Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

青葉若葉の季節、21

2016-11-08 19:12:04 | 日記

 Junさん、あなた合宿場でテレビを見ていたでしょう。

そんな質問を職員室で先生から受けながら、正直にはいと答える私です。

何しろ担任の先生が覗いて行かれたのですから、否定のしようがありません。と、私は思っていました。

それで、と先生、あなたがテレビを見るように先導したんですって。

それは、これには肯定できない私でした。

違いますと答えます。友達に誘われて行ったらもう皆集まっていました。

何人くらい。私達も含めると10人くらいです。誰がいたの。等々、

先生の質問は続きます。

どうしてテレビを点けたの?

人気番組の○○っを見ようとしていたんです。

あなたが点けたの。いいえ。では誰?誰だったかな、後ろの方にいたので、誰とはっきりは覚えていないんです。

と、先生の質問に答え終わって私は職員室を後にしました。

 あの調子では、と考えます。やはりテレビは点けてはいけなかったのだ、何だかとんでもないことになってしまった。と、不安になります。

今は叱られるようなことは無かったけれど、また呼び出されて次の時には叱られるだろうなと気が滅入りました。

 しょうが無いといえばしょうが無いのですが、何故、こんな事になってしまったのかと反省してしまいます。

やはり、人間欲望のままに行動してはいけないな、欲や執着心を持っては駄目だなと、考えてしまいます。

どうして、早めにテレビは駄目だと気づいて教室から離れなかったんだろう。

返す返すも失敗してしまったと思うのでした。

叱られる準備をしておかなければ、2学期早々あられもないと頭を抱え込んでしまうのでした。

 しかし、今回の件はその後、そう私の方は問題にならずに過ぎて行きました。

秋も深まると学校祭、すぐに3学期そしていよいよ受験の時期に入る3学年が近付いて来ました。

 思い返すと、2学年は新しい友達にいろいろな目新しい事を教わった時期でした。

あちらこちらと紹介されて、人もそうですが初めての場所にも行き、芸能界や繁華街、普通に楽しい女子学生時代を過ごした時期でした。

 レコード店にも通い、書店に出かけて参考書を買うなどしました。参考書や問題集を書店で買うという事を初めて知りました。

教科の事典など、学校の推薦図書を待たずに自分で書店で探して来るのだと知り、

3学年を待たずに準備する事が出来て、小学校に比べると早めに学習体制が取れたと嬉しく思ったものです。

学校以外で、こんな風に本を買い求めて勉強するのだと分かり、精神的にほっとしたのを覚えています。

私にすると、中学生らしい中学校生活が送れたのは第2学年だったなと今から振り返ってもそう思います。

心配されたり、思いやってもらったり、そんな友情を感じたのも第2学年でした。

 


青葉若葉の季節、20

2016-11-08 15:28:21 | 日記

 夏の合宿が済むと、夏休み中に登校日は当然何回かあったのですが、

私は登校日の朝になると何故だか学校へ行く気になれず、最初の1日目を何となく休んでしまいました。

その後も何となく行く気になれず、登校日にはずるずると欠席したまま、夏休みは中盤に差し掛かっていました。

もちろん、担任の先生から電話がありました。

何となくだるくて行く気になれなくて、そう答えながら、次の登校日には行きます。

と、私ははっきり言うのでした。

 そして、次の登校日の日、やはりどうしても行く気になれなかった私は、また欠席したのでした。

当時の2年生のクラスに不満があった訳でも無く、1年のように苛め問題も全く無く、自分でもどうして行く気になれないのか不思議でしたが、

敢えてこじつけると、中1の時の反動が中2の夏休みに出て来てしまったのかな、と自分なりに思っていました。

 当時の友達のGさんが欠席の多い人であり、それでも中学校に通うのに全く支障が無いという現実を、

目の当たりに見慣れたせいもあるのかもしれません。

Iさんには部活動の品を家まで届けてもらうなど、私の方が反対にクラスメイトにお世話をかけていたという申し訳なさでした。

 そんな訳で、とうとう中2の夏休みは1度も学校の登校日に出席せずに終わりました。

登校日どころか、学校には一足も踏み入れもしなかったわけです。

 2学期初日になると、出席するのに学校の敷居が高いのではないか、そんな風に自分でも思っていたのですが、

不思議に抵抗なく何時ものように登校出来て、その後も普通に通学していましたから、そんな自分が自分ながら不思議でした。

 クラスでも、Hさん、Iさんから、Jumはもう学校に来ないのかと思った。と言われ、

私は苦笑い。ごめんねと言いながら、何だかどうしても来る気になれなくて、

皆に何か不満があるわけじゃないの、ただ、何だか来る気になれなかったのと説明しました。

 来るのが嫌なんじゃなくて、来る気になれなかったのだという説明でしたが、言った方も、聞く方も、

何だか分かったような分からないような、専門家だとその辺りは上手く説明がつくのでしょうが、

やっぱり軽い登校拒否だったのかもしれません。

 2学期だ、勉強が始まる、そう思うと学校に行かなければ、で、多分普通に登校していたのだと思います。

私にとって学校は勉強の場以外の何物でもなかったのですから。


青葉若葉の季節、19

2016-11-08 11:38:40 | 日記

 テレビを見始めて少しすると、教室に引率の先生が1人顔を出されました。

あら、あなた達テレビを見ていいの?と質問です。

前の方にいた誰かが、先生から許可をもらいましたと明るく答えています。

そう、と事も無げに引率の先生はそのまま廊下に消えて行かれました。

 良かった、ホッとして私も引き続きテレビを見ています。

番組は最終話の筋立てだけに、前回が山場で終わった後を、引き継ぐ今回の始まり、見逃せない展開場面です。

皆しーんとして息を詰めて話の展開に見入っています。

話の筋が一段落してホッとします。漸く皆が和んだところへまた先生が来られました。

本当に許可をもらったの?何先生?そんな質問です。

○○先生です。また前と同じ辺りから答えが返り先生は廊下に消えて行かれます。

そんな展開、こちらの合宿でもテレビが展開するたびに現実の展開が進んでいきます。

 再び先生が今度は2人連れで現れると、○○先生に許可を取った生徒の名前を尋ねたり、

○○先生と確認が取れないという話になりました。

 そこで先生達は教室の生徒を見回されて、

「あら、Junさん、あなた居るの。」

と言われます。

 私にすると顔に覚えがない先生でしたが、先生の方は私をよく知っておられるようでした。

Junさんがいるなら大丈夫ね、などと、嬉しいような、困ったような事を言って帰って行かれます。

 何となく不安になる私です。

教室でも、2人、3、4人と連続して消えていく生徒が出てきました。

とうとう5、6人になってしまいました。

とても不安ですが、最終回の話はどうしてもみたい私です。

 叱られるなら叱られるで、ぎりぎりまで粘りたいと思っていると、横にいた友人が言います。

「テレビがよく見えるように前の方に行こうよ。」

そうです。これだけ人数が減ったのに遠慮して後ろで見ているなんて馬鹿みたいです。

と思ったんですが、やはり何となく人数が減ると不安です。

テレビを諦めて廊下に出た方がよいかなとも思いました。

出た方がよいか、テレビの傍に行った方がよいか、迷いながらふらふらとテレビの傍へ。

 そうこうする内に出ていった子達が戻って来たり、新しい友達を誘ってきたり、

教室にはまたばらばらと人数が増えてきました。

 そこへ2人の先生が戻って来られました。

あなた達、テレビは駄目だっていう話よ、止めなさい。

そう言われるのですが、皆面白く、最終話のクライマックスが迫る展開に誰も返事をせず、動きたがりません。

Junさんがいても駄目よ、もうそんなに遠慮しなくていいという話だから、などという先生の声も聞こえてきます。

 何となく、何故私が先生達の話題に入っているのか不思議でしたが、

ささっと先生達がしょうがないわねと言って姿を消してしまわれたので、

テレビにしろ現実にしろ、次の展開まで辛抱強く、画面の前で私および他の生徒達は粘っています。

 終に私の担任の先生が窓の外に来られました。廊下から教室内を覗き込まれて、生徒の数に驚かれたのか、

テレビに入っている人気番組に驚かれたのか、再放送の本当にこれが最後の最終回なんですと誰かが言うと、

急に慌てて無言で元の廊下の先に消えてゆかれました。

 特に先生から叱責が無かったので、私達は暗黙の了解、テレビを見続けます。

遂にヒロインとヒーローが抱擁しあうクライマックスです。

「キャー

キャアキャアと、黄色い歓声が上がります。

打ち合わせした訳でもないのに、皆息ピッタリ!の歓声です。

どよめきの合間に、別の教室から男子の歓声が「おお!」「やったー」等、聞こえてきます。

『向こうも見てるのかな。』

多分テレビ、それも同じ番組だと思い、男子も興味は同じなのだなと感じました。

 番組が終わると即刻テレビは消され、

夢から覚めたように皆散り散りに自分の教室やグランドなどへ消え失せるのでした。