一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

469  又しても後前なり重ね着て  佳津

2012年01月10日 | 

(またしても  うしろまえなり  かさねきて)

 

えっ、あなたも・・・・お若いのに・・・・・・ド忘れ、物忘れ、人の名前が出て来ないなどは序の口よ。裏返しで着たり、前後逆で着たり、そんなこと誰にだってある。気にしない、気にしない・・・・・

 

つまり、あなたのように優秀だった人ほど、ショックは大きいのでしょうね。私なんか、子供の頃からしょっちゅう抜けてましたから、皆に笑われますけど、ちっとも気になりませんよ

 

この句の「前後」を「後前」と逆にしたのがうまい工夫ですね。

 

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468  母と似る爪つくづくと初湯かな  多可

2012年01月09日 | 新年

 

(ははとにる  つめつくづくと  はつゆかな)

 

風呂に入って、つくづく眺めるのは、自分の体の部分で言えば、確かに手の平や指や爪かもしれない。しかし、腑に落ちないことがある。

 

私などは、自分の爪と母の爪を比べたことは一度もないし、母の爪をじっと見つめたことすらないのだ。当然、父の爪だってまともに見たことがない。

 

ところが、どうして、作者は母の爪をよく知っているのだろうか。それは、老いた母の爪を何年も切っていたからではないのか。かくして、この句の謎は解けた。

 

三石

注連縄が張ってあるから、伊勢の二見が浦と同じように

太陽信仰や豊漁祈願と関係があるのかもしれない。

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467  地球には楽園あまた初暦   雨芽

2012年01月08日 | 新年

(ちきゅうには らくえんあまた はつごよみ)

 

 年末になると、あちこちから宣伝を兼ねた暦をいただく。その暦の中には、世界中の素晴らしい自然や村や町、いわゆる世界遺産に登録されているような、美しい写真があるという。

 

 作者は、それを楽園と呼んだ。余りにも美しいのでメインのリビングに掲げたに違いない。これから1年間、毎日お目にかかる暦だ。

 

 それにしても、と作者は考える、世界には、楽園とは程遠い「苦園」も数多くあることを

 

真鶴半島と三石

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466  セロ弾きのゴーシュ子に読む寒夜かな

2012年01月07日 | 

 

 今日は、新暦の1月7日。七種粥を食べている人が多いかもしれない。しかし、これも是非旧暦でやって欲しい。つまり、今年の七種(七草)は、1月23日である。

 

 さて、「セロ弾きのゴーシュ」は、宮沢賢治の童話。田舎町の金星音楽団のチェロ奏者が、ネコやカッコウ、タヌキ、ネズミたちと交わるうちに演奏の腕前を上げていく、という実に楽しい物語である。

 

  親の私にとって、この童話が、子供に分かるかどうか、そんなことはどうでも良かった。何度読んでも、飽きるということがなかった。たとえ子供が寝てしまっていることが分かっていても、必ず最後まで読んだのは、この私が読みたかったからだ。

湯河原から初島を望む

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465  寒の月煌々と雲よせつけず  歩智

2012年01月06日 | 

 (かんのつき こうこうとくも よせつけず)   

今日は小寒で寒の入り。寒は、小寒から大寒までの16日間を言う。又、節分までをいう場合もある。

 

さて、明るさを示す「こうこう」には、煌々、晃々、杲々、皓々、皎々、耿々、があって、どの字を選ぶか、迷うかもしれない。煌々は、この中では、最も明るいはずだから、寒の月には最もふさわしいかもしれない

 

雲がないことを「よせつけず」と擬人化したのが、寒の月の凄まじさを言い得ている。

キンカン(金柑)

写真は、去年のキンカン

 

金柑や去年は豊作今年は不作

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464  光秀の天下三日の嫁が君  貞次

2012年01月04日 | 新年

(みつひでの てんかみっかの よめがきみ)

 

ネズミ(鼠)は、古今東西いづれも穀物を食べる害獣として、又、ペストなどの病原菌を運ぶとして忌み嫌われてきた。

 

ネズミは、一度に6~8匹の子供を産み、ハツカネズミなどはわずか3,4週間で性成熟し、いわゆる「ネズミ算式」に繁殖するという。都会では、巨大なドブネズミが大量発生しているとも聞く。

 

 しかし、そんなネズミも、正月の三が日だけは、「嫁が君」と呼ばれ、飯や米、餅などを供えもてなす風習があるという。今でも、地方にはそんな風習が残っているのだろうか。

 

 嫁が君さん、明知光秀の三日天下と同じで、三が日が終わったから、今日からは再び嫌われ者のネズミに戻りましたなあ、可哀そうに。

 

 

ヤブツバキ(薮椿)

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463  正月のめでたきかなと父の言う

2012年01月03日 | 新年

 正月が「めでたい」という先入観、固定観念を疑い出したのは、俳句を始めてからだ、と思う。

 

新年の季語には「淑気」などめでたいことを前提としたものが多く、ある意味強制的にめでたい句を作らされることになる。

 

この句は、そういう雰囲気に対する反発が根底にあって作ったのであり、別に父がそう言った訳ではない。それにしても、もう30年も前の初心の頃の句である。

 

我が家から、横浜が

こんなにはっきり見えるのは、本当に珍しい

中央がランドマークタワー

 

 

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462 萬人の眼集めて初日の出  七竈

2012年01月02日 | 新年

(まんにんの/まなこあつめて/はつひので)

 

元旦に、水平線、地平線から上がって来るお日様が、私達を見たらそれこそ日本列島、万人どころか数百万人を発見するかもしれない。つまりこの句、お日様の立場になって句を作っている。

 

合掌している人や、歓声を上げる人、家族連れや恋人たちの顔を発見するだろう。歌舞伎の千両役者のような、1年で最も晴れがましいお日様だ。

 

ヤブコウジ(藪柑子)

 

 

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461  太陽を巡る旅にて初日かな

2012年01月01日 | 新年

 

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 

今年の本来の正月(旧正月)は、大寒の二日後、立春の12日前の、1月23日です。

 

さて、年賀状に俳句を添えるようになって、たぶん20年以上経つだろう。とすると20句以上あるわけで、そろそろ絵も句も種が尽きかけている。最近はそれが頭痛の種だ。

「来年から、年賀状は書かないことにしました」という年賀状を出そうと思うが、思うだけで実行できない。

 

私達の生涯で、一番遠くて長い旅は、あの太陽の向こう側まで、一周9億4千万キロを365日かけて回る地球号の宇宙旅行だ。

 

スピードは、秒速30キロ。分速1,800キロ、時速108,000キロだそうである。同行者は昨年、なんと70億人を越えた。人間以外の生き物まで加えたら、数知れない。かけがえのない、たった一つの宇宙船で旅をしている。

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