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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日韓の歴史をたどる⑨ 武断政治 政治的権利奪い憲兵が日常支配

2019-09-21 09:05:51 | 日韓の歴史をたどる
日韓の歴史をたどる⑨ 武断政治 政治的権利奪い憲兵が日常支配
糟谷憲一

1910年8月22日に調印された「韓国併合に関する条約」は29日に公布施行され、韓国は日本の完全な植民地とされました。韓国の国号は朝鮮と改められ、統治機関として、それまで置かれてきた統監府と韓国政府の諸官庁を植民地支配に適するように統合・改編、10月1日に朝鮮総督府の機構が本格的に成立しました。
総督は陸海軍大将に限られ、天皇に直属し、政務統轄と並んで陸海軍を統率しました。この時期の支配が、武威をもって行う「武断政治」と呼ばれるゆえんです。
「併合」(以下カッコを省く)と同時に明治天皇は詔書を発して、朝鮮の民衆を「綏撫(ずいぶ)」(安んじいたわる)し、康福(すごやかで幸せなこと)を増進し産業を発達させると標榜しましたが、朝鮮人にはほとんど権力を分与することはなく、日本人官僚が中枢を占めた総督府による強権支配が続くことになります。

集会・結社禁止選挙権を与えず
植民地化に反対する朝鮮人の運動を弾圧するため、併合に先だって日本は、政治集会、屋外大衆集会を禁止しました。併合後間もなく政治結社は、親日団体の一進会を含めて解散させられ、朝鮮人が発行する朝鮮語の新聞・雑誌も廃刊させられました。武断政治の時代は自由が極端に抑圧されました。
朝鮮対象の法律・勅令が制定・施行されるとともに、朝鮮総督が発する命令(制令)が法律に代わる効力を持つとされました。朝鮮に関する立法権は天皇、帝国議会、朝鮮総督にあるとされましたが、朝鮮には衆議院選挙法は施行されず、朝鮮半島居住者(大半は朝鮮人)は、代表を帝国議会に送って朝鮮半島に関わる事項も含めた国政の審議に参加することはできませんでした。
植民地期に朝鮮人は日本人と対等・平等に扱われたとは到底言えないのです。



「韓国併合」条約。第1条には「韓国皇帝陛下はる一切の統治権を完全且(かつ)永久に日本国皇帝陛下に譲与す」とある。「統治権の譲与」という虚構で力ずくで独立を奪ったことを隠そうとした(『独立記念館』から)

憲兵警察制度で民衆の抵抗弾圧
「武断政治」と言われるもう一つの理由は、憲兵中心の憲兵警察制度です。
併合直前の時期に、韓国政府の警察は日本人が中心を占めるようになっていました。1910年7月には韓国警察機関は日本に委託されて統監府警察となり、その長を韓国駐留日本軍の憲兵隊司令官・明石元二郎少将が兼任することになりました。憲兵とは本隊が文官警察も指揮下に置く異例な制度です。
併合後もこれが踏襲されたうえ、全国の13の道(日本の県にあたる)を管区として配置された憲兵隊の長が各道の文官警察の長を兼ねて、地方においても警察機関の中枢を憲兵側が握りました。道庁所在地、開港場などには文官警察の機関である警察署が置かれたものの、憲兵側の指揮下に置かれました。それ以外の広大な地域では憲兵が警察事務を扱いました。
憲兵隊には、朝鮮人から採用され信報収集などに当たる憲兵補助員が置かれ、憲兵は義兵運動などの民族運動や民衆の日常的な抵抗を抑圧する先兵となりました。同時に、戸籍事務、日本語普及、伝染病予防、墓地取り締まりなど一般行政にも関与し広範な権限を行使しました。
憲兵警察制度がつくられたのは、第一に義兵運動鎮圧のためでした。義兵は農村・山間部で小部隊単位の活動を続けていたので、そこに多数の拠点を置いて憲兵を配置し鎮圧の主役を担わせました。
もう一つの役割は、郡や面(日本の村に相当)の日本人職員の数が少なかったので、辺地にまで配置された憲兵を一般行政にも関与させ、総督府の行政を末端まで浸透させることでした。軍人である憲兵は、文官警察以上の威圧力を持ち日常生活を支配しました。
朝鮮に配備される日本陸軍も師団を2年ごとに交代で派遣する制度から、2個の常設師団を置くことに変わり(1920年に編成完了)、兵力が強化されました。
(かすや・けんいち 一橋大学名誉教授)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月17日付掲載


朝鮮から統治権を自ら日本に譲渡したなどを、見え透いた嘘を条文に書き込むような「韓国併合」。
当然のことながら民衆の中から抵抗が起こる。通常の行政機関では押さえつけられないので、軍隊の一部である憲兵が肩代わりする。恐怖政治です。

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