テレビ録画で中国映画「西遊記」を見た
特殊撮影を駆使してスピード感と迫力ある映画だった、「三国史」などもそうだが
中国は共産主義で面白みの無い国という印象があったが、なかなかに面白い
タブーと思っていた、セクシー的な場面もあるし、なにしろ美人女優が多い
最近まで見ていた「武則天」も素晴らしい美人女優であった
この三藏法師も女性的な美しい男優だ、最初は臆病で情けない三藏法師だったが
困難に会い続けるうちに、逞しさを身につけていき、最後に仏法の極みを会得する物語
孫悟空が面白い、いかにもサルという細かな動きが面白い、強いがひょうきんだ、まことによく出来ている
白骨夫人という妖怪が敵なのだが、前世では村人によって惨い死に方をしたため人間を恨み
妖怪として転生して、町の子供をさらって生き血をすすると怖がられている
実はそれは無実であった、子供をさらって生き血をすすっているのは業病に冒されていた国王だった
しかし妖怪は妖怪、ご飯を食べて生きているわけではない
白骨婦人は永遠に無敵の妖怪として生きるため、三蔵法師の生気を吸い取って永遠の命を得ようと企む
それは孫悟空によって打ち砕かれてしまうのだが、呪いの言葉を残して200年の命を終えようとする
だが三蔵法師は、輪廻転生においてこの妖怪を人間界に、愛ある人として、生まれ変わらせようと願う
だが妖怪を人間に生まれ変わらせるためには、自らの命をも絶たなければならない
ここで人間への恨みに満ちたまま死んでいく白骨夫人をほおって天竺への旅を続け
ありがたい経典を得たとしても、それは本当の喜びではない
彷徨う魂一つ救えないで、経典を得たとて何の役にも立たない、何の救いにもならない
その時、三藏法師は真理に目覚めたのだった
三蔵法師はためらいもせず、孫悟空に自分を撃ち殺すように命ずる
涙ながらに孫悟空は師匠を如意棒で撃ち殺してしまう
魂の世界に入った三蔵法師は、その熱い愛で白骨婦人の恨みに満ちた魂を浄化するのだった
白骨婦人の恨み、怨念が消えて清浄された魂となり、その恐ろしい表情は安らぎに満ちた穏やかな
顔に変わった、そして彼女は微笑みながら人間界へ転生して行くのだった
中国や韓国にはこうした輪廻思想が日本より多く見受けられる、テレビドラマでもそれは多い
阿弥陀仏の救いによって、三蔵法師の彷徨う魂も、孫悟空に背負われている石仏となった三藏の
亡骸に戻ってくるだろう
それを信じて、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、白馬の白龍の4妖怪は天竺に向かって歩き続ける
よく考えたら、この妖怪達は人間並みの姓をもっていたんだ
孫は私の知り合いの中国人留学生の姓だ(スンと発音する)
猪、とか沙という姓もありそうだ
それはともあれ、こんな娯楽映画だがいろいろ考えさせられる
*いかに軟弱な人生を無為におくっていても、人にはここ一番の勝負どきがあるということ
*いかなる悪人にも情状酌量はある、汝の敵を愛せよ
*人を変えたければ、まず自ら変わらなければならない
*得意技の一つも身につけておけ、芸は身を守る
そうそう、私が仲良しだった30歳年上のおじいさんKさん(故人)は建具屋さんだった
小学校卒業と共に職人の世界に入った、戦争が始まり兵隊にとられた
終戦と共にソ連軍に連行されてシベリアへ抑留され強制労働
みんなろくな食事も与えられず、マイナス30度40度の酷寒の氷の世界で重労働させられて
6万人以上も戦後に関わらず殺された
そんな中、このKさんは建具職人という特技があったため、暖もとれる屋根の下で建具作りを
命じられ、外勤の重労働を免れた、まさにこれこそ芸が身を助けた例である
*地位ある人間が最も正しく見えるけれど、その裏で悪事を働くこともままある、人を地位や権力で
正義だと鵜呑みにしてはならない
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