(なつふくの ちちにかけより めざめけり)
ついこの間のことは、すっかり忘れても、子供の頃の楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、怖かったこと・・・など印象の強かったことは、一生忘れない。
この句は、夢であるとは一言も言っていないが、「夏服の父に駆け寄った」のは、間違いなく夢の中のこと。幼少期からせいぜい学生時代までの、楽しい思い出が根底にあるに違いない。お父さんが、作者に優しくたっぷりと愛情を注いだろうことが、想像される。
白の背広とか浴衣とかはっきり言わず、単に夏服とぼかしているほうが、我々にとっては様々に想像できて有難い。
しかし、楽しい夢であればあるほど、目覚めれば切なく哀しく感じるのではないだろうか。
ヒマワリ(向日葵) キク科の一年草