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前を行く犬の身軽さ木の芽坂 多可
犬の臭覚、聴力は並外れてすごいが、脚力もすごい。我が家の犬でも、時速30キロなら平気で走る。
マラソン選手は、ほぼ時速20キロで走るから、人間も本来はその程度の脚力はあるのだ。マラソン選手を江戸時代の飛脚に例えて単純に計算すると、東海道500キロを25時間だから、まあ2日もあれば十分だ。
だが人間は、牛や馬に乗り、自転車、自動車、汽車、飛行機に乗るようになった。そして、歩かず走らなくなって、脚力を喪失した。
この句、作者の喘ぎが聞こえてくる。きっと、ハンカチで汗を拭い、深呼吸して、犬を見送りながら苦笑いしているのだろう。
アオキ(青木)