眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

指運

2013-06-13 12:16:17 | 気ままなキーボード
遠回りすればいくらでも勝てた。勝つというだけなら、何通りも勝ち方はあった。でも、ただ勝つだけではなく、プロなのだから、できることなら少しでも鮮やかに、みせて勝ちたい。揺れる想いは着手となって、最果ての地の周辺に奇妙で危うい形を作り始めていた。それでも、どこかで、ただ勝つためならば、引き返せる場所はいくらかあった。それは全体として見ればフィールドを汚してしまうことかもしれない。最後の決着をつけるために猛然と飛び込んだ瞬間、皮肉なことに形勢は入れ替わってしまった。もう少しだけ勇気が足りなければ、何事も起こらずに済んだかもしれないのに。物語は、あるところからみれば悪夢のような結末を迎えた。とても信じられない。戦い終わって、勝者も敗者も何も言葉を発しなかった。すべては指先で語り尽くされていたから。2人はどちらも人間らしい。残されたのは1枚の譜面と、勝敗の銀河を越えた人間たちだった。

コメント
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