きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安保改定60年 第一部⑤ 第3条 軍事費膨張の大本

2020-01-23 08:53:12 | 平和・憲法・歴史問題について
安保改定60年 第一部⑤ 第3条 軍事費膨張の大本
「日米同盟強化」を掲げる安倍政権のもと、際限のない膨張が続く日本の軍事費。その根源には、軍拡を義務付けた日米安保条約第3条があります。
第3条は「締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる」と規定しています。外務省は、日本からみれば「自らの防衛能力の整備に努める」ことを定めたと解説しています。

MSAで義務化
その背景にあるのが、1948年、米上院で可決された「バンデンバーグ決議」です。ここでは米国が他国と安全保障協定を結ぶ際、「継続的かつ効果的な自助と相互援助を基礎」とするーすなわち、相手国が自衛力を増強し、米国にも協力することを軍事同盟の条件にしたのです。トランプ米大統領が日本や韓国などに軍事費の大幅増額を要求し、応じなければ「同盟を破棄する」と“脅して”いるのが、その典型的な表れ―です。、
54年7月の自衛隊創設に先立つ同年3月、日米両政府は、米国が武器供与などの軍事援助を行う日米相互防衛援助協定(MSA)に署名しました。同協定は、日本が「自国の防衛のため漸増的に自ら負担を負う」と明記し、日本の軍拡が初めて義務化されました。
57年6月には、当時は本土に配備されていた米海兵隊の沖縄移転をはじめ、米地上戦闘部隊の撤退と引き換えに、最初の軍拡計画である「第1次防衛力整備計画」(1次防)が策定されます。海兵隊移転は、沖縄に負担を強いるのみならず、日本国民全体に負担を強いたのです。



(上)米国で訓練する陸上自衛隊オスフレイ(防衛省ホームページから)
(中)空母改造が計画されている海上自衛隊護衛艦「いずも」
(下)航空自衛隊のステルス戦闘機F35A

有数の軍事大国
さらに、60年の安保改定で前出の3条が加わり、警察予備隊を創設した50年度に1310億円だった軍事費が急増。米国は日本に、GNP(国民総生産)比で他の同盟国より負担が少ないと圧力をかけ続け、90年代には米国に次ぐ世界第2位にまで膨張しました。
中国、インドなどの軍拡で現在の順位は下がっているものの、日本は依然として世界有数の軍事大国です。世界137力国の軍事力を分析している米国の調査機関「グローバル・ファイヤーパワー」によると、2019年の軍事力ランキングで、米国、ロシア、中国、インド、フランスに次ぐ第6位になっています。
米国による日本への軍拡圧力について、外務省の調査企画部長や情報調査局長を務めた故・岡崎久彦氏は「アメリカの要請で防衛力増強をやってきたということは否定し得べからざる事実でございます」(『情報・戦略論ノートPart2』1988年防衛トップセミナー講演録加筆)と認めています。



社会保障予算が犠牲に
1980年代の中曽根政権以降、米国の要求に基づく軍拡と国民生活との矛盾が激化してきました。89年の消費税導入の旗振りをした当時の渡辺美智雄自民党政調会長(同党税制改革推進本部長)は、外国人記者クラブで「昭和65年(1990年)までは年々5・4%ずつ実質的に防衛費を伸ばすというお約束が(米政権と)ある。そうすると、ますます財源がなくなる」と述べ、社会保障などの予算が犠牲になることを認めています。
こうした矛盾は安倍政権の下、さらに激しくなっています。




「消費税は社会保障のため」として、2度にわたる消費税増税を強行しながら、7年間(13~19年度)で、高齢化に伴う「自然増」の抑制も含め、4・3兆円もの社会保障費が削減されてきました。その一方、20年度予算案では8年連続で前年度を上回り、過去最大を6年連続で更新する5兆3133億円にまで膨れ上がりました。
その背景には、米国のあからさまな要求があります。米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)による兵器購入契約に基づき、米国製武器の“爆買い”を迫るトランプ政権の圧力により、ここ数年で急増。過去最大と、なった2019年度の7013億円に続き、20年度、予算案でも過去3番目に高い4713億円にのぼりました。
「武器取引反対ネットワークNAJAT」の杉原浩司代表は、「社会保障の切り捨ての際に必ず持ち出される財源論は軍事費に関しては触れられず、事実上の聖域と化している。憲法9条で戦争放棄をうたう日本で武器見本市が頻繁に開かれ、米国をはじめ英国、イスラエルなどの戦争.一犯罪に関与する死の商人が膨一張する軍事費に群がっている。一方で社会保障や年金、気候危機や原発被災者、貧困、奨学金など命と暮らしを 支える分野には手当てが行き届いていない。予算は主権者が決めるもの。『武器より暮らしを』を合言葉にテーマを超えて横につながり、予算の組み替えを迫りたい」と話します。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月22日付掲載


軍備の増強を、最初は自助や相互援助と言いながら、着実に軍備増強計画を作らせる。
米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)による兵器購入契約に基づき、米国製武器の“爆買い”を迫るトランプ政権は極めつけである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿