土筆(227)
そうか、祖父母が頼んだのかと思うと、蛍さんはやはり祖父母は自分の祖父母なんだなぁと嬉しく思います。彼女の内にはほっとした安堵感が広がり、祖父母に対しての穏やかな信頼感が増すのでし......
昨日、午後からゆっくり寝たおかげで今朝は早起きでした。倦怠感、食欲不振、少々寒気と頭痛、微熱、軽い吐き気や腹痛、下痢(( ´艸`))の翌日。もう1日くらいゆっくり休みたいです。
土筆(227)
そうか、祖父母が頼んだのかと思うと、蛍さんはやはり祖父母は自分の祖父母なんだなぁと嬉しく思います。彼女の内にはほっとした安堵感が広がり、祖父母に対しての穏やかな信頼感が増すのでし......
昨日、午後からゆっくり寝たおかげで今朝は早起きでした。倦怠感、食欲不振、少々寒気と頭痛、微熱、軽い吐き気や腹痛、下痢(( ´艸`))の翌日。もう1日くらいゆっくり休みたいです。
土筆(226)
空しいというのはこう言った状態の事を言うのかと、蛍さんは納得しました。彼女は父の呟いた言葉が今実感として自分には分かったと思ったのです。 「ホーちゃん。」自分を呼ぶ声が聞......
昨日の分です。私は風邪で臥せっていました。
栄転した一郎さんは遠方に転勤した。かと言うとそうでは無く、思いの外近い地域の支店勤めとなる事が決まった。これには本人もそうだが、祖父母もにこやかに笑顔だった。
「これであの子も戻って来る。」
そう言い交わしてほっと安堵の老夫婦だった。一郎さん夫婦も嬉しそうに報告に訪れ、私はそれと教えられてから初めて伯父夫婦と対面した。私の両親も表面笑顔で兄夫婦と対面し合っていた。誰もが目出度し目出度しと喜びの声を上げていた。そんな家中の皆の笑顔を眺めていた私の目に、中でも一番喜んでいるように映ったのが晴れ晴れとした顔付きで、恵比寿様のように目を細め、終始相好を崩しっ放しの笑顔だった一郎さんだった。その後伯父夫婦は暫く2人で縁側に座ると、中庭を懐かしそうに眺めて仲良く談笑し合っていた。
これで我が一族は落ち着く所に落ち着く者が落ち着くかに見えた。が、世の中物事はそう上手くは運ばない物のようだ。刻一刻と伯父の転勤月が近付いて来るのに、彼等からは一向に何の連絡も無かった。到頭転勤月に入ったが、伯父一家は引っ越してくる気配が全く感じられなかった。前月の晦日、到頭痺れを切らした私の父が兄と電話連絡を取ろうとした。が、住まいに掛けても、伯父の新しい勤務先に掛けても、果ては前任の支店に掛けても彼と連絡が付かなかったようだ。
何故連絡出来無いのか?、父は朔の今日になって彼等の両親に問い質しに行った、何か知っているのかと。実は祖父母の方は月が替わる少し前より表情が冴え無くなっていた。今迄努めて平静を装っていたようだ。無理をして微笑んでさえいた感があった。如何なっているのかと私の父に問われると、一言祖父は言った。
「一郎は帰って来ないよ。」
その祖父の言葉に、父はえーっと大きく驚きの声を上げた。閉めた襖を隔て、隣室にいた私にさえ彼の声は大きく響いて来た。父にしても私達母子との3人住まいの場所等探してあったようだ。思惑が外れた父はそんな彼の将来計画等並べると、苦情の様に自分の父に訴えた。
「若しかしたら、兄さんは私の一家が如何なるか心配しているのか。」
「私達なら何時でも出ていくよ。」
そんな言葉迄口にした私の父に、祖父はそれなら心配は無用だろうと静かに答えた。
「一体兄さんは如何なっているんだ。」
あんなに皆、喜んでいたのに。「あれだってそうだっただろう、そう見えたがなぁ。」と父が解せないなぁと口にすると、それ迄無言だった祖父が心此処に非ずの態で口を開いた。
「その時迄はそうだったがなぁ。…皆気持ちが一つになっていたんだがなぁ…。」
「父さんや母さんだって、あんなに喜んでいたじゃないか。」
到頭私の父は、伯父が何時家に戻ってくる気なのかと祖父に尋ねた。
「父さん聞いてないかい、兄さんはいつ戻る気なんだって?。」
今じゃないなら何時戻って来るんだ。そう私の父が責める様に祖父を問い詰めると、祖父は力なく答えた。
「あれはもうこの家には戻って来ないかもしれないなぁ。」
永久にこの家から出るんじゃないかなぁ。あれの気性を考えるとそうなるんじゃないかな。と、言った切、その後は私の父が訴える言葉に祖父は耳を貸そうとしなかったようだ。隣室からは父の声のみが響き、遂にはその父の声も何かに驚いたようにえっ!と言う声を最後に、消え入るように途絶えてしまった。