがって国家の権力を組織する根本的規範を指示する権力である。いいかえるなら、それは新しい法的秩序を樹立し、それによって新しい共同体の内部における法的諸関係を取り仕切る権力」なのである。憲法を絶対視するなどということは、本来の左翼には考えられないことなのである。既存の法体系は民衆の利益と合致したものではなく、それを突破するのが「構成的権力」なのである▼いよいよ明日は憲法記念日である。すぐに憲法を持ち出すのは、現状維持の保守派だというのが世界の常識である。保守派が憲法改正を主張し、左翼が護憲を訴えるというねじれ現象は、あまりにも異常である。日本でしか通用しない論理を振り回す者たちは、左翼とは無縁な単なる現状維持派でしかない。「構成的権力」を理解できない者たちは、左翼を名乗るべきではないのである。
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