Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 73

2019-10-10 10:10:38 | 日記

 「お祖母ちゃん、何だか変じゃない?。」

私は父に尋ねた。変というか妙というか、と。父は当然、私に何故だと尋ねて来るので、私は先の祖母との一件を父に話した。

 私が見た変な夢を祖母は変じゃないと言った事や、その夢を私が見た事を彼女が満足気に喜んでいた様子、その様子が何だか私自身の事を喜ぶというよりも、祖母自身にとって何かしらの利益が有る為喜んでいる様に感じられた事、それが私に対してのそれ迄の祖母の好感度を下げる結果になった事、そしてやはり何より私の祖母に対する印象が酷く奇妙に感じられて来たのだ、という見解を父に述べた。

 私の見た夢は、私にすると妙で変な夢なのだ、と私は再度父に訴えた。すると彼は、何故お前は自分の見た夢を妙で変な夢だと思うのかと問うて来た。私は答えた。

「今までの様に色や形が出てこない、声だけで暗い夢だ。変でしょう?。」

それはとても子供らしくない夢だ。そう自分で思う。と自身の意見を言うと、「子供の私が見る夢とは思えない。」と夢の感想を述べた。そして自分自身でそう思うのに…。と訴えた。

 私にはどうしても妙な夢としか思えない。その夢がそうではないという祖母だ。「それが返って私に祖母を変で妙に思わせたのかなぁ…。」私は小首を傾げた。そうなのだ。この時私は、先程の祖母が自分の目に妙に映った理由が分かった気がした。

 父は修正しないとなぁと言うと、また懐から例の懐中時計を取り出した。何思う所無く時計と父を眺めていた私は、父の向こうに、縁側の先の廊下の所に、祖母がこちらを向いて立つ姿が目に入った。

 父がやはり時計を振り子の様に揺らして何やら話し出した時、祖母はハッとした顔をして音もなく父の背後にやって来ると、暫く無言でその場に佇んでいた。彼女が口元に人差し指を立てて、しぃっ!という内緒のポーズを取るので、私は祖母が父の背後に立った事を黙っていた。それだけでなく、彼女に気を取られていて父の話にお留守になって仕舞った。…、な。…、な。という彼の同意を求める最後の言葉にのみ反応すると、うん。うん。と生返事をしていた。その内、父が自分の母に気付く前に、彼女は足音を忍ばせするとコッソリとその場を立ち去った。

 『何なんだろう?。』

私は思った。そして父の顔を改めて見詰めると、父はにこやかに目を細めて私の顔を見詰めて来た。彼はこれで良しと言うと素早く時計を自分の掌の中に仕舞い込み、私の両肩を抱えるようにしてポンと叩くと、うんうんと頷いた。私は父の笑顔に釣られて微妙に苦笑いした。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-10-10 10:07:42 | 日記
 
土筆(220)

 彼にしても妻と同様、孫のこの理解の早さを奇妙に感じてました。何しろ今迄、彼は他の孫とこの孫にそう大した理解力等の差を感じた事が無かったのですから、尚更でした。『この孫だけどうして......
 

 良いお天気です。秋晴れです。次の台風が怖いです。