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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

揺らぐ地域スポーツ⑥ 公共施設等総合管理計画 住民不在に矛盾噴出

2019-04-17 13:25:39 | スポーツ・運動について
揺らぐ地域スポーツ⑥ 公共施設等総合管理計画 住民不在に矛盾噴出
「ここをなくすなんて、何を考えているのか。体育館は耐震工事を3年前にしたばかりだよ」。東京都青梅市の住宅地にある東青梅市民センター体育館。ビーチポール竸技に汗を流す中年男性は、吐き捨てるように話しました。
一昨年末、同施設の移転計画が持ち上がりました。市が他の公共施設と合わせ、約1㌔先に複合施設をつくるためです。

3割の大削減
青梅市は2年前「公共施設等総合管理計画」を決定。市内328施設の延べ床面積を40年で3割減らす大削減計画です。
同管理計画は全国の自治体で実施段階にあります。2014年、総務省が各自治体に策定を求め、99・4%が計画を作成。その中身は、今後人口減少で税収が落ちる中、老朽化公共施設は維持管理できないと削減し、複合・集約化を進めるもの。利用料の値上げ、運営民営化など、どれも判で押したような計画です。
青梅市は3月末、高齢者の憩いの場の無料入浴施設を廃止しました。「お風呂は生きがい」「無くさないで」と利用者が市庁舎につめかける中、強行した形です。市は昨年度だけで高齢者センターなど7施設を廃止。今後スポーツ施設は永山体育館など3施設を廃止し、青梅スタジアムなど4施設を廃止検討としています。



移転統合に反対の声が上がっている東青梅市民センター(左)と体育館=東京都青梅市

反対署名提出
体育館を併設する11の市民センターも集約化の対象です。市は、東青梅市民センターを「廃止ではなく移転」と言いますが、反対の声が湧き上がっています。
体育館を使う健康体操の会は「会の平均年齢は74歳で新施設には通えない。いまのところに残して」と訴え、災害の際、ここが避難所になる近隣の保育園は「統廃合されたら引き渡し訓練すらできない」の声が上がります。
昨年3月に発足した「存続させる会」は、9カ月後に約3千人分の反対署名を議会に提出しました。「反響の大きさに驚きました。この施設がいかに地域の結びつきをつくっているか。残すために運動を続けたい」。代表の樋口兼久さん(73)は訴えます。
日本共産党の藤野ひろえ、みねざき拓実の両市議は当初から総合管理計画の問題点を明らかにしてきました。井上たかし候補は指摘します。
「近隣の自治体でもこんなひどい大削減は聞きません。しかも徹底した住民不参加が貫かれている。まずは計画段階から住民の意向を聞く仕組みをつくるべきです」
全国でも反対の声が広がりつつあります。総務省が全国のモデルとしてきた神奈川県秦野市もその一つ。昨年就任した新市長は「見直すべきところは見直す」と軌道修正し、推進してきた課は今年3月に看板を下ろしました。ここでは公民館の有料化をめぐり、反対運動が起きていました。
自治体問題研究所の角田英昭さんは指摘します。
「公共施設は地域・コミュニティーの核であり、暮らしを支えるもの。削減ありきでなく、住民参加、合意で進めるべき。それぞれの施設がなんのためにあるか、学びを通して運動を広げていくことが必要です」
(和泉民郎)(つづく) 

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月7日付掲載


市民の健康増進の面から、身近で廉価で利用できるスポーツ施設は貴重なものです。経費削減なんで言わずに、そういうところこそ、お金をかけるべきですね。

揺らぐ地域スポーツ⑤ 豊橋アリーナ構想 強引計画に市民「待った」

2019-04-16 12:12:10 | スポーツ・運動について
揺らぐ地域スポーツ⑤ 豊橋アリーナ構想 強引計画に市民「待った」
「ちょっと待った!」と声をあげた市民の力が、民間主導の強引な大型スポーツ施設建設計画を食い止めています。
愛知県豊橋市の新アリーナ建設構想です。この構想は民間企業側の提案で民間が建設費を負担し、管理運営にあたるPFI方式(民間資金主導の公共事業)などの手法が検討されています。
5000人収容の大型アリーナは市民の憩いとスポーツ活動の場である豊橋公園につくられます。バスケットボールBリーグの本拠地や大型イベント会場として活用。市が年185日を使用し、毎年2億円を30年間払い続けるという提案です。



豊橋公園の入口で署名を呼びかける「新アリーナ建設、ちょっと待っての会」=2月、愛知県豊橋市

議決延期の力
同構想を盛り込んだ基本計画案は3月の議会で議決するとみられていました。今年初め、市に説明会を開かせた佐藤清純さんは「試算もあいまいで情報が不透明。住民の声を行政にぶつけよう」と思い立ち、「新アリーナ建設、ちょっと待っての会」を結成しました。
計画を一時中止して市民参加で再検討を求める署名は、予想を大きく上回る5761人分を提出。現在は6700人分となり、3月議会での議決を延期させる力になりました。
その原動力の一つが、渋滞など住環境の悪化を懸念する公園周辺の住民たち。もう一つが約800人分を集めた豊橋ソフトテニス協会でした。
同構想では公園のコートが6面つぶされ、今よりも遠く手狭な場所に移転を強いられます。同協会の山本英司理事長は「プロのバスケットのために『テニスよどこか行け』なんて、もってのほか。勝手に決めんでほしい」と語気を強めます。
市は同構想の推進にあたり、「観るスポーツ」の重要性と、アリーナ建設を軸とした街づくりを説いています。これに先立ち、「スポーツ課」を教育委員会から切り離し、名称を「『スポーツのまち』づくり課」に変えました。「するスポーツ」よりも観戦と街づくりが優先される現状に「ちょっと待っての会」世話人の新免英俊(しんめん・ひでとし)さんは「市民の要求から出発していない。『アリーナ建設先にありき』だ」と批判します。
不信感は市民に冷たいスポーツ行政の反映でもあります。市は4月から公共スポーツ施設使用料を一気に上げました。地区体育館は平日で約2倍に。「テニス場は1人あたり約5倍にもなる。これでは市民に親しまれる『スポーツのまち豊橋』になりようがない」と山本理事長は憤ります。
アリーナも市民が安く使える保障はありません。市はこの施設を「プロフィツト(利益)センター」とし、利益が確保できる利用料を設定する方針だからです。

権利保障せず
日本共産党の斎藤啓(さいとう・ひろむ)市議は「そもそもスポーツ基本法に明記された国民のスポーツ権を保障するという議論が欠けている」と指摘します。また、「民間と交渉中だから」と肝心な情報が開示されない実態もあげます。
PFI問題に詳しい尾林芳匡(おばやし・よしまさ)弁護士は、PFI方式による大型施設づくりの問題点を「情報が公開されず、住民と自治体の関与が後退する」と語ります。豊橋の住民たちの運動は、自治体本来の役割である住民本位の行政を取り戻す性格を帯びています。(勝又秀人)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月5日付掲載


民間が勝手に作って、自分たちで運営するっていうならまだしも、市民の身近な公園をつぶして行政も維持費を負担って言うのだから黙っていられません。

揺らぐ地域スポーツ④ 学校施設開放 利用者の声で“拠点”守る

2019-04-15 11:50:51 | スポーツ・運動について
揺らぐ地域スポーツ④ 学校施設開放 利用者の声で“拠点”守る
横浜市港南区のJR港南台駅から歩いて5分ほどの住宅街。緑の木々に囲まれた広大なグラウンドが目に飛び込んできます。
面積は約2万平方メートル。野球場4面がとれる広さです。休日には子どもから社会人までが野球やサッカーで汗を流し、平日はグラウンドゴルフに興じる年配者でにぎわいます。利用団体は30以上、年間のべ3万5000人以上が使用します。
住民には「中学校予定地」として知られ、学校開放施設として、なくてはならない地域の“拠点”です。



グラウンドの一角でソフトボールをする利用者たち=横浜市港南区

大会できない
2017年11月、このグラウンドが危機に見舞われます。マンション用地として半分が売却される話が持ち上がったのです。住民からは「大会が成り立たなくなる」「クラブの活動ができなくなる」などの声が相次ぎました。
発端は、ここから15キロ以上も離れた横浜市神奈川区の子安小学校の移転計画でした。市は同校移転のため、その近所の三菱地所レジデンスの土地と等価交換する話を進めていました。
「移転候補地の面積は約1万5000平方メートル。旧子安小学校は約1万1000平方メートルでした。本来これを交換し、残りの約4000平方メートル分を市が買い取る形にするのが適切でした」。日本共産党の、みわ智恵美市議(港南区)は説明します。
しかし、三菱地所レジデンスは旧子安小学校の敷地のうち約7000平方メートルだけを希望。残りの約8000平方メートルは代替地を要求してきました。そこで浮上したのが、「中学校予定地」でした。地価換算でこの土地の半分の約1万平方メートルが対象でした。
住民はすぐ行動に出ます。18年1月には「港南台中学校予定地売却問題連絡会」を結成。計画の白紙撤回を求めました。
連絡会は3月から署名運動を展開。地元自治会や利用団体を中心に「グランドを守ろう」と一気に広がりました。その数は2カ月ほどで1万6000人分を超えました。なかでも頑張ったのが少年野球関係者。チームの保護者やそこで育ったOB・OGなど世代を超えて取り組み、半数近くを集めたといいます。
同連絡会事務局の仲谷扇也(なかや・せんや)さん(60)は「予想をはるかに超える盛り上がり。住民全体で街づくりを考える機会にもなりました」と振り返ります。

大切な財産に
6月、横浜市教育委員会は、計画の白紙撤回を報告してきました。住民の思いが実った瞬間でした。最終的に子安小学校の件は、残り約8000平方メートル分を市が買い取ることで決着。議会で追及してきた、みわ市議は「子どもたちのためにとの熱い思いや、大企業は地域貢献をするべきとの姿勢に勇気づけられた」と語ります。
地元の少年野球チーム「港南台メッツ」代表の松崎隆さん(70)は、「もうみんな『やった』という感じでした。地域との連携も深まったように思います」と話します。
スポーツをする場が地域に何をもたらすのか。子どもたちを育み、人々の絆を深め、街づくりの“拠点”になっていく。生活を豊かにする、かけがえのない財産であることを、この事例は教えてくれています。
(宮井貴光)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月3日付掲載


スポーツ施設の土地を、マンション業者が良い場所だと狙ってくる。「良い値段で買ってくれたら」という甘いことはありません。市民にとって便利な場所を行政は守る必要があります。

揺らぐ地域スポーツ③ 障害者の参加 身近な施設拡充が必要

2019-04-14 10:37:17 | スポーツ・運動について
揺らぐ地域スポーツ③ 障害者の参加 身近な施設拡充が必要
「もっと腕を。前へ。そう、いいですね」。にぎやかな声が響き渡ります。
東京都杉並区の高井戸地域区民センター内温水プール。「障がい者水中歩行教室」の参加者5人に指導員が3人。ほぼマンツーマンの態勢です。
同区では2015年まで「障がい者水泳教室」を年8回実施。「何とか通年開催してという声が出され、区と協議して翌年から三つの教室が発足し、年間開催にこぎつけました」。施設管理業務責任者の海東龍太さんは説明します。
同プールは指定管理者の運営ですが、利用者の声を聞き、施設の改善もすすめてきました。
視察した日本共産党の金子けんたろう杉並区議は「ロッカーやトイレの配置もきめ細かく改善し、障害のある方もスムーズに利用できる配慮がされている」と感心します。
障害者が恒常的に利用できる温水プール施設は、区内では事実上ここだけで、定員も1回5人のみ。昨年の区議会で金子議員は「運営管理者の自主的な努力に頼るだけでは限界がある。重い障害を持った人も参加できるよう、身近な地域の施設拡充が必要だ」とただしました。



障害者水泳教室が行われている高井戸地域区民センターを視察する日本共産党の金子けんたろう杉並区議

人材育成重視
隣接の世田谷区では、知的障害者対象の体操教室や水泳教室が通年開催されています。中学校区域で5カ所あり、玉川中学校温水プールの教室は年間15日、210人が参加しています。
加えて同区は昨年、スポーツ振興計画に「障害者スポーツの推進」を掲げました。
重視しているのが人材の育成です。障害者がスポーツを楽しむためには指導員や介助者、ボランティアが欠かせません。区のスポーツ振興財団と連携し育成する予定です。
その一つがポッチャ競技の普及。区は学校や区の施設にポッチャのポールなどを配置して普及活動に努めています。
「区民が一緒に取り組むことで、障害のない人との交流が広がり、理解を深めていけるのではないか。これらで“スポーツに参加した、もしくは参加したい”という障害者の割合を3割から6割台まで引き上げたい」と世田谷区スポーツ推進課の須藤剛志課長。
「東京パラリンピックが終わったらおしまいとならないことが大切だと思っています」

自治体動かす
国は昨年から障害者の「身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備」を掲げたものの、予算は4804万円だけです。
金子議員はいいます。「特別支援学校などが拠点になるよう、区が都などに働きかけることが重要だ」(つづく)

【今こそチャンス】
障害者スポーツに詳しい日本体育大学の久保健教授の話障害を持った人がスポーツに参加するためにはスポーツの「場」の提供はじめ指導者、スタッフの確保など自治体の役割は決定的です。
障害者スポーツにはお金がかかります。取り組みを継続させていくためには、利用者やスポーツ団体が圧力をかけていくことが非常に重要です。議会で「縮小するな」と取り上げ、自治体の取り組みを継続させていく。五輪・パラリンピックを前にした今こそチャンスです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月2日付掲載


障害者がスポーツを楽しめるようにするためには、施設の整備だけでなく、スタッフの確保が必要だってことです。

揺らぐ地域スポーツ② 使いづらい施設 利用者不在で収益第一

2019-04-13 07:42:37 | スポーツ・運動について
揺らぐ地域スポーツ② 使いづらい施設 利用者不在で収益第一
各地に新しくできた公共スポーツ施設が「使いづらい」と不評です。
2月中旬、東京都調布市にある武蔵野の森総合スポーツプラザの屋内プールで開かれた竸技会。プールサイドにストップウオッチを持った係員が並び、選手のタイムを計測していました。
同プラザは17年11月、メインアリーナ、サブアリーナもある総合施設です。プールは国内公認の50メートルで、可動壁によって25メートルとしても使用可能です。しかし、タッチ板などタイムを計測し表示する装置はありません。東京水泳協会は自前の機材を持ち込んで大会を行っています。
大会を運営した新日本スポーツ連盟東京水泳協議会の宮久保加乃子さんは、「観客席が少なく、プールサイドからも遠い。いい施設だけど大会用ではない」と言います。
東京五輪・パラリンピックでバドミントンなどの競技会場になる同プラザのメインアリーナも不評です。スポーツ連盟全国卓球協議会事務局長の岩本英(いわもと・ひで)さんは「照明の向きによってまぶしい所がある。シャワールームも少ない。スポーツをするために造っていない」と語ります。



武蔵野の森総合スポーツプラザのプールで手動計測する係員

市民から不満
17年10月に開業した津市の屋内総合スポーツ施設「サオリーナ」は、床の白さが“障害”になっています。スポーツ連盟愛知県卓球協議会理事長の鈴木義弘さんは「卓球の球が一瞬消える。評判はよくない」といいます。
プールは25メートル。50メートルの市民プールを閉鎖したため大会が開けなくなりました。更衣室が少なく夏は入場制限し、市民から不満が寄せられています。日本共産党の竹下幸智子・津市議は、「いろいろな競技ができるというが必要なスペースが削られ中途半端になっている」とみています。
なぜ、使いづらい施設ができるのか。理由の一つに施設に収益性を求めることがあります。
都は武蔵野の森の基本計画で、「『戦略的』かつ『赤字を出さない運営』」を基本に据えています。多目的化してコンサートや興行イベントを誘致するなど「収益力強化」を求めています。サオリーナも同様です。

福祉増進こそ
国士館大学の客員教授でスポーツ施設の運営に詳しい鈴木知幸さんは「スポーツ施設は元々もうからない」といいます。支出と収入の割合を示す収支比率が「最優良といわれる東京体育館でも約70%。地方なら20~30%」と鈴木さん。プールも、「上下水道料が家庭用と同じ。経営が成り立たず、民間(事業者)はやりたがらない」。
そもそも、公共施設は住民福祉の増進に使うのが目的です。住民のスポーツ振興が大前提で、収益性第一の姿勢は本末転倒です。
愛知卓球協の鈴木義弘さんは強調します。「行政は住民の声を聞くことなく、施設整備を事業者に丸投げしてしまう。運動してスポーツ愛好者の声を届けていくことが重要です」(青山俊明)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月31日付掲載


スポーツ施設に収益?。もともと、市民の健康維持や体力向上、交流の場としてのスポーツ施設。興行イベントにも使える施設っていうのはどうかと思います。