私の話というのは、サークルの春合宿で、め―さんにお互いに好きだと言われた言ったという話でした。
それで、と、友人はその後どうしたの?と聞くので、
それだけよ、その後、私は翌日直ぐに帰って来たもの、と答えます。
なあんだ、Junさんのいい事ってそんな事なの。と言われて、
いい事でしょ。だって好きな人に好きだって言ってもらえたのよ。と私は笑顔で言います。
好きな人に好きだって言われた事ある?
友人は苦笑して、ぽそっと、無いけど、と言うので、
ほらー、あまり無いでしょう。
だから嬉しかったのだと私は淡い恋心を軽く主張するのでした。
大体、好きだなんて、好きな人に面と向かって言えないわよ、恥ずかしいもの。
緊張して上がってしまうから、言葉も出てこないわ。
無理に言葉を言おうとすると苦しくって倒れそうになるし、失神しそうになるでしょ。
それが、すんなりとお互いに言い合えたというのが、言い合う事が出来たというのが嬉しいのよ。
私は言いながらその時の場面を思い出して、るんるん気分でした。
ああ、この幸せを噛みしめていたい。と、陶酔してしまいます。
が、傍らの友人の事も忘れません。
それで、と、私は友人の詳しい話を聞こうと促します。
友人の方の話は忘れてしまいましたが、やはり嬉しい事があったという事でした。
そんな幸福な話に花を咲かせていると、消えていた友人が戻って来ました。
3人揃って、腰を据えてじっくりと桜の花を鑑賞します。
何処の桜の木が見事だとか、青空の具合がどうとか、白い雲のかかり具合が如何なら良いとか、
絵でも描きたい気分だねと話し合います。
私はこの時、天にも駆け上って行きそうな気分でした。
この青春時代を謳歌したい。めーさんとの事で、過去の男の子との確執が全て解けたような気分でした。
それだけめ―さんの存在は大きくて、この嬉しい春、花盛りの春の公園で、晴天の下、
誰かが付き合ってくださいと言って来たら、私はすんなりとOKした事でしょう。
この時、私は異性とお付き合いする心の準備が整ったのでした。
でも、こんな時に限って誰も何も言っては来ない物なんですね。
全く何も起きずに青春時代の花見は過ぎて行きました。