我男子入厨房再挑戦炒飯。
また炒飯かい?との声も聞こえそうだ。そう、私は何度も連続して同じような「一皿料理」を作る。ちょっと前に私は「マンネリからの脱却@七里ガ浜自宅厨房(2) 基本に戻る / なぁ~んちゃって王道炒飯」という妙に長いタイトルで、私の真摯な炒飯求道の記録をこのブログに投稿した。今回はその続編である。
前回の投稿の後、その投稿と同じレシピで同じものを作ってみた。そしてさらに、修業にも出かけた。修業と言っても大衆中華料理店に出かけ、観察し、食べただけだが。どこに出かけたか?中華東秀藤沢店である。本当は藤沢駅前の王将に行きたかったのだが、なにせ天下の王将であり大藤沢ステーションの前にあるので、ランチ時間は店頭に大行列。私は王将を諦め、王将に続く大衆中華料理の雄、東秀に向かったのだった。
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ではなぜ、藤沢にもある銀座アスターではなく、王将あるいは東秀でなければならないのか? 物事には何でも理由があるのだ。それはdancyu2009年6月号の特集「チャーハン名人になる」で、ある名人が「本場中国では、チャーハンは外で注文して食べることは少なく、家庭料理のイメージが強い」がコメントしていたからだ。もちろん高級素材によるおいしい炒飯もあって良いが、私が作りたかったのは安くて美味しい家庭料理としての炒飯である。「安い炒飯」の極意を確認するために、私は東秀に立ち寄ったのであった。
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中華東秀藤沢店では現在炒飯の価格が520円で、王将よりは高いが、一般的には「安い」と言える価格である。具はネギ、卵、叉焼の3種類。基本中の基本である。しかし私の前に出された炒飯を見ると悲しくなるくらい、もう泣けて来るくらい、卵も叉焼も小さな破片がわずかに入っているだけだった。メニューにあるカラー写真とは具の大きさ、量においてあまりに大きな違いがあった。
誤解しないでほしい。私は文句を言っているわけではない。何も考えない客は「まずい」とか「高い」とかいろいろ言うかもしれない。しかし、この520円という価格から来る制約があるだろう。安く材料を仕入れてキレイな店舗を維持し光熱費を払いテナント料を払い従業員に給料を払いバカみたいな客のクレームに対応し、かつ520円で提供して、おまけに儲けを出すことは大変、と言うよりも相当難しいはずで、寧ろ私は経営者に同情する。
ということで、とにかく具はそんな程度のものなのだが、味はと言うと・・・これが・・・なんと!・・・美味しいのである。ご飯はパラパラと仕上がり、塩加減もビシッと決まっている。私は直接見てはいないが、きっと火加減も鍋の振りもこの料理人は上手なのだろうと想像する。東秀のその日の担当料理人に拍手!安い家庭料理とは、こういうもので良いと思う。
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さて、私も東秀の料理人に負けないぞ。米と調味料を除くと、材料は画像にある3つである。いろいろな炒飯があって良いけれど、王道のベーシックスは①卵、②長ネギ、③叉焼とすると・・・
①のみ、または
①+②、または
①+②+③だろう。
しかし我が家の材料(2人分)は卵2個、長ネギ2本、鶏モモ肉300gだ。なぜ叉焼でなくて鶏モモ肉なのか?前回説明したが、炒飯に使っても美味しいような叉焼は高価であることと、七里ガ浜では入手がやや困難であることによる。七里ガ浜でも簡単に手に入る安い鶏モモ肉を調理してなんとか叉焼に見立てることで、コスト・セーブに努め、問題を克服するのだ。
最初に1.5合のご飯を炊く。かなり早目にスタート。水は規定より10%減くらいで固めに炊く。
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遅れてゆっくりと調理をスタート。まずは長ネギ。細く細く小口切りで。「みじん切りは炒飯の中でネギが存在感を失うから不可」とdancyu2009年6月号に書いてあるから、そうした。調理のかなり前に切ってボールに入れてラップをしないで冷蔵庫に入れて水気を飛ばした。
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毎日「KY」(価格安い」の意味)の西友七里ガ浜店は偉い。26日(日)は国産鶏モモ肉がセールである。100g79円だ。ただし26日限り。買わなかった方、残念でしたぁ~~。300gなら200円とちょっと。かなり節約モードな炒飯である。
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鶏モモ肉を切る。かなり根気の必要な作業である。皮と筋を取り除きながら細かく切って行く。唐揚げ的な大きさに切っては大き過ぎて、叉焼の代替という大役が果たせない。あくまで鶏肉の塊になってしまう。小さ過ぎると食感的にも面白くない。適度に細かく切って、醤油で焦がすように濃くカリッと味付けて、味と食感の両面で炒飯のアクセント付けを狙う(つもり)。切る処理が終わったらボールに入れてラップして冷蔵庫へ。
OXO社のまな板(SMALL)とサバティエ社の包丁がキレイだ。以前はヒノキのまな板を使っていたが、あるテレビ番組を見ていて、木のまな板を清潔に保つことがいかに難しいかを知り、味気ないプラスチックに私はあっさりと転向したのだが・・・などと調理器具を見てニヤニヤしているヒマはない。次のプロセス「洗い物」へ移行。
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鶏肉には注意しましょう。まな板の上で鶏肉を処理したら、まな板に付いた細かな無数の傷はバイ菌繁殖の温床となる。サッサと熱湯で消毒ザザザァ~。
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調味料は塩が主体だ。しかし醤油と胡椒も使う。それにしてもなんとシンプルなのだろう。王道炒飯は味覚的、調味料的にあまりに美しいバランスの上に成り立っている。
具材をいろいろと多く入れる炒飯の場合、普通は具を炒める段階で強く味つけをして、ご飯を中華鍋に入れてからはあまり多くの調味料を投入しないことが多いと思う。一方シンプルな卵炒飯は当然ながらご飯を入れてから、塩を主とした調味料を入れるだろう。今回私は以下のようにした。
① 先に鶏モモ肉を炒める段階で、醤油と胡椒で濃く色と味をつける。
② ご飯を加えてからは塩のみを使用して味をつける。
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「似非王道炒飯「二鍋流」秘技」(エセオードーチャーハン二カリューヒギ)と漢字ばかりで長たらしいタイトルを書いた。「エセ」と付くのは「王道炒飯」と言うわりには、中華鍋を振り回してご飯と卵を空中で混ぜ合わせることを私はしないからだ。中華鍋で調理する前に、ご飯を中華鍋の外で予め溶き卵と混ぜてしまうやや反則気味の技を私は使うことから、ストレートに「王道」と言い切ることを避けた私の控えめな姿勢の表れなのである。「ニカリュー」と言うのは文字通り、鍋を2つ使うところから来ている。直径32cmの普通の鉄製中華鍋と仏鍋(おフランスのティファール社製テフロン加工のフライパン、下の画像)だ。
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ではなぜ2つの鍋(あるいはフライパンと呼ぶべきか)なのか?これもちゃんとロジックがある。
今回の調理では、まずは具を炒めた後、その具を中華鍋の外に出して待機させ、今度は卵つきのご飯を中華鍋に入れて炒め、そこにすでに出来上がっている具を中華鍋に戻してご飯と一緒にササッと炒める。ところが、それを全部同じ1つの中華鍋で続けて作業すると以下のような問題が生じるのだ:
①最初に中華鍋で醤油を濃くつけて鶏肉を炒めるので、その段階でどうしても中華鍋に醤油主体の焦げがつく。その後に溶き卵のついたご飯をそこに入れるので、まだ柔らかい卵がその焦げを拾ってしまって炒飯が不味くなる。
②だったら鶏肉を炒めた後に中華鍋を一旦洗って焦げを落としてから、キレイになった中華鍋にご飯を入れて炒めれば良いではないかと、あなたは言うかもしれない。しかしそれをすると油を2回中華鍋に引かねばばならず、それは避けたい。出来ることなら、鶏肉を炒める段階でも油を避けたいくらいなのだ。しかも途中で鍋を洗う分時間が空いてしまって気が抜ける。そして水洗いされた冷たい中華鍋を再び調理に使うことは、調理プロセス美学的に楽しくない。
③だったら油を控えめにして、全部の作業をテフロン加工の焦げ付きにくい鍋でやればいいのではないかと、あなたは言うかもしれない。しかしそれでは私の満足感が得られない。私は炒飯を中華鍋で作りたいのだ。さらに米まで含めた2人分の炒飯を炒めるには我が家のテフロン加工の鍋はやや小さい。
という①→②→③の思考を経て以下の方法を取ることにした:
【第一段階】
油を使わず、鶏肉をテフロン加工のフライパンで炒める。
【第二段階】
油を使って中華鍋でご飯と具を炒めて仕上げる。
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さあ調理開始。まずは油を使わず鶏肉を炒める。テフロン加工だから平気である。じっくり炒める。ここでは鶏肉は叉焼の代わりだ。香ばしさが必要だ。
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ちょっと焦げて来たかなぁと思われたら醤油を投入。香りが良い。鶏肉の色がサッと茶色く鮮やかになり、叉焼の代役らしくなってくる。納豆か揚げニンニクのように見えるかもしれないが、これはあくまで鶏モモ肉を刻み炒めたものである。油も使っていないし、醤油を入れてもテフロン加工なので焦げつきもゼロ。鶏肉がただただカリッと香ばしいだけだ。素晴らしい。
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そこに、冷蔵室で水分を飛ばした長ネギを投入。これは温める程度。あまり長く炒めていてはネギがしんなりしてしまい、香りもなくなる。
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具を炒め終わったら、ボールに取り出してしまう。これで【第一段階】は終わりだ。おフランスのフライパンは退場。このあたりまでは、忙しいと言ってもなんとか自分のペースで処理出来る。本当に大変なのは次の段階からである。プロセス全体のマネジメントが大事だ。
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ご飯はとっくに固めに炊きあがりボールに放置してある。前回ブログでのっぱらひろしさんとるーさんからご飯についてコメントをもらった。
【ひろしさん】
冷や飯の場合チンする。
【るーさん】
炒飯用に炊いたご飯を冷蔵庫に入れて前日から保管しておく。
ブログは有難い。いろいろと家庭により異なる作り方があることを学べる。今回の私のご飯は、当日ではあるがかなり早めに炊いて、先にボールに出して放ったらかすという方法をとった。次回は冷ご飯や冷蔵庫保管もやってみよう。確かに上の画像の小口切りした長ネギも冷蔵庫に放置していると、アッという間に水が飛ぶのだ。ハウ・テクニカル・王道炒飯調理・イズ!
オッと。あれこれ話しているヒマはない。ここからがデタラメに忙しいのだ。放ったらかされ冷めたご飯に溶き卵を投入し、さっさと混ぜましょう。混ぜすぎはいけない。ご飯の粘り気を誘うからだ。でも卵がすべての米粒にキレイにコーティングされなければ出来上がりがつまらない。混ぜ加減は難しい。適度にやろう。
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もっと忙しくなるぞぉ!・・・トリャァァァァッッ!! 卵と混ぜたご飯を、熱して油を馴染ませた中華鍋に「広げたてるように展開して」入れる。顔面に火を感じながらそのまま待て!決して鍋から離れるな!音を聞け!
スグに中華鍋の中で油と卵がジュージュー音を立て始める。どの時点でヘラを使いご飯を炒め始めるか? このタイミングが難しい。早いと、まだ生状態の卵をねちゃねちゃとこねくりまわすことになるのでダメだ。遅いと、卵が黒く焦げるからそれも絶対ダメなのだ。でも音を聞けばわかる。それでわからなければ、ご飯の底部をヘラでめくって卵の焼け具合を視覚的に捉えよ。
中華鍋と接している卵がまだ焦げず、パリッと乾いてきたなぁ~と見えた正にその瞬間に、サァ~っと具を中華鍋に入れ戻し、ご飯をサクサク・カンカンカンと手際よく炒め始めるのである。塩も適量入れよう。急げ急げ! 時間をかけちゃダメだ。サッサと炒めろ。厨房は戦場と化す。
火鍋内卵不可焦!
飯卵混合短時間!
不可投入塩過多!
野原劉推薦冷飯!
彼等天才料理人!
我謝彼等技公開!
西友七里浜偉大!
安価鶏芳香良好!
(注)野原=のっぱらひろしさん、劉=るーさん
こうなると、忙しすぎて私は中国語(?)しか話せなくなるが・・・アッと言う間に一人で繰り広げられた戦争が終了した。
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辛苦了! 似非王道炒飯「二鍋流」秘技終了!
ビューティフルな炒飯が完成した。ビレロイ・ボッホ社製のプレート・マットとお皿もビューティフルだ。スプーンもデンマーク王室御用達(これ、ちょっと自慢)だ。具材の安さ及びいい加減な言語に比べ、その周囲の用具だけがややハイグレードである。
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見とれているヒマはない。デジカメ撮影しているヒマもない。さあ食べよう。似非王道炒飯! ヤミヤミ。
また炒飯かい?との声も聞こえそうだ。そう、私は何度も連続して同じような「一皿料理」を作る。ちょっと前に私は「マンネリからの脱却@七里ガ浜自宅厨房(2) 基本に戻る / なぁ~んちゃって王道炒飯」という妙に長いタイトルで、私の真摯な炒飯求道の記録をこのブログに投稿した。今回はその続編である。
前回の投稿の後、その投稿と同じレシピで同じものを作ってみた。そしてさらに、修業にも出かけた。修業と言っても大衆中華料理店に出かけ、観察し、食べただけだが。どこに出かけたか?中華東秀藤沢店である。本当は藤沢駅前の王将に行きたかったのだが、なにせ天下の王将であり大藤沢ステーションの前にあるので、ランチ時間は店頭に大行列。私は王将を諦め、王将に続く大衆中華料理の雄、東秀に向かったのだった。
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ではなぜ、藤沢にもある銀座アスターではなく、王将あるいは東秀でなければならないのか? 物事には何でも理由があるのだ。それはdancyu2009年6月号の特集「チャーハン名人になる」で、ある名人が「本場中国では、チャーハンは外で注文して食べることは少なく、家庭料理のイメージが強い」がコメントしていたからだ。もちろん高級素材によるおいしい炒飯もあって良いが、私が作りたかったのは安くて美味しい家庭料理としての炒飯である。「安い炒飯」の極意を確認するために、私は東秀に立ち寄ったのであった。
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中華東秀藤沢店では現在炒飯の価格が520円で、王将よりは高いが、一般的には「安い」と言える価格である。具はネギ、卵、叉焼の3種類。基本中の基本である。しかし私の前に出された炒飯を見ると悲しくなるくらい、もう泣けて来るくらい、卵も叉焼も小さな破片がわずかに入っているだけだった。メニューにあるカラー写真とは具の大きさ、量においてあまりに大きな違いがあった。
誤解しないでほしい。私は文句を言っているわけではない。何も考えない客は「まずい」とか「高い」とかいろいろ言うかもしれない。しかし、この520円という価格から来る制約があるだろう。安く材料を仕入れてキレイな店舗を維持し光熱費を払いテナント料を払い従業員に給料を払いバカみたいな客のクレームに対応し、かつ520円で提供して、おまけに儲けを出すことは大変、と言うよりも相当難しいはずで、寧ろ私は経営者に同情する。
ということで、とにかく具はそんな程度のものなのだが、味はと言うと・・・これが・・・なんと!・・・美味しいのである。ご飯はパラパラと仕上がり、塩加減もビシッと決まっている。私は直接見てはいないが、きっと火加減も鍋の振りもこの料理人は上手なのだろうと想像する。東秀のその日の担当料理人に拍手!安い家庭料理とは、こういうもので良いと思う。
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さて、私も東秀の料理人に負けないぞ。米と調味料を除くと、材料は画像にある3つである。いろいろな炒飯があって良いけれど、王道のベーシックスは①卵、②長ネギ、③叉焼とすると・・・
①のみ、または
①+②、または
①+②+③だろう。
しかし我が家の材料(2人分)は卵2個、長ネギ2本、鶏モモ肉300gだ。なぜ叉焼でなくて鶏モモ肉なのか?前回説明したが、炒飯に使っても美味しいような叉焼は高価であることと、七里ガ浜では入手がやや困難であることによる。七里ガ浜でも簡単に手に入る安い鶏モモ肉を調理してなんとか叉焼に見立てることで、コスト・セーブに努め、問題を克服するのだ。
最初に1.5合のご飯を炊く。かなり早目にスタート。水は規定より10%減くらいで固めに炊く。
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遅れてゆっくりと調理をスタート。まずは長ネギ。細く細く小口切りで。「みじん切りは炒飯の中でネギが存在感を失うから不可」とdancyu2009年6月号に書いてあるから、そうした。調理のかなり前に切ってボールに入れてラップをしないで冷蔵庫に入れて水気を飛ばした。
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毎日「KY」(価格安い」の意味)の西友七里ガ浜店は偉い。26日(日)は国産鶏モモ肉がセールである。100g79円だ。ただし26日限り。買わなかった方、残念でしたぁ~~。300gなら200円とちょっと。かなり節約モードな炒飯である。
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鶏モモ肉を切る。かなり根気の必要な作業である。皮と筋を取り除きながら細かく切って行く。唐揚げ的な大きさに切っては大き過ぎて、叉焼の代替という大役が果たせない。あくまで鶏肉の塊になってしまう。小さ過ぎると食感的にも面白くない。適度に細かく切って、醤油で焦がすように濃くカリッと味付けて、味と食感の両面で炒飯のアクセント付けを狙う(つもり)。切る処理が終わったらボールに入れてラップして冷蔵庫へ。
OXO社のまな板(SMALL)とサバティエ社の包丁がキレイだ。以前はヒノキのまな板を使っていたが、あるテレビ番組を見ていて、木のまな板を清潔に保つことがいかに難しいかを知り、味気ないプラスチックに私はあっさりと転向したのだが・・・などと調理器具を見てニヤニヤしているヒマはない。次のプロセス「洗い物」へ移行。
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鶏肉には注意しましょう。まな板の上で鶏肉を処理したら、まな板に付いた細かな無数の傷はバイ菌繁殖の温床となる。サッサと熱湯で消毒ザザザァ~。
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調味料は塩が主体だ。しかし醤油と胡椒も使う。それにしてもなんとシンプルなのだろう。王道炒飯は味覚的、調味料的にあまりに美しいバランスの上に成り立っている。
具材をいろいろと多く入れる炒飯の場合、普通は具を炒める段階で強く味つけをして、ご飯を中華鍋に入れてからはあまり多くの調味料を投入しないことが多いと思う。一方シンプルな卵炒飯は当然ながらご飯を入れてから、塩を主とした調味料を入れるだろう。今回私は以下のようにした。
① 先に鶏モモ肉を炒める段階で、醤油と胡椒で濃く色と味をつける。
② ご飯を加えてからは塩のみを使用して味をつける。
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「似非王道炒飯「二鍋流」秘技」(エセオードーチャーハン二カリューヒギ)と漢字ばかりで長たらしいタイトルを書いた。「エセ」と付くのは「王道炒飯」と言うわりには、中華鍋を振り回してご飯と卵を空中で混ぜ合わせることを私はしないからだ。中華鍋で調理する前に、ご飯を中華鍋の外で予め溶き卵と混ぜてしまうやや反則気味の技を私は使うことから、ストレートに「王道」と言い切ることを避けた私の控えめな姿勢の表れなのである。「ニカリュー」と言うのは文字通り、鍋を2つ使うところから来ている。直径32cmの普通の鉄製中華鍋と仏鍋(おフランスのティファール社製テフロン加工のフライパン、下の画像)だ。
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ではなぜ2つの鍋(あるいはフライパンと呼ぶべきか)なのか?これもちゃんとロジックがある。
今回の調理では、まずは具を炒めた後、その具を中華鍋の外に出して待機させ、今度は卵つきのご飯を中華鍋に入れて炒め、そこにすでに出来上がっている具を中華鍋に戻してご飯と一緒にササッと炒める。ところが、それを全部同じ1つの中華鍋で続けて作業すると以下のような問題が生じるのだ:
①最初に中華鍋で醤油を濃くつけて鶏肉を炒めるので、その段階でどうしても中華鍋に醤油主体の焦げがつく。その後に溶き卵のついたご飯をそこに入れるので、まだ柔らかい卵がその焦げを拾ってしまって炒飯が不味くなる。
②だったら鶏肉を炒めた後に中華鍋を一旦洗って焦げを落としてから、キレイになった中華鍋にご飯を入れて炒めれば良いではないかと、あなたは言うかもしれない。しかしそれをすると油を2回中華鍋に引かねばばならず、それは避けたい。出来ることなら、鶏肉を炒める段階でも油を避けたいくらいなのだ。しかも途中で鍋を洗う分時間が空いてしまって気が抜ける。そして水洗いされた冷たい中華鍋を再び調理に使うことは、調理プロセス美学的に楽しくない。
③だったら油を控えめにして、全部の作業をテフロン加工の焦げ付きにくい鍋でやればいいのではないかと、あなたは言うかもしれない。しかしそれでは私の満足感が得られない。私は炒飯を中華鍋で作りたいのだ。さらに米まで含めた2人分の炒飯を炒めるには我が家のテフロン加工の鍋はやや小さい。
という①→②→③の思考を経て以下の方法を取ることにした:
【第一段階】
油を使わず、鶏肉をテフロン加工のフライパンで炒める。
【第二段階】
油を使って中華鍋でご飯と具を炒めて仕上げる。
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さあ調理開始。まずは油を使わず鶏肉を炒める。テフロン加工だから平気である。じっくり炒める。ここでは鶏肉は叉焼の代わりだ。香ばしさが必要だ。
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ちょっと焦げて来たかなぁと思われたら醤油を投入。香りが良い。鶏肉の色がサッと茶色く鮮やかになり、叉焼の代役らしくなってくる。納豆か揚げニンニクのように見えるかもしれないが、これはあくまで鶏モモ肉を刻み炒めたものである。油も使っていないし、醤油を入れてもテフロン加工なので焦げつきもゼロ。鶏肉がただただカリッと香ばしいだけだ。素晴らしい。
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そこに、冷蔵室で水分を飛ばした長ネギを投入。これは温める程度。あまり長く炒めていてはネギがしんなりしてしまい、香りもなくなる。
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具を炒め終わったら、ボールに取り出してしまう。これで【第一段階】は終わりだ。おフランスのフライパンは退場。このあたりまでは、忙しいと言ってもなんとか自分のペースで処理出来る。本当に大変なのは次の段階からである。プロセス全体のマネジメントが大事だ。
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ご飯はとっくに固めに炊きあがりボールに放置してある。前回ブログでのっぱらひろしさんとるーさんからご飯についてコメントをもらった。
【ひろしさん】
冷や飯の場合チンする。
【るーさん】
炒飯用に炊いたご飯を冷蔵庫に入れて前日から保管しておく。
ブログは有難い。いろいろと家庭により異なる作り方があることを学べる。今回の私のご飯は、当日ではあるがかなり早めに炊いて、先にボールに出して放ったらかすという方法をとった。次回は冷ご飯や冷蔵庫保管もやってみよう。確かに上の画像の小口切りした長ネギも冷蔵庫に放置していると、アッという間に水が飛ぶのだ。ハウ・テクニカル・王道炒飯調理・イズ!
オッと。あれこれ話しているヒマはない。ここからがデタラメに忙しいのだ。放ったらかされ冷めたご飯に溶き卵を投入し、さっさと混ぜましょう。混ぜすぎはいけない。ご飯の粘り気を誘うからだ。でも卵がすべての米粒にキレイにコーティングされなければ出来上がりがつまらない。混ぜ加減は難しい。適度にやろう。
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もっと忙しくなるぞぉ!・・・トリャァァァァッッ!! 卵と混ぜたご飯を、熱して油を馴染ませた中華鍋に「広げたてるように展開して」入れる。顔面に火を感じながらそのまま待て!決して鍋から離れるな!音を聞け!
スグに中華鍋の中で油と卵がジュージュー音を立て始める。どの時点でヘラを使いご飯を炒め始めるか? このタイミングが難しい。早いと、まだ生状態の卵をねちゃねちゃとこねくりまわすことになるのでダメだ。遅いと、卵が黒く焦げるからそれも絶対ダメなのだ。でも音を聞けばわかる。それでわからなければ、ご飯の底部をヘラでめくって卵の焼け具合を視覚的に捉えよ。
中華鍋と接している卵がまだ焦げず、パリッと乾いてきたなぁ~と見えた正にその瞬間に、サァ~っと具を中華鍋に入れ戻し、ご飯をサクサク・カンカンカンと手際よく炒め始めるのである。塩も適量入れよう。急げ急げ! 時間をかけちゃダメだ。サッサと炒めろ。厨房は戦場と化す。
火鍋内卵不可焦!
飯卵混合短時間!
不可投入塩過多!
野原劉推薦冷飯!
彼等天才料理人!
我謝彼等技公開!
西友七里浜偉大!
安価鶏芳香良好!
(注)野原=のっぱらひろしさん、劉=るーさん
こうなると、忙しすぎて私は中国語(?)しか話せなくなるが・・・アッと言う間に一人で繰り広げられた戦争が終了した。
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辛苦了! 似非王道炒飯「二鍋流」秘技終了!
ビューティフルな炒飯が完成した。ビレロイ・ボッホ社製のプレート・マットとお皿もビューティフルだ。スプーンもデンマーク王室御用達(これ、ちょっと自慢)だ。具材の安さ及びいい加減な言語に比べ、その周囲の用具だけがややハイグレードである。
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見とれているヒマはない。デジカメ撮影しているヒマもない。さあ食べよう。似非王道炒飯! ヤミヤミ。
美味しいですよーー。
お勧めの・・・
①冷蔵庫1日保管 そして
②鉄アレー特訓。
ムキムキマンになってサラサラ炒飯を
つくりますよ。
特訓強化腕筋肉継続振中華鍋美味的炒飯!
(なんのこっちゃ)
是非今度は御飯を冷蔵庫で1日保管してみてください!
我が家の場合は冷やし後飯に卵を入れて御飯が一粒一粒ばらばらになるまで卵と混ぜます。
卵かけご飯は焦げやすいのでひたすら中華鍋を振り続けます!
腱鞘炎になるくらいです!
私は中華鍋を振るため中華鍋に鉄アーレーをいれて毎日特訓してます・・・(大ウソです)
ひたすら鍋を振るのがポイントだと思います!
なあーるほど。
皆さん微妙な好みの差異と、それに応じた
作成の加減があるのですね。
そして短時間でシンプルに勝負。
野原広流王道炒飯
叉焼葱重視卵甘味
短時間勝負塩味良
因みに撮影は私自身。
疲れます。ブログ作成に苦労する
必要がどこにあるのでしょうか?
撮影協力は奥様でしょうか。
私がご飯をチンするのは、ご飯を炒める時間を最短にするためです。
ご飯を十分熱くするには炒めるのに時間がかかる。
そうすると卵が焼けてしまう。
私は卵のまったりとした甘みが好きで、焦げ気味だと苦くなる。
そのため短時間勝負のためのチンご飯。
もっとも、それだと十分水分が飛ばないのでは?
と思われるかもしれませんが、私は多少しょめっとした感じも好きなんです。
だから入れる具材も、短時間の調理可能焼豚、ネギのみです。
しょめまったりの塩味だけど卵の甘さが味わえる炒飯の出来上がりなのです。
野原大好諸目甘卵飯!