父の日や脱ぎし靴にも上座あり 薪
ファインダー覗く蜻蛉の息をして
紫陽花やほとぼり冷めぬ火止め窯 洋子
窯焚きや八等分に切るメロン
鯵さばく板前の指の白さかな 遊石
紫陽花にしたり顔させ通り雨
三色のあじさい活けて句を案ず 章子
小説の女と泣いて半夏雨
親父の日母を張り倒したあの目 炎火
七変化法案の骨抜けてます
目覚めればこむらがえりの源五郎 正太
父の日や母の日失くした子等が来る
老いし身に重き独りの更衣 歩智
長梅雨や切手貼り付く足の裏
父の日の遥か異国で迎えをり 稱子
夏の宵店子続けて出る話
父の日に届きし物は文房具 空白
父の日に履きやすき靴届き居り
窯の火を止め五月雨の世に戻る 雲水
梟の深き闇より梅雨入りす