一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1449   風光る一つは友の帆なるべし   むく

2015年02月19日 | 

  帆(sail)とは、風により船の推進力を得るための器具である。ほとんどが、柔軟性のある布である。日本丸のような外洋を航海できる千トンを越える大型帆船もあるし、競技用大型ヨット、一般的な小型ヨット、小型漁船や更にウィンドサーフィンまで、様々な帆がある。これに、歴史的な帆まで加えたら、その種類は膨大だ。

 「帆なるべし」とは、文法的には①帆であるべきだ。であるが、その中には作者の思い込みや推測、願望なども含まれていて、②帆であるに違いない③帆であるかもしれない➃帆であって欲しい、というような推測も成り立つ。

 『俳句は省略の文学』と言われるが、この句のように、省略して詠み手に読み方の下駄を預けることが大事なのであろう。

「風光る」は、面白い季語だ。別に風が光っているわけではないからだ。では、何が光っているのだろうか。この句の場合は、勿論、帆であろう。しかし、太陽光線の角度は一定でも、帆の角度は様々だから、どんなに多くの帆があっても、今光って作者に反射している帆はほんの少ししかない。

 更に、光っているのは、帆だけではなく、波、雲、更に背後の町や山並などにも思いを馳せる必要がある。

コメント (2)
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