碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ACは過去の優れた公共CMも流したらどうだろう

2011年03月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分では、ACジャパンの「公共キャンペーンCM」について書きました。



ACは過去の優良なCMの名作集も流したら
どうか


ACジャパンが、新しいキャンペーンCM、それも今回の大震災に対応した新作を流し始めた。

SMAPの5人がカメラに向かって語り掛けるものや、サッカーの岡崎慎司選手、長友佑都選手が登場するものなどだ。

通常のCM制作が何カ月もかかる中で、よくぞこの短期間で放送まで漕ぎつけたものだと思う。

3月期のCM枠は地震前、すでに各スポンサー企業に売られていた。

しかし、企業側も3月11日以降は通常CMを流すわけにいかず、自粛の形をとった。

それを埋めるのがACジャパンの「公共広告」だ。

ところが地震発生以来、使われる公共CMが限定されていた。

しかも各局で同時かつ大量に流されたため、視聴者から「どうにかならないか」の声が上がっていたし、今もある。

どんなにいい内容であっても、あまりに同じものを繰り返し見せられると、見る側はうるさく感じたり、反発さえ覚えたりする。

映像とはそういうものだ。

その意味で新作は大歓迎だが、時間がたてば同じことになっていく。

そこで提案だが、ACには過去数十年にわたって制作してきた数多くの優れた公共CMがある。

これらの中から現状にマッチしたものを選び、一種の「名作集」として新作と併せて流してみたらどうだろう。

原発の動向によっては通常CMの完全復活まで、まだ時間がかかるかもしれないからだ。

(日刊ゲンダイ 2011.03.28)