入会する時には、色々と決めなければならないこと、用意しなければならないものがあったりとなかなか大変だ。暗号がなかなか届かなかったり、スペルを間違えたりしてなかなか苦労することも多い。けれども、退会する時は特に何もいらない。その決意さえあればいつでもできるのだ。その「ボタン」を押しさえすればいいのだ。
私はなかなか退会することができない。だから、幽霊のように存在している世界をいくつも抱えていて、長い間訪れていなかったり、時折思い出したように足を運んだりしている。
退会する人に出会った時は、なぜという疑問の他に、その潔さを少し羨ましく思いながら見つめていた。けれども、それがただ潔いのかなんか傍から見ていてわかるものではない。その決断の中に、どれほどの理由、時間、葛藤が流れ含まれていて、そこにどのようにして至ったのか容易に想像することはできなかったのだ。そう思うように、なった。
もしも退会するなら、私はその世界の中の一つ一つを、自分が持ってきた作品の一つ一つを消してからでなければできないように思う。一つの「ボタン」を簡単に押すことは簡単ではないような気が、なぜかした。
私は、最近めっきり訪れなくなったサイトの中に入り、自分の部屋に置かれたままの過去を消そうと順番に作品たちを眺めた。以前、かなりの数を整理したのでそれはもう数えるほどしかなかった。しばらく眺めて、眺めるだけで出てきてしまった。順番に消していくつもりだったけれど、一つも今日は消すことができなかった。
*
私はできもしない退会の日記を書いて、それをあっさりと消してしまった。
「またつまらないものを消してしまった」
つまらなくなければどれほどよかったことか。
けれども、消すことは必要なことだ。
私は毎日日記を書き、書き終えては消してしまう。
そうして私は私を保っているのだ。
私はなかなか退会することができない。だから、幽霊のように存在している世界をいくつも抱えていて、長い間訪れていなかったり、時折思い出したように足を運んだりしている。
退会する人に出会った時は、なぜという疑問の他に、その潔さを少し羨ましく思いながら見つめていた。けれども、それがただ潔いのかなんか傍から見ていてわかるものではない。その決断の中に、どれほどの理由、時間、葛藤が流れ含まれていて、そこにどのようにして至ったのか容易に想像することはできなかったのだ。そう思うように、なった。
もしも退会するなら、私はその世界の中の一つ一つを、自分が持ってきた作品の一つ一つを消してからでなければできないように思う。一つの「ボタン」を簡単に押すことは簡単ではないような気が、なぜかした。
私は、最近めっきり訪れなくなったサイトの中に入り、自分の部屋に置かれたままの過去を消そうと順番に作品たちを眺めた。以前、かなりの数を整理したのでそれはもう数えるほどしかなかった。しばらく眺めて、眺めるだけで出てきてしまった。順番に消していくつもりだったけれど、一つも今日は消すことができなかった。
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私はできもしない退会の日記を書いて、それをあっさりと消してしまった。
「またつまらないものを消してしまった」
つまらなくなければどれほどよかったことか。
けれども、消すことは必要なことだ。
私は毎日日記を書き、書き終えては消してしまう。
そうして私は私を保っているのだ。