♪音楽千夜一夜 第298回
グァルネリ・カルテットのモザールを聴いたのはたぶんはじめてだが、アルバン・ベルクなどの現代的な、前に出てくる演奏とは全然異なるアプローチ。構えたところがないとても自然な演奏で、かというて昔風でもなく、それがモザールにはふさわしい。
私がいっとう好きなのは、聴くたびに涙が出てくるようなありがたいイタリア弦楽四重奏団の演奏だが、グァルネリのは、そのエスプレッソをアメリカンに均して挽いたような感じがする。
イタリア弦楽四重奏団は惜しまれつつ1980年に引退したが、このグァルネリも2009年に活動を終止したらしい。じつに勿体ないことをしたものだ。
