碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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J-CASTニュースが紹介、「加山雄三じゃ『巡回』」説

2012年05月31日 | メディアでのコメント・論評

『東京新聞』に書いた私のコラムを紹介する形で、『J-CASTニュース』に記事が出ていました。

http://www.j-cast.com/tv/2012/05/30133895.html

その反応の速さ、さすがニュースサイトです(笑)。



散歩はやっぱり地井武男。加山雄三じゃ「巡回」
上智大教授の鋭い突っ込み

地井武男の病気療養でテレビ朝日系「ちい散歩」が終了し、加山雄三の「若大将のゆうゆう散歩」(月~金曜あさ9時55分)に替わって間もなく1か月になるが、どうもしっくりこない。

以前の「ちいさな散歩」の雰囲気ではもちろんないし、だからといって「ゆうゆう」でもないからだ。

「身分を隠した遠山の金さんみたいで、どこかこそばゆい」

上智大学の碓井広義教授(文学部)が、東京新聞(2012年5月30日付)の「芸能ワイド」ページで、加山ミスキャストを鋭く突っ込んでいる。

「『大スター』加山雄三さんが散歩というより巡回といった雰囲気で、ずんずん歩き回っている。何を見ても『おい、嘘だろう。すげえなあ、コレ』と歓声をあげているが、身分を隠した遠山の金さんみたいで、どこかこそばゆい。

(略)路地裏に咲く花や見落としがちな看板にも目をとめていた地井さんの、のんびりゆったりした散歩スタイルが懐かしい」


もともと加山は、湘南生まれ湘南育ちの大スターの息子だ。子供のころからクルーザーやスキーにはなじんでいても、下町の路地裏で遊んだことはない。

プチ散歩としてはそもそものミスキャストで、そこに加山のヒット曲を流したりするから、まるでプロモーション番組である。地井さん、早く元気になって復帰してくれないかなあ。

(J-CAST テレビウオッチ 2012.05.30)


「散歩」というより「巡回」みたいな加山雄三

2012年05月31日 | 「東京新聞」に連載したコラム


『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回、書いたのは、「ちい散歩」→「若大将のゆうゆう散歩」をめぐる
お話です。


近くへ行きたい

旅番組「遠くへ行きたい」の演出をしていた時期がある。事前取材で現地を訪れるのだが、納得いくネタが見つからず途方に暮れることもあった。そんな時、励まされたのが「知らない横丁の角を曲がれば、もう旅です」という永六輔さんの言葉だ。

ただの旅人の気持ちで町を歩き直すと、不思議なくらい何かに遭遇できた。するとさっきまでの不安も忘れ、ご近所を歩くだけの番組があってもいいなあ、タイトルは「近くへ行きたい」で、などと思ったものだ。

テレビ朝日で放送されていた「ちい散歩」を初めて見た時は、「あ、やられた」と苦笑い。飾らない地井武男さんの人柄と、電車のひと区間だけを歩くといった遊び心にひかれて、ずっと楽しんできた。今月はじめに幕を閉じたのは本当に残念だ。

その後、番組は「若大将のゆうゆう散歩」となり、“大スター”加山雄三さんが散歩というより巡回といった雰囲気で、ずんずん歩き回っている。何を見ても「おい、嘘だろう。すげえなあ、コレ」と歓声をあげているが、身分を隠した遠山の金さんみたいで、どこかこそばゆい。

比較は無意味と知りながら、路地裏に咲く花や見落としがちな看板にも目をとめていた地井さんの、のんびりゆったりした散歩スタイルが懐かしい。梅雨に入る前に、最寄り駅の一つ手前で降りて家まで歩いてみようかと思う。

(東京新聞 2012.05.30)