① 虫のカゲロウ(蜉蝣)には、カゲロウ、ウスバカゲロウ、クサカゲロウがある。カゲロウは、水中で幼虫期を過ごし、成虫となって空中を飛翔するが、陽炎(かげろう)のように弱弱しく飛ぶので、名付けられたとか。羽化の時期は春から冬まであって、種や地域によって異なるが、初夏の頃が最も多く、時間も夕方頃が多いそうである。夏の季語
② もう一つのかげろう(陽炎)は、よく晴れて日射が強く、かつ風があまり強くないような日に、道路のアスファルト、自動車の屋根の上などに立ち昇る、もやもやとしたゆらめきのこと。春の季語
この句の作者は、二つのうちのどちらの「かげろう」か分からないように、わざとひらがなにしたに違いない。常識的には、「虫のカゲロウ」だろうが、句集では春の部に入っているから、「陽炎」の可能性がないわけではない。
いづれにしても、作者に弄ばれているような気がしてならない、面白い句ではある。