あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「望郷」を見て

2012-12-20 09:56:53 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.367

舞台は所も同じアルジェのカスバ。主人公は訳ありの異邦人。そこへ突然訪れた謎のファム・ファタール。そして待っているのははかない別れ。どことなくかの「カサブランカ」に似ているが、ここでどんと存在感を示しているのはハンフリー・ボガードではなく、御大ジャン・ギャバンである。

やがて船は出てゆく、叫びは消える。銀幕史上超有名な幕切れであるが、これは最初にやったもの勝ちの演出であった。

惚れた女に身を焦がす男も数多いが、我が身をなげうっていちかばちかのばくちに打って出たペペルモコは、ボギーと違っててんでカッコよくはない。懐かしの巴里と女にあくがれたギャングこそ哀れなるかな。

そもそもが凶悪犯人役ゆえ、ここで死ぬのも自業自得と一掬の涙もちょちょぎれないな。美貌のミレーヌ・バランが儲けものの出演。1937年のおふらんす名画でした。


口にテープ手に丸太足を縛られ殺されしひと 蝶人

コメント
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