きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

新自由主義の本質とは 規制なき資本主義への転換 経営者支配から株主中心へ

2020-08-11 08:12:28 | 経済・産業・中小企業対策など
新自由主義の本質とは 規制なき資本主義への転換 経営者支配から株主中心へ
萩原伸次郎
はぎわら・しんじろう 1947年生まれ。横浜国立大学名誉教授。著書に『新自由主義と金融覇権』『金融グローバリズムの経済学』『ワシントン発の経済「改革」新自由主義と日本の行方』ほか

「大きな政府」から「小さな政府」への移行、そして市場メカニズムを有効に働かせるという新自由主義による政策が、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権、日本の中曽根政権以来とられ、今日に至っています。とくに1991年12月のソ連消滅後、この効率的な経済システムこそ理想の経済システムなどといわれたものです。
しかし実際はどうだったのでしょうか。新自由主義が経済政策として実施され続けたアメリカでは、一部の富裕層に富が蓄積され、労働賃金が停滞を続け、超格差社会などといわれる中で、金融危機が一定の間隔で勃発するという事態が引き起こされています。現在トランプ政権下では、医療の効率性を高めるなどとする政策がとられ、公的医療システムの後退によって、新型コロナによる感染者、死亡者の増加が止まらず、経済的弱者への集中的打撃が続いています。
以上の歴史的事実は、新自由主義経済政策が1980年代以降、世界の資本主義に大きな構造変化を引き起こしたことを示していますが、その政策の本質は何なのでしょうか。



証券会社店頭の株価を示すモニターを見る通行人=東京・八重洲

企業利益からも求められた規制
それは、戦後の実体経済中心の経済成長を持続させる「規制された資本主義システム」から、規制を外し巨大企業の経済活動の自由を存分に発揮させる「規制なき資本主義システム」への転換だったといえるでしょう。
戦後の一時期、アメリカでは巨大金融機関の自由な活動が規制され、産業企業の利益を軸とする体制が続きました。この規制された資本主義的システムの下で、企業は労働運動の高揚もあり、賃金の上昇とともに経済成長の持続的な展開を実現しました。株主の支配力は経営署支配のもとで抑えられ、株式の配当は利子程度のものですから、株価は長期的にみれば下落傾向をたどりました。

賃金は極力抑え金融資産太らす
こうした体制に終止符を打ち、株主中心の体制に変革したものこそ、新自由主義といわれる経済政策の実施だったのです。企業経営の目的は株価を上げることにあるとされ、配当を上昇させ株価を上げることこそが、企業経営者のやるべきことであり、それゆえ賃金は極力抑えるという経営が労働組合への抑圧と相まって実施されることになったのです。
ですから新自由主義政策が実施されてからこのかた、金融資産価格は上昇するけれど、賃金は上がらないという「景気高揚」が展開され始めたのです。アメリカでは1990年代のクリントン政権期、日本では2001年小泉構造「改革」以降の状況を見れば一目瞭然です。
金融資産の蓄積による富の拡大と労働者の賃金抑制を政策的に実現するというのが、新自由主義の本質なのです。ですから金融機関が危機に陥れば、政府の機能をフル回転させ彼らの救済を国民から搾り取った公的資金で行い、彼らが逆に肥え太るという事態が起こります。
今回のコロナ感染症危機においても、国民の医療危機はそっちのけで、政府・中央銀行の資金供給によって株価を急速に回復させ、富裕層の金融資産を政策的に急増させているのです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月10日付掲載


イギリス保守党党首・ジョンソン首相は、新型コロナウイルスに感染。一時は集中治療室に入る事態に。
快癒して出てきた彼は、「コロナウイルスは『社会というものがまさに存在する』ことを証明した」「われわれの国民保健サービスを守れ」と発言。
「鉄の女」と言われ、新自由主義の権化だったサッチャー首相。その同じ保守党の党首が新自由主義の見直しを発言したのです。
今は、株主支配があからさまに。労働者の生活などみじんも考えられていない。
まったく許されない事。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 経済の「日本化」② コロナ後... | トップ | 与謝野晶子と「スペイン風邪... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済・産業・中小企業対策など」カテゴリの最新記事