(おやじのひ ははをはりたおした あのめ)
私の父は満州からの軍隊帰りだったから、実に恐ろしかった。だから私は、父が死ぬまで一度も逆らったことがない。但し、母を殴ったのを見たことはなかった。
しかし、作者の親父は、子供の目の前で母親を張り倒したという。眼の前で悲しい現実に直面した少年は、しかしながら今、妻を愛し、子を愛し、孫を愛する実に優しい男になった。
「反面教師」とか「鬼の子は仏」という諺があるが、少年が仏に成り得たのは、実は彼の「親父」のお陰に他ならない。
世の中には、これとは逆に、「仏の子は鬼」という諺もある。優しく、甘やかして育てると、とんでもない鬼になることもあるので、ご注意を。
エゴノキ エゴノキ科の落葉小高木