著者は、学生時代から水商売のバイトを続けてきたが、30歳でこの世界に転職する。消費者金融の位置付けと業務内容、社内の人間関係、客とのエピソード等を明るくジョークを交えながら紹介する。これまでこのシリーズ本を色々読んできたが、これが一番面白かった。
この業界の客は、総じてお金にルーズな人たちで、自己管理もお金の管理もできていない人が多い。(大体、ゴミ屋敷の住人だったりする)銀行で借りるあてがなくなって、消費者金融を頼る。自転車操業で何社も掛け持ちをして、借りては返すの繰り返し。いつも支払いは火の車だが、意外に危機感が無い人もいる。追い詰められてしまった悲しい人もいるが、大半は何とかやりくりしていく。利息制限の法律ができて、業界全体が苦しくなり、著者もこの世界から足を洗う。その後のオチが面白かった。本人も借りる側の気持ちがよく判ると思う。
因みに、私もバブル崩壊後の当時、街角でよく消費者金融のティッシュをもらっていた。ティッシュは有難かったけれど、何だかヤバそうな会社という印象しか無かったし、高い利息と取り立ての厳しさがテレビでクローズアップされて、ダークなイメージで見ていた。でも、この本を読むと意外に真面目な仕事という印象を受けた。読む前と後では、この仕事に対する印象が随分変わったと思う。