きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

物価高騰と亡国政権② 戦争に通じる軍事国債

2022-06-27 07:24:59 | 参議院選挙(2022年)
物価高騰と亡国政権② 戦争に通じる軍事国債
群馬大学名誉教授 山田博文さん

「日銀は政府の子会社だ」
安倍晋三元首相は5月9日、大分市での会合で言い切りました。日銀の本来の目的は物価の番人としてインフレ・物価高を抑えることです。そのため政府や経済界などからの独立が必須の条件です。中央銀行の独立性を否定した安倍元首相の発言は、驚くほど非常識な発言です。
しかし、この発言は、戦前の政府と日銀の関係が現代日本にそっくり当てはまっていることについての正直な告白です。戦前の政府・軍部は当時の日銀を利用して戦費調達のための軍事国債を増発しました。
財政と金融の一体的運営を宣言した2013年の安倍政権と日銀の「共同声明」以降、日銀は増発される国債の買い入れマシンとなりました。政府は無制限に国債を増発できる「打ち出の小づち」を手にしました。

政府債務の累増
日銀の国債買い入れに支えられると、国債がほぼ無制限に増発できます。現代日本に累積した国債などの政府債務残高の水準は、国際通貨基金(IMF)によれば、対GDP(国内総生産)比で主要国の中で最悪の256・9%に達します。
この水準は、軍事国債が日銀引き受けで増発され、終戦を迎えた1945年の水準に匹敵します。当時の政府債務の解消は、300倍をこえるハイパー・インフレと預金封鎖と新円への切り替えによる国民からの大収奪で実現しました。いま、この歴史の教訓に目を向ける必要があります。
国債(国庫債券)は代表的な政府の借用証書です。今年度の一般会計では国債費(利払い費プラス元本償還費)として約25兆円が支出されました。国債費が最優先で支払われ、残りの予算が社会保障費などに向けられるので、後者の予算は削減されてきました。
他方、増大する国債費の支払いのために新規の財源が必要とされ、消費税の導入と増税が行われてきました。社会保険負担も増やされ、国民負担率は戦後最高の48・0%に達しました。
国債を買い入れてきた日銀は、普通国債発行残高1004兆円の51%を保有するに至っています。日銀は、国債価格や金利変動によるリスクに直撃されます。それは円の信用不安、円安、円暴落となって輸入物価をつり上げ、国民生活を破壊する亡国のリスクです。

官製株高の危険
異次元金融緩和政策の「異次元」とは、世界の主要中央銀行ではやらない株価対策のことです。日銀は午前の株価が前日より2%以上安くなると、午後に株式を買い支える株価対策を実施してきました。6月17日にも701億円を買いました。
日銀の株価対策にも支えられ、日経平均株価はこの10年で3倍近く値上がりしました。官製株高です。ただ、株価が3倍になっても日本のGDPはゼロ成長状態です。株高の恩恵はごく少数の株式保有層が享受しただけです。
株価対策を担った日銀は36・5兆円の株式を買い入れ、保有しています。日経平均株価が2万円を下回ると、日銀には株式の評価損が発生し、信用不安と円安を誘発します。
アベノミクスの矛盾と破綻は多方面で極限に達しています。
亡国の安倍=岸田政権は、最悪の「政府債務大国」なのに、軍事費を増額し、軍備を増強しています。どこにそんな財源があるのでしょうか。安倍氏らがあてにするのは、財源調達のために発行された国債を日銀が買い入れつづけることです。日銀は独立性を剥奪されて「政府の子会社」のように利用され、軍事予算など政府の一般会計の財源を提供しています。
日銀の国債買い入れは軍事予算を倍増(自民党公約)するために必要とされているようです。軍事予算の増額に対応し、日米の軍需産業の軍事ビジネスが活発化しています。これは戦争に通じる亡国の道といえるでしょう。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年6月25日付掲載


国債を買い入れてきた日銀は、普通国債発行残高1004兆円の51%を保有するに至っています。日銀は、国債価格や金利変動によるリスクに直撃。それは円の信用不安、円安、円暴落となって輸入物価をつり上げ、国民生活を破壊する亡国のリスク。
日銀の株価対策にも支えられ、日経平均株価はこの10年で3倍近く値上がり。官製株高です。ただ、株価が3倍になっても日本のGDPはゼロ成長状態。株高の恩恵はごく少数の株式保有層が享受しただけ。
日銀の国債買い入れは軍事予算を倍増(自民党公約)するために必要とされているようです。軍事予算の増額に対応し、日米の軍需産業の軍事ビジネスが活発化しています。これは戦争に通じる亡国の道。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿