『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週の掲載分では、ACジャパンの「公共キャンペーンCM」について書きました。
ACは過去の優良なCMの名作集も流したら
どうか
ACジャパンが、新しいキャンペーンCM、それも今回の大震災に対応した新作を流し始めた。
SMAPの5人がカメラに向かって語り掛けるものや、サッカーの岡崎慎司選手、長友佑都選手が登場するものなどだ。
通常のCM制作が何カ月もかかる中で、よくぞこの短期間で放送まで漕ぎつけたものだと思う。
3月期のCM枠は地震前、すでに各スポンサー企業に売られていた。
しかし、企業側も3月11日以降は通常CMを流すわけにいかず、自粛の形をとった。
それを埋めるのがACジャパンの「公共広告」だ。
ところが地震発生以来、使われる公共CMが限定されていた。
しかも各局で同時かつ大量に流されたため、視聴者から「どうにかならないか」の声が上がっていたし、今もある。
どんなにいい内容であっても、あまりに同じものを繰り返し見せられると、見る側はうるさく感じたり、反発さえ覚えたりする。
映像とはそういうものだ。
その意味で新作は大歓迎だが、時間がたてば同じことになっていく。
そこで提案だが、ACには過去数十年にわたって制作してきた数多くの優れた公共CMがある。
これらの中から現状にマッチしたものを選び、一種の「名作集」として新作と併せて流してみたらどうだろう。
原発の動向によっては通常CMの完全復活まで、まだ時間がかかるかもしれないからだ。
(日刊ゲンダイ 2011.03.28)