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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

神奈川県立近代美術館葉山にて「ブルーノ・ムナーリ展」をみて

2018-06-01 11:15:51 | Weblog


蝶人物見遊山記第284回


ブルーノ・ムナーリの絵本「木をかこう」を読んだら面白かったので、本展覧会に行ってみたのだが、もっともっと面白かった。

この人(1907-1998)は啓蒙的な絵本作家であるばかりではなく、 なんでも考えてなんでも創る、言葉の本来の意味の「デザイナー」であり、美術家であり、思想家であり、芸術家であり、教育者であり、長じても子どもの好奇心を決して失うことのない大人だったようだ。

この展覧会では、そんな現代のダヴィンチのような万能クリエーターの平面と立体のプロダクツをカテゴリー別に次から次に開陳してくれており、それらがいちいち面白かったのだが、全部見終わってベンチに腰かけ、今は亡き鎌倉館からいつの間にか引っ越してきたイサム・ノグチの「こけし」を眺めているうちに、寄る年並みゆえかほとんど忘れてしまったのは、残念無念なことだった。

でもそれから数日経って、やはり「凄いな!」と思いだしたのは、イタリアの名物リキュールの「カンパリ」のロゴタイプのデザインである。

おそらく短時間で作ったのだろうが、これほどの多種多様なヴァリエーションを考え、制作できるグラフィツク・デザイナーが、日本、いや世界中に一人もいないことだけは断言できる。

ただあれやこれやをデザインするのではなくて、「動いている感じのロゴ集」とか、「ロゴを判読できる極限のデザイン集」(例えば最近の「週刊現代」や「週刊ポスト」の埋もれゆくロゴを見よ)とかを方法的に制覇していくやり方が、まさにダ・ヴィンチ的なのである。

会場狭しと並んだ何百点というコレックションは別にしても、もしあなたが少しでもグラフィックデザインに関心があるなら、この「カンパリ」だけを見るために、来る6月10日までに葉山まで足を伸ばす値打ちが十二分にあるだろう。

  タイトルと役者は変われどNHK朝ドラは所詮朝ドラである 蝶人


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