写真は語る③ 自由な表現の場を
大藪順子(のぶこ)
2016年から手掛けている「横浜インターナショナルユースフォトプロジェクト」は、外国につながる中高生の目線で社会を切り取り、彼らの世界を内側から見せてもらうと同時に、彼らが自由に表現することで自己肯定感を養う目的で行ってきた。
だが、これは日本の子どもたちにも必要なプロジェクトだと確信している。
人それぞれ表現の仕方も、何を表現というのかも違うけれど、残念ながら日本の子どもの多くは、与えられた物を用いて見本通りに作ることはうまくても、真っ白いキャンバスだけ与えられて「自由に描け」と言われると、何をしていいかわからない子が多い。
近年スマホの普及とSNSの流行で「インスタ映え」する写真を求めて「写す人」は増えている。ただ、飲食店も商業施設も「インスタ映え」を念頭に見栄えのよさを工夫している中、素材を常に提供されている人たちが、自らのオリジナリティーを見いだすのは難しいだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/9c/6ddb46371ee22e2edd52fd84e21b14ca.jpg)
横浜スカイライン ©2020 Nobuko Oyabu All Rights Reserved 普段見慣れた風景をどう切り取って自分の作品にするかをテーマに撮ったもの
毎年私のプロジェクトでは、日本人生徒も参加してきた。ボランティアもみんな外国につながる人たちなので、ワークショップに来ると日本人がマイノリティーになる。同じ街に住んでいるのに見方や考え方、言葉が違う同世代と出会い、肌の色や見た目で判断されたり、差別を経験したりしている同世代の存在に初めて気づく子もいる。
観察していて思うのは、日本人の生徒たちは「こう撮ればいいよ」と誰も教えてくれない中、見慣れた風景をどのように切り取れば「自分の作品」になるのか、それ以前に「何が正解なのか」と考えてしまうことで、何も撮れなくなる傾向がある。また、外国につながる同世代が自分の意見をはっきり主張する姿に圧倒されるようだ。
そんな日本の子どもたちにとって、このプロジェクトはよい経験になると願いたい。日本の外に一歩出たら、誰もお膳立てしてくれないのだから。
(フォトジャーナリスト、コラムニスト)(金曜掲載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月16日付掲載
いわゆる「インスタ映え」した写真というのは流行るけど。
見慣れた風景をどのように切り取れば「自分の作品」になるのか、それ以前に「何が正解なのか」と考えてしまう。
ずいぶん前に写真屋さんに、「観光ハガキに載っているような写真じゃだめなんだよ」と言われたことを思い出しました。
自分の視点で、自分がこうだと思ったアングルと切り取りで撮る。
大藪順子(のぶこ)
2016年から手掛けている「横浜インターナショナルユースフォトプロジェクト」は、外国につながる中高生の目線で社会を切り取り、彼らの世界を内側から見せてもらうと同時に、彼らが自由に表現することで自己肯定感を養う目的で行ってきた。
だが、これは日本の子どもたちにも必要なプロジェクトだと確信している。
人それぞれ表現の仕方も、何を表現というのかも違うけれど、残念ながら日本の子どもの多くは、与えられた物を用いて見本通りに作ることはうまくても、真っ白いキャンバスだけ与えられて「自由に描け」と言われると、何をしていいかわからない子が多い。
近年スマホの普及とSNSの流行で「インスタ映え」する写真を求めて「写す人」は増えている。ただ、飲食店も商業施設も「インスタ映え」を念頭に見栄えのよさを工夫している中、素材を常に提供されている人たちが、自らのオリジナリティーを見いだすのは難しいだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/9c/6ddb46371ee22e2edd52fd84e21b14ca.jpg)
横浜スカイライン ©2020 Nobuko Oyabu All Rights Reserved 普段見慣れた風景をどう切り取って自分の作品にするかをテーマに撮ったもの
毎年私のプロジェクトでは、日本人生徒も参加してきた。ボランティアもみんな外国につながる人たちなので、ワークショップに来ると日本人がマイノリティーになる。同じ街に住んでいるのに見方や考え方、言葉が違う同世代と出会い、肌の色や見た目で判断されたり、差別を経験したりしている同世代の存在に初めて気づく子もいる。
観察していて思うのは、日本人の生徒たちは「こう撮ればいいよ」と誰も教えてくれない中、見慣れた風景をどのように切り取れば「自分の作品」になるのか、それ以前に「何が正解なのか」と考えてしまうことで、何も撮れなくなる傾向がある。また、外国につながる同世代が自分の意見をはっきり主張する姿に圧倒されるようだ。
そんな日本の子どもたちにとって、このプロジェクトはよい経験になると願いたい。日本の外に一歩出たら、誰もお膳立てしてくれないのだから。
(フォトジャーナリスト、コラムニスト)(金曜掲載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月16日付掲載
いわゆる「インスタ映え」した写真というのは流行るけど。
見慣れた風景をどのように切り取れば「自分の作品」になるのか、それ以前に「何が正解なのか」と考えてしまう。
ずいぶん前に写真屋さんに、「観光ハガキに載っているような写真じゃだめなんだよ」と言われたことを思い出しました。
自分の視点で、自分がこうだと思ったアングルと切り取りで撮る。
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