Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 88

2019-10-28 09:39:50 | 日記

 お、お前なぁと、父は真剣な顔で私に迫って来た。とその時、

「四郎!」

襖の向こう側から父の名を呼ぶ祖父の声が響いた。その時の祖父の声は怒りを帯びていた。

 「ちょっとこっちに来なさい。」続いてそう声が掛かった。私はもしかすると…、と、この声は自分が呼ばれている声なのではないだろうか?、と迷った。祖父は私を怒っているのだろうか?、父だろうか?、どちらだろうかと少々思い惑ったが、それは父も同様だった様だ。

「ほら、お祖父ちゃんもお前の事を怒っているぞ。」

と父。さも私にいい気味だというような顔付をして決めつけて来たりした。私はそんな父に、内心やはりそうなんだろうかと思うと不安感が増して来た。

 すると、

「四郎、お前だよ。」

と祖父の声が響いた。私はほっとした。思わず笑みを浮かべそうになった。が、父の、私の顔を見詰めている目付きに気付いたので、私は無表情を決めて取り澄ました顔をすると、しゃんとしてその場に両足を着けて立った。しかし内心小躍りしたいくらいに嬉しかった。叱られるのは父の方なのだと思った瞬間、実際私は嬉しくて祖父に感謝した。祖母は元々好きだったけれど、祖父も大好きだなと思った。

 父は黙って障子の向こうを睨んでいたが、続いて、「お前だけこっちに入っておいで。」と言う声と、「急いで!。」と言う祖父の声に、彼は小さく舌打ちすると、渋々くるりと私に背を向けた。そして彼は自分の両親の部屋へと向かった。私は父の遠ざかる背を見詰めながら。抑えていた喜びをつい全身で表現し始めた。私は抑えていた笑顔で相好が崩れ、思わずその場でぴょんぴょんと飛び跳ねたのだった。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-10-28 09:37:29 | 日記
 
土筆(238)

『私は普通何でも1回聞けば分かるんだよ。』ふふんと、本心はやや腹立ちながら、可笑しそうに祖母は心の中で呟きました。さてと、彼女は蛍さんが話し出すのを待ち構えていました。「ど......
 

 良いお天気です。10月も、もう少しで終わりです。