朝鮮半島有事や中共の侵略に備えて、昼夜を問わず国防の任にあたっている自衛隊の諸君がいるからこそ、日本国民は平和を享受できるのである。三島由紀夫が『文化防衛論』で述べているように、アメリカの占領政策で「『菊と刀』の永遠の連環」は絶たれてしまった。それでもなお自衛隊の諸君に国のために死ぬことを強いるのは、あまりにも理不尽に思えてならない▼三島が訴えたかったことは明確である。「菊と刀の栄誉が最終的に帰一する根源が天皇なのであるから、軍事上の栄誉も亦、文化概念としての天皇から与えられなければならない。現行憲法下法理的に可能な方法だと思われるが、天皇に栄誉大権の実質を回復し、軍の儀丈を受けられることはもちろん、連隊旗も直接下賜されなければならない」▼三島が立脚したのは、「国家が分裂しても国民の統一は失われなかった」という和辻哲郎の文化的天皇制の理論であった。「天皇は原始集団の生ける全体性の表現者であり、また政治的には無数の分裂していた日本のピープルの『一全体としての統一』の表現者であった。かかる集団あるいはピープルの全体性は、主体的な全体性であって、対象的に把握することのできないものである。だからこそそれは『象徴』によって表現するほかない」(『国民統合の象徴』)▼平成になって文化概念としての天皇の根本が揺らいできている。菊と刀の絆を回復することで、日本を日本たらしめる最後の砦を守り抜かなくてはならないのである。
応援のクリックをお願いいたします