絵について職員室で話して来たから、賞について見直してもらえそうだよ。
そうせー君が言ってくれたのは、話しかけられてからそう時間が経たない時でした。
『え、早い!』
私はびっくりしてしまいました。なんて素早い対応の仕方でしょう。
良かったね、あの調子なら大丈夫だよと言われて、私は半信半疑でした。
一度決まってしまった受賞が覆る事があるのでしょうか?
でも、嬉しそうに、にこやかに笑顔で私にそう言ってくれるせー君に、冷や水を浴びせるような事も言えません。
もう1度自分の絵を見てみます。熱心に描かれた絵の具の木の葉
のタッチ
に自身で魅入られます。
確かに、自分でもそう悪くない作品だと思います。
何故なら、2年時には時間に追われてひたすら絵筆を動かしていた絵であり、
先生の評価もうまいというより真面目に書いてあるから
、という事でした。
それで、今回は構図や木の幹など、写実的にそれなりに工夫した所のある絵でした。
木の葉の色も盛んに多色を取り入れてありました。自分でもよく描いたものだと思います。
それでも、多分結果は覆らないだろうと私は思います。
折角言ってもらって、私より、自分の意見が通らなかった事にせー君の方ががっかりするだろう。
そんな事を考えてしまいます。
私自身は自分の意見が通らない事にはもう慣れていました。
「ありがとう。気にかけてもらって。」
折角の志なので、心遣いに対して自分が喜んでいると伝えた方がよいと思います。
せー君に配慮してもらい、先生に掛け合ってもらえてとても嬉しかったと伝えます。
でも、一度決まってしまった事なので、なかなか変更になるのは難しいだろうから、
このままになってしまっても、私の方は気にしないからと伝えます。
そんな、きっと大丈夫だよとせー君は笑顔なので、
これ以上はあまり何でも言わない方がよいかなと、私の方も笑顔で返しておきました。
その後、せー君の話では先生の手応えは良かったのに、どうしたんだろう、駄目だって言われた。
もう一度頼んでみた、今度は大丈夫だと思う。
やっぱり駄目だって言われるんだ、こんな事初めてだ。
等々、私の絵の事でかなり奮起してくれたようでした。
謝られる度に、私の方が申し訳ないと恐縮してしまいます。
責任感やクラスメートに対して思いやりのある人なんだなぁと、一寸昔知っていた人に似ている面があるんだなと思います。
クラス委員長って皆似ているのかもしれませんね。でも自分の役について熱心に取り組む人ってそう多くはないと思います。
過去を振り返ってみてそうでした。その後も思えばいませんね。