「私の…?!。」
私の嫌味に父は驚いていたが、真面目に何事か考え出したようだ。
「それでは、お母さんに聞いてみないとな。」
考えながら私に同意を求める様に父は言った。私はにっこり笑ってその言葉に答えた。そして父に背を向けるとにんまり笑った。私はしてやったりとばかりにダーッと走り出すと、そのまま一気に台所へと逃げ出した。これ以上父の傍に居て、何かまた話し掛けられるのを避けたのだった。
その後父は本当に母に問い掛けたようだ。1時間ほどしてから、自分のせいでは無いと母が言っていたと、また私を障子の前で待ち伏せしていて責め立てて来た。私はその時台所から居間に入って来たが、また父の言いがかりに付き合うのかと少々うんざりした。この時の私には、父が犯人を知っているという事実が強みとしてあったので、気持ちに余裕が持てた。
「変だねぇ。」
私は言った。お父さんのせいでも、私のせいでも無いなら、誰のせいで障子に穴が開いたんだろうね。
「若しかしたらそれはお母さんのせいじゃないの。」
開けたいから開けたんじゃないのかなぁ。駄目だと言われても、したいならすればいいと言っていたくらいの人だもの。私は母の為人を父に断言した。
「お母さん、ここに穴を開けたいから開けたんだよ。」
自分の為じゃないかなぁ。私はさも推理するような口ぶりでわざとらしく明言した。父は何というのだろうか、私には興味があった。父の返事に何と答えようかなと、内心少々愉快に感じながら私は父の顔を見詰めて彼の次の言葉を待った。