気候変動 広がる被害 化石燃料、原発からの脱却急務
今年6月以降の大雨などが原因で、パキスタンは国土の3分の1が水没するという大規模な災害に見舞われています。
少なくとも1700人が命を落とし、数百万人規模の避難民が発生しています。水が引いた後も、衛生状況などの悪化でマラリアの感染が拡大し、300人以上が亡くなりました。人道危機にあるパキスタンに、さらなる支援が必要です。
世界の科学者でつくる国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)も、貧困や社会格差にあえぐ途上国や最貧国ほど大きな影響を受けると指摘し続けています。
気候変動の影響による大洪水で3300万人が被災しました=9月14日、パキスタン・セフワンの避難民テント(ロイター)
市民グループや先住民族、世界中の若者たちなどが中心となり、気候変動の問題は人権や格差とつながっていることを指摘し、「気候正義」を求めてきました。排出責任の多くは先進国にあります。先進国は率先して、すでに生じている取り返しのつかない被害に対し資金支援や「気候債務」の返済を行わなくてはいけません。
支援と同時に重要なのが、化石燃料に依存する社会をいかに早く転換していくかです。
欧州は、ロシアのウクライナ侵攻を背景にロシア産の化石燃料依存から脱却するため、省エネや再生可能エネルギー開発にかじを切っています。同時にアフリカなどでの新たな化石燃料開発にも関心を示しています。
今年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)はアフリカ大陸で行われます。そのアフリカ全体で計4億米ドル分の「新規」ガス開発事業等が進んでいるといいます。気候危機の影響を大きく受けるアフリカ諸国で再生可能エネルギーへの支援や、すでに生じている被害に対応するための資金こそ必要です。ところが、一部の企業や先進国のエネルギー安全保障のために化石燃料事業が進められています。
日本でもエネルギー価格の高騰を口実に、原発再稼働などが声高に叫ばれています。ロシアにおけるガス事業からの撤退を拒み、官民連携して、モザンビークやカナダ、フィリピンなどの国で新たなガス開発事業に関与し続けています。
海外の化石燃料に頼ってきた日本も価格高騰の影響を大きく受けています。しかし、化石燃料依存からの脱却、気候変動対策の強化について日本政府が真剣に議論しているようには見えません。
原発が本当に気候変動対策になるのかについても中身のある議論は見えてきません。原発はコストもリスクも高く、気候変動対策にすえるべきではないのは明らかです。
それにもかかわらず、「GX(グリーントランスフォーメーション)」というきらびやかな言葉で、原発の新増設や老朽原発の運転期間延長すら打ち出しています。
化石燃料や原発の開発を継続して、将来世代にさらなる負担を押し付けるべきではありません。
気候危機の時代に必要なのは、今の社会を抜本的に変え、化石燃料や原発などに頼らない社会づくりのための行動です。
深草亜悠美(ふかくさ・あゆみ 国際環境NGO・FoEJaPan)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年10月30日付掲載
支援と同時に重要なのが、化石燃料に依存する社会をいかに早く転換していくか。
欧州は、ロシアのウクライナ侵攻を背景にロシア産の化石燃料依存から脱却するため、省エネや再生可能エネルギー開発にかじを切る。
今年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)はアフリカ大陸で行われます。気候危機の影響を大きく受けるアフリカ諸国で再生可能エネルギーへの支援や、すでに生じている被害に対応するための資金こそ必要。
原発はコストもリスクも高く、気候変動対策にすえるべきではないのは明らか。
今年6月以降の大雨などが原因で、パキスタンは国土の3分の1が水没するという大規模な災害に見舞われています。
少なくとも1700人が命を落とし、数百万人規模の避難民が発生しています。水が引いた後も、衛生状況などの悪化でマラリアの感染が拡大し、300人以上が亡くなりました。人道危機にあるパキスタンに、さらなる支援が必要です。
世界の科学者でつくる国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)も、貧困や社会格差にあえぐ途上国や最貧国ほど大きな影響を受けると指摘し続けています。
気候変動の影響による大洪水で3300万人が被災しました=9月14日、パキスタン・セフワンの避難民テント(ロイター)
市民グループや先住民族、世界中の若者たちなどが中心となり、気候変動の問題は人権や格差とつながっていることを指摘し、「気候正義」を求めてきました。排出責任の多くは先進国にあります。先進国は率先して、すでに生じている取り返しのつかない被害に対し資金支援や「気候債務」の返済を行わなくてはいけません。
支援と同時に重要なのが、化石燃料に依存する社会をいかに早く転換していくかです。
欧州は、ロシアのウクライナ侵攻を背景にロシア産の化石燃料依存から脱却するため、省エネや再生可能エネルギー開発にかじを切っています。同時にアフリカなどでの新たな化石燃料開発にも関心を示しています。
今年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)はアフリカ大陸で行われます。そのアフリカ全体で計4億米ドル分の「新規」ガス開発事業等が進んでいるといいます。気候危機の影響を大きく受けるアフリカ諸国で再生可能エネルギーへの支援や、すでに生じている被害に対応するための資金こそ必要です。ところが、一部の企業や先進国のエネルギー安全保障のために化石燃料事業が進められています。
日本でもエネルギー価格の高騰を口実に、原発再稼働などが声高に叫ばれています。ロシアにおけるガス事業からの撤退を拒み、官民連携して、モザンビークやカナダ、フィリピンなどの国で新たなガス開発事業に関与し続けています。
海外の化石燃料に頼ってきた日本も価格高騰の影響を大きく受けています。しかし、化石燃料依存からの脱却、気候変動対策の強化について日本政府が真剣に議論しているようには見えません。
原発が本当に気候変動対策になるのかについても中身のある議論は見えてきません。原発はコストもリスクも高く、気候変動対策にすえるべきではないのは明らかです。
それにもかかわらず、「GX(グリーントランスフォーメーション)」というきらびやかな言葉で、原発の新増設や老朽原発の運転期間延長すら打ち出しています。
化石燃料や原発の開発を継続して、将来世代にさらなる負担を押し付けるべきではありません。
気候危機の時代に必要なのは、今の社会を抜本的に変え、化石燃料や原発などに頼らない社会づくりのための行動です。
深草亜悠美(ふかくさ・あゆみ 国際環境NGO・FoEJaPan)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年10月30日付掲載
支援と同時に重要なのが、化石燃料に依存する社会をいかに早く転換していくか。
欧州は、ロシアのウクライナ侵攻を背景にロシア産の化石燃料依存から脱却するため、省エネや再生可能エネルギー開発にかじを切る。
今年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)はアフリカ大陸で行われます。気候危機の影響を大きく受けるアフリカ諸国で再生可能エネルギーへの支援や、すでに生じている被害に対応するための資金こそ必要。
原発はコストもリスクも高く、気候変動対策にすえるべきではないのは明らか。
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