Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

青葉若葉の季節、14

2016-11-03 17:03:59 | 日記

 「やあ、こんにちは。」

私が道を歩いていると、見知らぬおじさんに声をかけられます。

「あなた○○町のJunさんの所のお子さんでしょう。」

ここは、こー君の家の近くの通りです。

ははぁん、と私。

「こーさんですか。」

と尋ねます。

いえ違いますという返事なので、なんだ、違うのかと思います。

てっきり、父の知り合いのこーさんという人だと思っていました。

人違いしてすみません。と、私は謝ります。

違うんですけど、ちょっと話を聞いて興味が出たので、とその人は何だかニコニコしています。

「それで、こーさんの所の息子さんをどう思います、正直なところ。」

と、問いかけられます。

聞かれて初めて、私は真面目に考えてみます。

「朗らかな人ですよ、明るい人。

と、私は答えます。

 うん、とそのおじさんはにこやかに頷くと、家の子もそんな事を言っていたと微笑ましそうです。

それで、その、こー君の事は好きですか?

と言われると、とても単刀直入な質問でしたから、

え、っと私は絶句します。

 まさか、嫌いな訳は無いし、かといって大っぴらに好きと言う訳にもいかないし、

見ず知らずの人の質問に大いに困ってしまいます。

その時の私には、好き嫌いの前に、何と答えてよいのかが分かりませんでした。

現在進行形のクラスメートのことです。言ったその一言でパッシング

もしかすると、また1年の時のように、明日からの暗い日々をもたらすかもしれないのです。

 そうかといって、何時までも黙っている訳にもいかないしと、

私は何とか言葉をひねり出そうと焦るのですが、出ません。

こんな時は冷静に、冷静にとほっと息をつきます。

では、嫌いですか?」

と、聞かれると、いいえ!と、即答!

これは確かにそうなので、自分の答えを反芻するまでもなくそうなのでした。

本当に困ってしまいます。

かといって、好きだとも答えられないのでした。

 嫌いではないけれど、好きかと聞かれるとやっぱり困ります。

嫌いかと聞かれて直ぐにいいえと答えたのですから、嫌いであるはずがない、それは確かです。

でも、一寸、好きというにはまだ早すぎていました。それで、率直に正直に言います。

最近話し始めたところなので、…分かりません。自分でも。

おじさんにそこまで言って、

そうか、あの言葉です、迷った時に使う言葉を思い出します。久しく忘れていました。

「好きかどうか、考えてみます。

ははぁん、おじさんも面白そうに納得して漸く私は解放されて帰宅しました。

 それにしても、いろんな人に会う通りだなと、あの通りをあまり通らない方がよいだろうと考えます。

答えられない質問を、またされたら困りますからね。

 

 

 

 

 


青葉若葉の季節、13

2016-11-03 15:09:06 | 日記

 その後、時々Hさん、Iさん、しゅー君と私達4人は集まって四方山話、

時折しゅー君の新しい小話なども披露してもらうのでした。

私はほとんどHさんIさんの連れで、3人の話の聞き役でした。

4人の中心になって話すことは無かったのですが、何となくその場に一緒に居るという感じでいました。

当たり障りのない話にしておかないと、どんな事で因縁をつけられるかもしれないと用心していました。

 もちろん、Hさん、Iさんに対してはそんな事は無かったのですが、

やはりしゅー君は男子と思うと、気を張ってしまいます。

幼い頃や小学校時代を知らないので、話す要領が分からなかったんです。

とうとう、こー君や、HさんIさんから、しゅー君嫌いなの?とか、気に入らなかった?

とか言われてしまいます。

 そんな事はもちろんありません。が、

「何となく気が張ってしまって。

話す事が浮かばないし、無理に話せないしと言うと、

程無く今度はかなり砕けたクラスメートの男子、しゅー君の友達だった気がしますが、

この子も面白いんだよ、しゅー程じゃないけどね、と、やはりHさん、Iさんからすー君を紹介されます。

 今思い出すと、皆世話好きですよね。

紹介されたのがクラスメートの男子だけというのが、今から思うと、皆彼氏の紹介だったんでしょうか?

Fさんに限らず、誰もが彼氏や彼女を意識する時代、青春運時代ですよね。

当時は全然ピンと来ていなくて、

何でHさんとIさんは、次から次へと目の前にクラスの男子を連れてくるのかな、

と、私にすると怪訝には思っていました。

 ふと、もしかすると、父がこー君のお父さんに何か頼み、こー君のお父さんからこー君へ、

こー君から皆に話が伝わり、Hさん、Iさんに采配してこうなっているのかなと、私は考えた事もあります。

 『言って置かなければ!』

と、私は決意します。 父にです。

 「お父さん、こー君のお父さんに何か頼んでない?」

家に帰って、私は父に、学校で湧いた疑問をそのまま問いかけてみます。

父の方では、何も頼んでいない、それより、お前こー君の息子さんとは親しくしていないのか?

お父さん、親しくするように言っておいただろう。

と反対に問い詰められてしまいます。

 親しくと言ったって、この前少し話し始めたばかりだと言ったでしょう、

今まで知らなかった人と急に親しく話が出来る訳ないじゃない。

と、私。

道理で、というように父は、

こーさんの方でも息子と親しくしてやってくれと言っていたし、もっと親しくしなさい。

それで、最近こーさんがやけに余所余所しいと思った。

というような事を父は一人でぼそぼそ言っています。

 お父さん、見合いじゃないんだから、

今まで見ず知らずで来た2人が、いきなり出会って急に親しく出来るわけないじゃないの。

と、私が言うと、父は口をへの字に結んで絶句したまま私の顔を見詰めるのでした。

 み、見合い…、

そう言って父は、じゃないなと、少々考え込んでくれたので、私はほっとしました。

見合いだって、行き成り親しくはならないだろう。

そう言うと、早々に私は勉強部屋へと姿を消すのでした。