今日21日(月)の朝、どれだけの人が、空を見上げることか。
金環食。
ちょっとしたブームと言っていい。
テレビも各局が特番風の態勢で、この自然現象を迎え撃つようだ(笑)。
私を含め、ある世代以上だと思うが、金環食と聞いて、石川達三のベストセラー小説「金環蝕」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
時代は高度成長期,総裁選をめぐり巨額の買収が与党内で起こった。その穴埋めの政治献金を得るため,ダム建設の入札が、あるからくりとともに推し進められた・・・。政界・財界・官界を舞台にした一大疑獄と、野望と欲に取り憑かれた人々を活写し、政治腐敗,国費の濫費に対する国民の怒りを喚起した問題の長編小説。
・・・・手持ちの、昭和41年に新潮社から出た初版本を開いてみる。
巻頭にいわく。
「金環蝕
まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、
中の方は真黒に腐っている」
「金環食」の日に、「金環蝕」を読む。
これも悪くないような気がします(笑)。
さて、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。
坪内祐三
『父(おとこ)系図~近代日本の異色の父子像』 廣済堂出版
中島義道
『真理のための闘争』 河出書房新社
堀江敏幸
『時計まわりで迂回すること』 中央公論新社
* 上記の本の書評は、
発売中の『週刊新潮』(5月24日号)
に掲載されています。