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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

目で見る経済② 国際競争の不公平 富裕層だけに漁夫の利

2021-11-29 07:05:01 | 経済・産業・中小企業対策など
目で見る経済② 国際競争の不公平 富裕層だけに漁夫の利
1980年代に英国の平均のサッチャー政権と米国のレーガン政権が法人税減税にかじを切って以来、全世界的な法人税率引き下げ競争が続いてきました。

減税競争激化
経済協力開発機構(OECD)が7月29日に発表した「法人税統計(第3版)」でも、その傾向が確認できます。世界を四つのグループに分けて2000年以降の法人税法定税率を調べたところ、全グループで持続的に税率が低下してきたのです。特に18年ごろから減税競争に拍車がかかっています。
四つのグループとは①OECD加盟国②アフリカ諸国③アジア諸国④中南米諸国―です。このうち、法人税の平均法定税率が最も大幅に下落したのはOECD加盟国でした。2000年の32・3%から21年の22・9%へ9・4ポイント下がりました。
21年に最も平均法定税率が低かったのは中南米諸国で19・1%。次いでアジア諸国が19・2%でした。最も高かったのはアフリカ諸国で26・8%でした。法定税率ゼロの法域がアジア諸国に二つ、中南米諸国に六つありました。OECD加盟国とアフリカ諸国にはありませんでした。




現代のグローバル資本主義の下で資本は簡単に国境を越え、より低い税負担を求めて移動します。その方法は多様です。優遇税制のある経済特区に生産拠点を丸ごと移転する方法。租税回避地の子会社に無形資産を保有させて利益だけを移す方法。租税回避地に地域統括会社を置いて周辺国で得た利益を集める方法などです。
各国は他国に先んじて減税を行い、自国への投資を増やそうとして、終わりのない「底辺への競争」に引きずり込まれました。多国籍企業は租税回避地や各国の優遇税制を利用して実際の税負担率を法定税率より大幅に引き下げています。政治経済研究所の合田寛理事は指摘します。
「租税回避地や法人税減税競争は、他国が本来得るはずの税収を奪います。しかし奪う側も税率が低いので大きな税収を得ません。結局、利益を得るのは巨大多国籍企業とその支配的株主です。損失を受けるのはすべての国の財政基盤であり、消費税増税や社会保障費削減の憂き目にあう市民です」

制限課すべき
法人税減税は税引き後の企業利益を大幅に増やし、配当の増額や株価の高騰で株主の資産を膨張させます。諸国民を分断し、資本誘致の国際競争に駆り立てるグローバル経済の構造は、資本家階級の理想郷なのです。一握りの富裕者だけに漁夫の利をもたらす不公平な国際競争には制限を課すべきです。
反撃は始まっています。136力国・地域は多国籍企業に15%の最低税負担率を課すルールの創設で合意しました。世界が連帯して国際競争に歯止めをかける現実的な方法は見いだされました。「底辺への競争」を逆転させる未来は、夢物語ではありません。
(杉本恒如)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月26日付掲載


各国は他国に先んじて減税を行い、自国への投資を増やそうとして、終わりのない「底辺への競争」に引きずり込まれました。多国籍企業は租税回避地や各国の優遇税制を利用して実際の税負担率を法定税率より大幅に引き下げていった。
結局、利益を得るのは巨大多国籍企業とその支配的株主です。損失を受けるのはすべての国の財政基盤であり、消費税増税や社会保障費削減の憂き目にあう市民。
反撃は始まっています。136力国・地域は多国籍企業に15%の最低税負担率を課すルールの創設で合意しました。世界が連帯して国際競争に歯止めをかける現実的な方法は見いだされました。「底辺への競争」を逆転させる未来は、夢物語ではない。


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