東京新聞に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ東京「家族になろう(よ)」を取り上げました。
テレビ的な仕掛けが少なく
好感の持てる家族バラエティー
好感の持てる家族バラエティー
テレビ東京の「ちょこっとイイコト」がリニューアルされ、今年4月にスタートした「家族になろう(よ)」。司会は引き続き岡村隆史とほんこんだ。
メーンコーナーは「一泊家族宿」。独身芸能人が一般家庭にお邪魔して、いわば“疑似家族”体験をする。それによって結婚への意識を高めようというのが狙いだ。
先週は岡村隆史自身が、69歳の夫と40歳の妻、さらに5男1女の子供たちが暮らす家庭に一泊した。
いわゆる“大家族物”は各局で作られているが、あまりに子供が多い家庭を見ていると、微笑ましい半面、親が十分にその責任を果たせるのか心配になることがある。
しかし、今回登場した子供たちは皆きちんと挨拶が出来るし、父親の養蜂業も手伝う。中でも13歳の長男が祖父と間違われそうな父親のことを、「土日も働くのは偉い。友達もカッコイイと言っている」と素直に語るのを聞いてうれしくなった。
また岡村も無理に笑わせたりはせず、親戚のおじさんのような自然体。変にテレビ的な仕掛けがないのも好感がもてる。
一緒に食卓を囲み、布団を並べて眠り、時には拳骨が飛ぶケンカもする子供たち。厳しくて優しい両親。
そんな「家族のありがたみ」を独身の岡村を介して伝えた企画力が光る。家族の大切さが再認識される時代ならではのバラエティーだ。
(日刊ゲンダイ 2012.05.22)